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買ってよかったもの2019 《本編》

#買ってよかったもの

1.平野啓一郎『マチネの終わりに』

物語は、クラシックギタリストの蒔野と、海外の通信社に勤務する洋子の出会いから始まります。初めて出会った時から、強く惹かれ合っていた二人。しかし、洋子には婚約者がいました。やがて、蒔野と洋子の間にすれ違いが生じ、ついに二人の関係は途絶えてしまいます。互いへの愛を断ち切れぬまま、別々の道を歩む二人の運命が再び交わる日はくるのか──

この本に出会えたから本を読んでいてよかったな、と思うくらいお気に入りの一冊。選択の積み重ねが人生になっていき、それは残酷だけど美しいのだなぁと思わされた。

わたしはおすすめの本を聞かれたとき「好きな作家さんはいる?」「どんなジャンルを読みたい気分?」などとヒアリングをしてから答えるのだけど、なんでもいいよ! と言ってくれた人には『マチネの終わりに』を勧めることにしている。絶対に読んで損をすることがない。

2.フランソワーズ・サガン『悲しみよ こんにちは』

セシルはもうすぐ18歳。プレイボーイ肌の父レイモン、その恋人エルザと、南仏の海辺の別荘でヴァカンスを過ごすことになる。そこで大学生のシリルとの恋も芽生えるが、父のもうひとりのガールフレンドであるアンヌが合流。父が彼女との再婚に走りはじめたことを察知したセシルは、葛藤の末にある計画を思い立つ…。20世紀仏文学界が生んだ少女小説の聖典、半世紀を経て新訳成る。

大学の図書館で見かけて、そういえばフランス文学ってあんまり読んだことないな〜という理由だけで手に取ったこの本、一文目で引き込まれた。

ものうさと甘さが胸から離れないこの見知らぬ感情に、悲しみという重々しくも美しい名前をつけるのを、わたしはためらう。

「海外文学は読みにくい」というイメージがあるかもしれないが、これはサクサク読めるし分かりやすい。悲しい結末を迎えてしまった出来事を胸が痛くなるほど丁寧に描写しており、なのにさらっと振り返っている感じがする。その二面性とストーリーの飽きなさに惚れ、今はサガンの他の本を読み進めている最中です。

3.角田光代『愛がなんだ』

「私はただ、ずっと彼のそばにはりついていたいのだ」──OLのテルコはマモちゃんに出会って恋に落ちた。彼から電話があれば仕事中でも携帯で長話、食事に誘われればさっさと退社。すべてがマモちゃん最優先で、会社もクビになる寸前。だが、彼はテルコのことが好きじゃないのだ。テルコの片思いは更にエスカレートしていき…。直木賞作家が濃密な筆致で綴る、全力疾走片思い小説。

この本について誰かと深く語らおうとすると、自身の恋愛観や今までの恋を洗いざらい話さないといけないな、と思うような本。この本に出てくる登場人物たちに対して、共感しても軽蔑してもどちらでもいい。恋をしたことがある人も、これからするかもしれないという人も、つまり誰が読んでもハズレがないと思う。全員におすすめします。

4.ハンス・ロスリング『FACTFULNESS』

ここ数十年間、わたしは何千もの人々に、貧困、人口、教育、エネルギーなど世界にまつわる数多くの質問をしてきた医学生、大学教授、科学者、企業の役員、ジャーナリスト、政治家──ほとんどみんなが間違えた。みんなが同じ勘違いをしている。本書は、事実に基づく世界の見方を教え、とんでもない勘違いを観察し、学んだことをまとめた一冊だ。

「世界で起こっていることなんて、膨大すぎて何から知ればいいのかわからない」と思っている人に読んでほしい。正直わたしは時事に疎く、知識不足を痛感していたのだが何も行動してこなかった。そんな人に克服の第一歩としておすすめしたい。時事的な知識だけではなく、生きる上で大切な考え方も学べる本。

5.平野啓一郎『私とは何か── 「個人」から「分人」へ』

嫌いな自分を肯定するには? 自分らしさはどう生まれるのか? 他者との距離をいかに取るか? 恋愛・職場・家族……人間関係に悩むすべての人へ。小説と格闘する中で生まれた、目からウロコの人間観!

誰しも相手によっていろいろな自分の顔が生まれる。わたしはそのことに悩んでいたけれど、論理的に「どれも本当の自分だから大丈夫だよ」と言ってくれるこの本に出会って救われた。読書において、2019年は平野啓一郎さんの年だったなぁ。

6.白石一文『私という運命について』

大手メーカーの営業部に総合職として勤務する冬木亜紀は、元恋人・佐藤康の結婚式の招待状に出欠の返事を出しかねていた。康との別離後、彼の母親から手紙をもらったことを思い出した亜紀は、2年の年月を経て、その手紙を読むことになり…。──女性にとって、恋愛、結婚、出産、家族、そして死とは?──人の女性の29歳から40歳までの“揺れる10年”を描き、運命の不可思議を鮮やかに映し出す、感動と圧巻の大傑作長編小説。

この本は「みんなに読んでもらいたい!」と思うような気に入り方ではなく、反面教師のような存在にしているという意味ですごく大切な本だ。

ネタバレになるためここでは詳細を言わないが(あとでこの本だけを取り上げてnoteに書く予定)、主人公の「どうにかできたかもしれない」「だけどやっぱりこうなる運命だったかもしれない」という葛藤で、心が大きく揺さぶられた。今まで読んできた本の中で一番感情が揺れ動いた小説だ。

7.住野よる『麦本三歩の好きなもの』

『君の膵臓をたべたい』の住野よる史上いちばんキュートな主人公、登場!
「朝寝坊、チーズ蒸しパン、そして本。好きなものがたくさんあるから、毎日はきっと楽しい」
図書館勤務の20代女子、麦本三歩のなにげなく愛おしい日々を描いた傑作日常小説。

先ほどの『私という運命について』は心にぐさりちくり刺さるので、精神状態があまりよくないときには絶対に読めないけれど、この本だったらどんなときにもうってつけだ。あと単純に、住野よるさんが書く作品はぜんぶ好き。


以上、2019年に読んだ本でよかったものたちでした。来年は社会人になるからビジネス書の割合が増えそうだな〜と思う反面、自由に使えるお金が増えるからもっと小説を読みたいなとも思う。

読んだ本についてたまに感想を書いているので、ぜひこのマガジンも見てみてください👇

おわり

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