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地獄

この世の終わりみたいな全ての悪夢を詰め込んだ地獄みたいな夢を見た。

追いかけられて、追いかけられて、逃げたその先で追いかけてきたその怪物とも泥ともつかない何かが轟音を立てて崩れ出す。

世界中に雪崩とも笑い声とも怒鳴り声ともつかない音がこだまする。

逃げた先で安心する誰かに両手を繋がれマティスの〝ダンス〟さながら輪になり一瞬の喜びも束の間
繋いだ本人が大声で何か私を罵倒し嘲笑しながらドロドロと形がなくなっていく。

繋いだ手は離せない。
悲鳴をあげても、泣き喚いても、目を逸らすことはできない。

晴れ渡った空の下で
この世の全てが終わっていく。

もう声も出ないほど絶望したところで
早朝からの撮影に備えた4:50の目覚ましより早く目が覚めた。体がガチガチで嫌な汗をかいている。
気持ちを上手く保てなくて、やるべき事を何もできないまま眠りについたのは3:00過ぎてからだ。

起きるには少し早い。
でも眠るにももう怖い。

何もかもを整理出来ないまま身支度を整え久々に朝の通勤電車に乗り込む。

朝だというのに汗の匂いと、
にんにくや玉葱を摂取した人間の匂いがする。
夢で見た世界に比べたらなんと穏やかな地獄か。

ここ最近うまく息ができないのも
心のやり場がわからないのも
全て低気圧のせいにして
馴染みのない駅で今日を始める。

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