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笹団子と誕生日

偶然が重なると嬉しくなる。

幼馴染とお昼ご飯を食べる約束をしていた。出かける直前に笹団子をもらった。そして幼馴染から笹に包まれたプレゼントをもらった。
それだけと言えばそれだけだが、それが嬉しいのは。

笹団子が好きだ。母方の叔母は夫婦でお団子屋さんを営んでいて、
お店が忙しい時には、母に連れられて手伝いに行った。小学生なのでお手伝いできることは少なく、邪魔にならないように端っこで遊んでいた。そこは笹の葉の匂いに包まれていて、母は姉妹仲が良く叔母たちと楽しそうに笹団子を作っていた。
母が楽しそうなのと、笹のいい匂いと、いとこたちとの暇潰しが楽しく嬉しかった。

幼馴染とは家が隣で、同い年、高校も近かった。同じ美術学校に行って、
それぞれ好きなものの方へ進んでいった。
私もあっち行ったりこっち行ったりだけど、彼女もいつも忙しく飛び回っている。

久しぶりに彼女と会う。
遅くなったけどと誕生日のプレゼントをもらった。
笹に包まれていて、背中を押してくれるようなメッセージのこもったプレゼントだった。ありがとう。頑張れそうだ。
おしゃれでいつも面白いことを教えてくれる幼馴染で友達。
今が一番楽しそう。彼女と笑顔で手を振る。

帰り道ぼんやりと笹団子を誕生日に送った友達のことを考えていたら、その友達の苗字が書かれたトラックが前を走っていた。
私も彼女から美味しくて優しい誕生日プレゼントとメッセージをもらっていた。彼女は、いつも、あなたの存在はこの世界の希望なんだよと言ってくれる。私にとってもあなたの存在はやさしい光のような、うん、うまく言葉にならない、私にとっても希望です。大切な友達。
そしてもらったロールケーキは、めちゃめちゃ美味しかった。

「あなたの名前って漢字というよりひらがなだよね。」
21歳の頃アルバイトしていた映画館の正社員に言われた言葉だった。
それがずっと恥ずかしかった。
でもそれでいいと思えるようになった。
先日、誕生日を迎え45歳になった。
その頃からも今も子どもの頃から変わらない。
何歳になっても大人になんてならない。私の名前はひらがなのままだ。

誕生日おめでとうと言ってくれる大好きな人達がいる。
私も私におめでとうと言える。自分のことを少しづつわかって受け止めることができるようになった。



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