ウィーン国立バレエ

ウィーン国立バレエ団 海賊

2018/5/13日 14:00- オーチャドホール

 振付:マニュエル・ルグリ(マリウス・プティパに基づく)
 美術・衣裳:ルイザ・スピナテッリ 美術・衣裳アシスタント:モニア・トルチア
 照明:マリオン・ヒューレット
 台本:マニュエル・ルグリ、ジャン=フランソワ・ヴァゼル
    (バイロン、ジュール=アンリ・ヴェルノワ・ド・サン・ジョルジュ、ジョゼフ・マジリエに基づく)
 音楽:アドルフ・アダン他(構成:マニュエル・ルグリ 編曲:イゴール・ザプラヴディン)7

 メドーラ:オルガ・エシナ
 コンラッド:ウラジーミル・シショフ
 グルナーラ:橋本清香
 ランケデム:ジェロー・ウィリック
 ビルバント:木本全優
 ズルメア:アリーチェ・フィレンツェ
 サイード・パシャ:ミハイル・ソスノフスキ
 オダリスク:芝本梨花子、アニータ・マノロヴァ、ナターシャ・マイヤー
 第3幕のソリスト:エレーナ・ボッターロ、アデーレ・フィオッキ、エステル・レダン、オクサナ・キヤネンコ

 指揮:井田勝大
 演奏:シアター オーケストラ トーキョー

ウィーン国立バレエ団の来日公演、東京の楽日の海賊に行って参りました。

ルグリ版の海賊、アリが出てこないこと以外は普通の海賊のストーリーだなぁという印象ですが、振付は流石に踊れる人の作品だけあって、ヌレエフ版ほどではないけど凄く難しいものになってるなぁと。私はこのバレエ団の昔の姿を知らないのですが、ルグリが初めて監督の地位についたころとはレベルも格段に上がっているらしく、この作品は、団のダンサーのトレーニングの意味もあるんだろうなぁと思いながら観ていました。

印象的だったのは、エシナ様。思わず「様」をつけたくなるほど、長い手足に気品ある美しさのダンサー。テクニックもかなりしっかりしているだけでなく、とてもしっとり大人っぽい情感があるところがとても素敵。かなりのベテランかと思いきや、まだ32才なのですね。もちろんメドーラも素敵だったんですが、物語のある作品で観たいダンサーだなぁと思いました。

それ以外では、音感のよさという点でウィリックとフィレンツェかな。フィレンツェ、ペール・ギュントではあんな清純な役を演じてたのに海賊では一転、娼婦(?)的な役も生き生きと演じていてびっくりしました。

残念だったのは、シショフががが。彼、怪我でもしてるのだろうか?と心配の声が会場でも聞かれたほど、滑ったり、リフトやサポートの失敗が目立っていて、観てる方もハラハラ。パートナーの不安定さをモノともせずに踊るエシナ様が、ガラのときの橋本さん同様、神々しかったです。

この作品、アリがいない分、コンラッドがたくさん踊るんですよねー。どうせなら物凄く踊れるダンサーで観たかったなあ。キミンは凄かったようですが、バレエ団のダンサーじゃないし。ゲスト呼ぶなら、ウィーンでこの作品にゲストとして出ていたワディムを連れてきてくれればよかったのになあ(まあ、ワディムもロンドンで大活躍中だから無理ですよね)。

ところで、メドーラとコンラッドの寝室のパドドゥで突然ドリーブの曲がかかってびっくりしました。あの選曲にはどういう意味があったんでしょうか。ガラでルグリが見せてくれたシルヴィアのパドドゥと同じ曲だったもので、上書きしたくないよ・・・!とちょっと思ってしまいました。

その音楽、演奏はシアターオーケストラトーキョー。粗の少ない演奏でgood jobでした。海賊はKバレエでもよく上演される演目だから、慣れているというのもあったのかな?

今や、ルグリのバレエ団とも言えるこのカンパニー、ルグリの後にうまくこの流れを引き継いでくれる後任が見つかりますように。

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