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The National Ballet of Canada / guest performance in Hamburg Ballet Days

2018/7/3火 19:30- ハンブルク州立歌劇場

ハンブルクのバレエ週間は、毎年ゲストカンパニーを招聘するのが恒例となっています。今年はカナダ国立バレエで、演目はコンテのトリプルビルでした。クリスタル・パイトの作品が、超絶面白くて!これを生で観られただけで、公演に行った価値がある。客席にはハンブルクバレエのダンサーも多数。

■The Dreamers Ever Leave You
Music: Lubomyr Melnyk
Concept and Choreography: Robert Binet

ネオクラシック系の舞踊言語の作品。音楽覚えてないんだけどミニマルミュージック系だったような・・・。今プログラム見返したら、作曲した方が当日ピアノも弾いてらしたんだな。舞台装置は山とかを思い起こさせる三角の布みたいなのがゆーっくり動いている感じ。衣装もシンプル。ストーリーは特になく、美しい音楽とダンサーの動きを愛でる作品かと・・・でもちょっと長くて退屈しちゃった。
カナダでニジンスキー役も踊ってる若手のSkylar Campbellを初めてナマで拝見したけど、いいダンサーだなぁと思いました。カナダの公演は2日あったのですが、7/4はルンキナがこれに出てたらしく、観れなくて残念。この日は代わりにヘザー・オグデン(ギヨーム・コテの奥様)が出てらっしゃいました。

■The Man in Black
Music: Johnny Cash "In My Life", "Four Strong Winds", "Sam Hall",
"If You Could Read My Mind", "Hurt" and "Further On Up The Road"
Choreography: James Kudelka

歌入りのポピュラーミュージックに載せて、カジュアルな普段着っぽい服を着た女性1人と男性3人がとってもカジュアルに踊る作品。うーんこれは良く分からなかった。この手の作品ってよくある気がするけど、そういうものと比べても振付に特段特徴がある気がしないし。もしかしたら物凄く小さいスペースで、物凄く雄弁なダンサーが踊れば面白いのかもしれない。
と、思ったのですが、この日たまたま客席で観ていたサーシャを見つけたので、どう思う?って聞いたらどんな作品も何か感じるものはあるよーと。なるほど。(大人です・・・)

■Emergence
Music: Owen Beiton
Choreography: Crystal Pite

とても刺激的な作品で面白かった。衣装や動きが昆虫を想起させるものだったことを考えると、emergenceは羽化・脱皮の意味合いか。
最初から最後まで下記の写真のような背景で、ライティングでニュアンスを変える。背景の真ん中はトンネルになっていて、その奥に照明。ここからわさわさとダンサーが出てきたり(これが虫っぽい)、トンネルの中や前にいるダンサーのシルエットを使ったりする。

多数のダンサーを使うパイト作品を観るのは初めて。基本、マスゲームの面白さ、ではあるが、この作品では生物の群れ独特の動きのばらつきが秀逸。群れが時に一つの生き物のように動くシーンも。個々のダンサーの動きもぴくぴくとしてて、やや気持ち悪いくらい(誉めてます)。

全てに意味があるに違いない、と必死で考えながら観ていました。無駄なリピートがなく、次の展開に予想がつかず、わくわくする。構成に加えて、ダンサーや全体の動き自体も純粋に舞踊として面白い。

パイトの意図を全てとらえることはできないけど、とにかく緻密に考えられてる感じはビシビシしたし、パイトは物凄く知的な人なのだろうなと思った。突き放されるほどの創り手の知的レベルの高さ、って意味では、この作品と、一部の金森さん作品には通じるものがあるような気がする。

カナダ国立バレエのダンサーも、よく鍛えられていて見事だった。ただ、正直誰が踊っているということには、ほとんど意識がいかない。コテとその妻オグデンっていう看板プリンシパルも出てたけど、この作品においてはコールドと同格で、要素の1つでしかないというイメージ。

細かいところでは衣装も面白かった。男性は背中から腕にかけて入墨みたいに模様が入ってたし(それが昆虫っぽい)、女性も最初は黒いトゥに黒い被り物してて、途中でトゥの色が変わったり。今思えば、脱皮だから色が薄くなっていくのか…?

うーん、もう一回観たいなあ、パイトのemergence。そしてこういう、感情表現ではなく純粋に体の動きで見せる作品、技術がしっかりしてる日本のバレエ団は得意なんじゃと思う。どこかでパイト作品やってくれないかな!

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