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1日1日が愛おしくなる「こよみ」を大切にする暮らし

こんにちは、基弘会編集部デスクの山本です。
12月になりもうすっかり年の瀬。クリスマスが終われば次はお正月準備と、バタバタと今年が過ぎ去っていきます。

今年はコロナの影響もあり、例年と比べ季節ごとの行事を自粛したり、感じにくかったりと、寂しい1年となってしまいましたが、例年であればクリスマスを誰と過ごすか、お正月をどう過ごすか、胸を躍らせながら考える季節ですよね。

私たち介護スタッフも、クリスマス会はどうするか、お正月に向けて餅つきをどうするか、お正月はどんな過ごし方をするか…など、例年では立て続けにやってくるイベントや企画に忙殺される季節でもあります。

12月のイベントといえば他にも冬至のゆず湯であるとか、日本古来の行事もたくさんあります。
そんなイベント目白押しのこの季節だからこそ、我々が大切にしているこよみについての考え方を、皆さまにも伝えたいなと思います。

「ハレ」と「ケ」

ハレとケ画像_アートボード 1

私たちが感じる「特別な日」とは、どのような日でしょうか。

昔から日本人には「ハレ」と「ケ」という考え方があり、普段通りの日常を「ケ」の日、祭礼や年中行事などを行う日を「ハレ」の日と呼び、日常と非日常を使い分けていました。
「ハレ」の日には、そんな特別な日をお祝いしたり神様に感謝したりするため、「晴れ着」を着、特別な食べ物を食べてお祝いしたものです。

しかし時代の変化とともに「ハレ」の日も多様化してきています。ハロウィン、クリスマス、バレンタインなどの輸入行事がそれだと思います。
そんな輸入行事は神様への祝いごとではなく、殆どは「楽しむ」ために、そしてそれに便乗して企業が商戦イベントを行うために盛り上げられていたものなのですが、時間の流れと共に日本独自の文化として定着しつつあります。

クリスマスに関していうと、20年程前の高齢者層の方々(大正生まれの方々)には「クリスマスなんて馴染みの無いキリストさんの行事、興味がない」と言われていましたが、現代の高齢者層(昭和生まれの方々)には日本の文化としてすっかり受け入れられています。

そんな日を「ハレ」か「ケ」かと分類するとすれば、やはりそれらは「ハレ」となり、「特別な日」としてその過ごし方の質が大切にされる時代に入っているのです。

「ハレ」の日の過ごし方の質

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例えば、若者のカップルがクリスマスを過ごす時、彼らの多くは「12月24日か25日」という限定した日の、5W1Hをどうするかということを真剣に考える事になります。

5W1Hとは、Who(だれと)When(いつ)Where(どこで)What(なにをして)Why(なぜ)How(どのように)を指し示す言葉です。

これに当てはめるように考えると

【(Who)大切な恋人】と
【(When)24日の夜】に
【(Where)素敵なレストラン】で
【(What)美味しい料理を食べ】て
【(Why)彼女を喜ばせるため】に
【(How)プレゼントを用意】する

という具合に、その「特別な日」をプロデュースしていきます。
彼が真剣に考えた5W1Hによって、彼女にとっての「特別な日」たるクリスマスが完成するのです。

ここで我々介護施設、特に「生活の場」と定義されている特別養護老人ホームなど入所施設においては、介護職員主体の考え方で「ハレ」と「ケ」を考えてしまうと、この5W1Hが成立しません。
主体は、利用者である高齢者の方々です。
この彼のように、「特別な日」たるクリスマスとなるよう高齢者の方々の「ハレ」の日の過ごし方を考えていくという精神こそが、「ふだんのくらし」を支える我々介護職員が忘れてはならない大切な視点であると言えます。

3つの「ハレ」の日

-カレンダー画像jpg_アートボード 1

私たちにはこよみの中で、とりわけ大切にしている年中行事、「ハレ」の日があります。

1つめの「ハレ」は、お正月

やはりお正月という祭りごとは日本人にとって「ハレ」の日の最たるものです。お正月の中でも1月1日「元旦」の日をしっかり感じて頂くということを大切にしています。

我々のような介護施設は365日営業している業種とはいえ、介護職員もそれぞれにご家庭の事情もあり、元旦に出勤可能なスタッフばかりではありませんので、どこの介護施設も最小限の人員配置になりがちです。

我々とて例外なく、お正月の人員配置は最小限です。
しかし、特段に大きなイベントを派手に開催しているわけでもはありません。

大切なのは「ハレ」の日の5W1Hであり「お正月らしく過ごす」ということが目的なので、どんな過ごし方が今の高齢者の方々にとって「お正月らしく感じて頂けるのか」という視点で当日の過ごし方をプロデュースしていきます。

例えばここ数年は「元旦は家族で写真を撮る」ということと、「お神酒を飲んで新年を祝う」ということが今おられる高齢者の方々が過ごしてきたお正月の文化と定義して、門松の前で集合写真を撮り、盃を使ってお神酒を飲んで頂くという過ごし方をしています。
我々の行動としても、それほど大変なことでもないので、最小限のスタッフ人数でも、「ハレ」の日のイベントとして立派に成立しています。


ふたつめは、敬老の日です。

高齢者の方々の支援をする我々にとって、高齢者の方々に改めて敬意と感謝を伝える大切な日です。
やはりその日も祝日ですが、1年に1日のこと。その日を勤務調整してくれるスタッフが多いのはとても有難いことです。

当日は特製の紅白饅頭をお配りしたり、スタッフによる出し物やイベントをしたり、御祝い膳として豪華なお食事を提供したり…。この日ばかりはとても力を入れて、精一杯のお祝いの気持ちをご利用者様に伝えています。


3つ目の「ハレ」、それは誕生日です。

誕生日はお1人お1人違うので、特別な何かをしているわけではありません。
ですが「その方のお誕生日をみんなで把握しておく」ということを大切にしています。

もちろんスタッフによって寄せ書きを贈ったりなど工夫してくれていることもあるのでしょうが、誕生日を迎えられたその方にとって、その日1日、ご家族や、同じフロアの入居者さんや、スタッフなど、顔を合わせる人から次々と「お誕生日おめでとう!」と声をかけてもらえることのほうが、よっぽど特別な誕生日になると思いませんか?

来年も、ふふふな1年を。

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年中行事やこよみの意味合いを知り、考えていくと、1日1日の愛おしさが増してきます。

「ハレの日」を大切に過ごすという丁寧な暮らしを繰り返すことで得られるのは、人生の充実ではないでしょうか。

そこに想いを馳せ、人生の豊かさを感じて頂くことが、我々介護という人生に関わる仕事の機微でもあります。毎日を大切に、これからも過ごしていきたいと思います。


基弘会編集部がお届けするWEBマガジン、くらしのふふふ。
ご愛読いただきましてありがとうございます。
来年もたくさんの「ふふふ」を発信してまいります。

新しい1年が、皆様にとって「ふふふ」な1年となりますように。

Text by 山本(基弘会編集部デスク)

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