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多世代交流は「言葉」から。あなたは「タピる」の意味がわかりますか?


はじめまして。基弘会では広報を担当している「あいた」です。
(いまのところ)編集室最年少の20代として、若者カルチャーについて読者の方々にお伝えできればと思っています。

いきなりですが皆様、現実の会話やSNS上などで「若者言葉」に戸惑うことはありませんか?
若者言葉とは、主として20歳前後(10代から20代前半)の青少年日常的に用いる俗語スラングなどで、それ以外の世代ではあまり用いない言葉のことを指します。(引用:ウィキペディア)

例えば、「タピる」

どんな意味かご存知でしょうか?
これは「タピオカドリンクを飲むこと」や「タピオカドリンクを飲みに行くこと」を指す言葉です。一昨年ごろから第三次ブームが訪れている「タピオカ」に影響を受け、このような言葉が生まれました。

昔からこのような「若者言葉」は流行り廃りを繰り返してきましたが、最近はその速度がますます加速していて、普段から接する機会がないとなんのことやら理解できないものが多いかと思います。

だからといって聞き流して意味を聞きそびれたり、理解できず何度か聞き返したり、いちいち指摘するのも小さいストレスになりませんか?
そういうストレスが溜まっていって、若者に対するアレルギー(これだから「ゆとり」「さとり」世代は何を考えているかわからん!)に発展している方もいるのではないでしょうか。
でもそれって、本当はすごくもったいないことでもあるんです。

今回はそんな方々が、若者言葉って面白いかも…と思えるものや、なるほど~と思えるもの、そういう意味だったのか!と思えるものなど、実際に使われている「若者言葉」たちを紹介していきたいと思います。


▼【草(くさ)】
意味:草=笑
面白いと感じたとき語尾につける。
また、「草生える(笑える)」「草不可避(面白すぎ、爆笑)」など本文で使用することもある。 

ここ数年廃れることなく、使われ続けている言葉がこの「草」です。
なぜ草が「笑」という意味で使われているかと言うと、ネット上で10年以上前から「笑(warai)」からとった「w」を「笑」という意味で使っていたことに由来します。
これを複数個使うことで笑いの度合いを表現するのですが(多いと爆笑している様子を表します)、連続した「w」が「草」の生い茂っている様子に見えることから「草」と呼ばれるようになりました。
厄介なのが、この「草」、単純に面白いと賞賛するときだけではなく、「苦笑」という意味でも使われることがあるんです。前後の会話の流れ次第で、どちらの意味にもなりますのでご注意ください。


▼【バズる(ばずる)】
意味:インターネット上で閲覧数などが急速に増え、拡散されること、話題になること。
語源は英単語の「buzz」で、噂話でざわざわ騒ぐという意味がある。
もともとはマーケティング用語。

近年SNSの普及により一般人(マスメディアに属する人以外)の投稿が話題になることが増え、「バズる」仕掛け人が必ずしも業界人ではなくなったことが、この言葉の認知度をあげた要因の一つに考えられます。

困ったことに、中には有名になりたい・注目を浴びたいという理由で非道徳的な投稿をしたり、特定の相手にケンカを売る投稿をする人、ネットリテラシー(情報ネットワークを正しく利用することができる能力のこと)がないばかりに、意図せず投稿が話題になってしまう人も多くいます。この場合は「バズる」ではなく「炎上」という言葉を使って非難、批判を表現します。


▼【わかりみ】
意味:わかると同じ意味で名詞のように使われる。理解や同意、共感を表す。
「わかる」の共感を強調した言葉として使われています。
この「◯◯み」とは、「わかりみ」のほかにも「つらみ(つらい)」、「やばみ(やばい)」、「ねむみ(ねむい)」というように、形容詞に「み」をつけることで汎用されます。もともとある「悲しみ」などの言葉はこの法則にあてはまらないので、ちょっとややこしいです。


▼【り】
意味:了解の略語。
SNSでのやり取りの中で「了解」と打つのが長いという理由で「りょ」と短縮され、さらに小さい「ゅ」までなくなった「り」が最新の「了解」の形です。


▼【沼(ぬま)】
意味:泥沼のように特定の趣味にはまり込む様を表すスラング。
具体的に対象を指す場合は「○○沼」、ハマる要素が多いことを「沼が深い」と言ったりします。
抜け出したくてもなかなか抜け出せない事象に対しても使います。

もともとはネット上で使われたオタク用語でもある「沼」。アイドルやアニメ、漫画に熱中しライブなどに私財を投じたりプライベートの時間をほとんど費やすことを「沼にハマる」「沼る」と表現していました。
一方で一般的な若者がこの「沼」を使うときは、やめたいのにやめられない(本当はやめなければいけない)事象に対してが多いです。例えば恋愛面でも「元カレ沼から抜け出せない」と失恋や依存を表現するときに使うことがあり、オタク用語から若者言葉に派生したといえます。


インターネットとSNSは世代を越えて言葉を生む場所

さて、見聞きしたことのある言葉はありましたか?

実は最近「若者言葉」といいつつ、SNS上では若者時代が過ぎ去った方々でも上記の言葉を使うことがあります。いまや世代で言葉が分けられる時代ではなくなりつつあるんです。
感情や様子を端的に表現する「若者言葉」は、短い文章が好んで使われるSNSとの相性がよく、SNSを通じて他世代にも浸透し始まっています。
そう、SNS上では元々あったネット文化と若者文化が混ざり合い、お互いに影響を与えているのです。
今回紹介した言葉のなかでも、「草」などネット上で使われていた言葉を若者たちが逆輸入して使うようになったものがありましたね。

このような動きは「若者言葉」が使われる場所の変化が、要因の一つに考えられます。
もともと「若者言葉」が発生・発展するのは同世代だけが集まる場(例:学校)でした。
ところがSNSの登場により、その閉鎖的な場所で使われるだけにとどまっていた「若者言葉」が、ネット上にも散見されるようになりました。
そしてすぐさま流行に敏感かつSNSを利用している割合が多い20代後半~30代の人々が反応し、自らも所々で「若者言葉」を使うようになり、拡散が進んだのです。

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言葉を理解すれば世代間の壁はなくなる!

さて、いろいろ書いてきましたが、「無理!わからない!」と思われる方は、なにも無理に「若者言葉」をつかう必要はありません。

ただ、今後SNSの利用人口が増えることは明らかです。このグラフをご覧ください。
SNSを利用しているか、また何を利用しているかをアンケートした結果です。

図1

(出典)総務省情報通信政策研究所「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(平成29年度)

下段の40〜60代の利用率の伸びが顕著ですね。つまりSNS上で多世代が交わる機会は増えていくということになります。良い意味で捉えると今まで以上に得る情報の量が増え、知見を広げるチャンスです。
ですが若者言葉へのアレルギーで扉を閉めてしまっては、せっかく開かれた多世代交流の可能性も失われてしまいます。

もし若者言葉に対して親和的に接することができれば、若者は乱れた日本語を使う宇宙人ではなくなりますし、若者の上の世代に対する締め出しもゆるくなり(例えば、おじさんが一人でタピオカ専門店の列に並んでいても後ろ指をささないとか)、世代を超えてもっと気軽なコミュニケーションが取れるようになるのではないでしょうか。
「言葉は文化」とはよく言ったもので、言葉を理解することが文化を理解することへの近道なのです。
これを機に、若者言葉を気に留めてみてはいかがでしょうか?

text by 基弘会編集部 あいた

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