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仙台・山形では超定番!秋の風物詩「芋煮」の魅力

芋煮は秋のお花見

はじめまして。大槻と申します。基弘会が運営する特別養護老人ホーム リズムタウン仙台にて、館長を務めています。
さて、今年も残すところ約3ヵ月となりました。今年はコロナウイルスから始まり、梅雨の長雨、8月19日には浜松で41.1℃と観測記録を更新する猛暑となりました。
とりわけ、コロナウイルスにより3密、ソーシャルディスタンスとグループで活動することが困難な状況が続いておりますが、仙台・山形・福島ではおなじみの「芋煮会」シーズンの到来です。
仙台・山形・福島以外の方にとっては「芋煮会ってなに?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
私の知っている範囲でお話させて頂くと、芋煮は山形市の西北にある町で、最上川舟運の船頭さんがその土地の名産である里芋を鍋にしたのが始まりと言われており、現在では秋の風物詩として河川敷などで里芋を使って鍋料理を作って食べる季節行事のことです。
とりわけ、山形では家庭料理としても親しまれ、大勢で集まった時には欠かせない料理のようです。
一言でいうと「秋のお花見」といった方が分かりやすいかもしれません。

自分たちの好きな河川敷の場所取りをして芋煮に使う食材やお酒を買い出しに行きます。
集合場所と時間、予算や内容を事前に決めて進めていくことはまさにお花見と一緒です。
10月初旬から11月初旬の紅葉シーズンと重なり、多くのグループが鍋や食材を持ち込んで、子供からお年寄りまでを囲んで楽しいひと時を過ごします。

いつでもどこでも誰とでも

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芋煮会は、「秋のお花見会」ということもあり、親睦を深める行事として、家族・友人・職場・町内・自治会・学校などのグループで行われています。
家族・親戚と気の合った友人知人と、職場の同僚もしくは先輩後輩、町内会の防災訓練の一環、学校の行事の一環、または稲刈り中のお昼などなど、様々に親しまれています。


私も母方の実家が山形市であることから、幼少のころから10月に帰省した際は歩いて10分程度の馬見ケ先川河川敷に材料道具一式を持って行き、親戚と一緒に芋煮会を行うのが毎年の恒例行事となっておりました。
大人がお酒を交わしながら芋煮を作り、子供たちはその周りで遊ぶ、芋煮ができたら食べ遊ぶ。秋の心地よい日差しの中で楽しいひと時を過ごしたいい思い出です。
しかし私自身、高校生になる頃には参加する機会がめっきり減り、山形での芋煮会は遠い記憶となってしまいました。

しかし今でも、気の合う仲間や小学校のおやじの会イベントで子供たちに大鍋で振舞うなど、毎年欠かさず行っています。
 
山形県は山形県庁が特集でホームページに掲載するほど町おこしとしても芋煮会が盛んです。
場所によっては整備された河川敷に芋煮会用の水道が引いてあり、シーズン中は無料で使えるところも数多くあるようです。

昭和の終わりぐらいまでは河川敷で行うのが主流でしたが、平成になるあたりから河川敷はもちろんのこと、シーズン前のスキー場やレジャー施設などで幅広く行われるようになりました。
10月〜11月中の週末は、仙台、山形の河川敷(火気可能場所)ではいたるところに芋煮を楽しんでいるグループがいて、水色のブルーシートがあちこちに見られます。

仙台風vs山形風

vsのコピー

では、芋煮の作り方をご紹介します。

大型鍋、食材、ござ、蒔などを持ち寄り、川沿いに間隔をあけて、かまどを作るところから始まります。

主に男性陣が石を積み上げ、鍋が安定するようにかまどを作り、火を熾します。秋の河川敷は、そこらじゅうでかまどの煙ののろしが上がっている感じで、普段ではなかなか見られない光景となります。
その間に女性陣が食材をカットして準備を進めます。
あとは、鍋で里芋をはじめとするいろんな食材を煮込んで、味付けをしていきます。作る過程も芋煮の楽しみとなっていて、みんなで「かまどが傾いてるよ」「食材が大きすぎない?」「アクがでてるよ」「火が強すぎるよ」など、鍋を囲みながらワイワイ作ります。

こんな時、どこのグループにも鍋奉行がいるもので、鍋奉行次第では雰囲気が怪しいグループがあったりもしますが(笑)、そんな周りの状況を観察するのも芋煮の楽しみ方です。なかには、食べるのが専門で作る過程には参加しない人や、片付けだけは率先して行う人などさまざまで、その人の普段見られない一面が見えたりするのも面白いのです。

そんなこんなで、食材に火が通ったら芋煮は完成です。
自然の中でみんなで作った芋煮をほおばるのは、その味も一段とおいしくなります。ここでも味付けについて、いろんな意見が飛び交うでしょう。

味付けと言っても様々な味付けがありますが、大きく分けると「仙台風」と「山形風」の2つです。

「仙台風」は、味噌・豚肉。
「山形風」は、醤油・牛肉(山形内でも地方によっては味噌・豚肉)。

里芋がメインの具材となり、その他の具材の違いも地域性が表れます。キノコ、山菜、ゴボウ、ニンジン、こんにゃく、長ネギ、白菜、大根、豆腐などなど様々です。

最近では、「仙台風」と「山形風」の2つの鍋を作り、食べ比べをするグループも増えてきているそうです。
ちなみに私の場合は、仙台で育ちましたが作り手の母親が山形出身のため、夕食の味噌汁の代わりに芋煮が登場していました。そのときの味付けはやはり醤油・牛肉ベースに里芋、こんにゃく、ゴボウ、長ネギ、キノコ(舞茸かしめじ)が私の中での芋煮です。

芋煮は野外で楽しめる最強の親睦

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仙台・山形以外の地域では信じられないかもしれませんが、シーズン中はコンビニにも軒先で蒔が売られています。
スーパーでも「芋煮会セット」が売られていて、鍋、蒔、食材一式3人~10人前のセットになっているため簡単に準備ができます。(鍋はレンタルです。)
それも持ち運びが大変という方には、レジャー施設やスキー場などでは「手ぶらセット」があり、会場はもちろん材料も人数分を用意いただけるので、体ひとつで芋煮会が楽しめます。


なお、みんなで集まるのは苦手だけど芋煮は食べてみたい、雰囲気は味わいたいという方は、芋煮発祥の地である山形県で行われる「日本一の芋煮会フェスティバル」もぜひおすすめです!
直径6.5メートルの巨大鍋で芋煮を作るのですが、巨大鍋のため当然人間だけではかき回すことができないため、重機を使って混ぜる光景は圧巻です。

今年はコロナウイルスのため中止となり「ドライブスルーで芋に恋して」という代替イベントになりました。


来年こそは、大鍋でかき回される芋煮を見たいものです。

手軽に行える芋煮会の魅力が、少しおわかりいただけたでしょうか?
冒頭で、芋煮会は「秋のお花見会」と説明させて頂きましたが、その魅力は春のお花見のように座って飲食を楽しみながら花を愛でるのとは違い、集まったみんなでひとつの鍋を作り、紅葉や釣りなどを楽しみながら親睦を図れるところです。
芋煮という鍋のみで多くの人が集まり、楽しい時を過ごすことができるのです。
みなさんもぜひ、芋煮を楽しんでみてくださいね。

Text by 館長大槻

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