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たっこちゃん、齢ほぼ80歳 #26 カムカム岡山弁劇場

たっこちゃんにとって初めてリアルタイム視聴したNHK朝ドラは「おかえりモネ」だった。

「あさが来た」も全話観たけど、再放送でチャンネル銀河での一挙放送でだった。

「おかえりモネ」は私はというと早々にリタイア。菅波先生と美しい海や空、森林の景色だけでは見続けることはできなかった。

たっこちゃんは1話が1時間以上の韓ドラ、中国ドラマになれているせいで、15分ドラマが超物足りなく

「イケメンが出ていない」
「暗い」
「なんかイライラする」

みたいな、両手の指では足りないくらいの理由で途中で挫折しそうになったが
「ここまで毎朝観たからには」というヘンな意地だけで最終回まで完走した。

最終回を見終えて言ったのが

「もう二度と朝ドラは観ない」。

にもかかわらず、ある朝テレビの前にちょこんとスタンバっている。

「カムカムエヴリバディ観るねん」

「えー、もう朝ドラみーへんって言ってたやん」

「岡山が舞台やねん」

そう、たっこちゃんは岡山県出身なのだ。

となるとついつい私も一緒に観る機会が増える。「カムカムエヴリバディ」、祖母が教えてくれた歌じゃないか。

「デットルシンでハッピーソンでシクタルランランラン」って歌ってたよ。全然違うじゃないか。

カムカムを観るようになってわりとすぐに、ドラマを観終わって1時間ほど、親子による岡山弁ワールドが繰り広げられるようになった。

「うららぁ~朝飯を食うけぇ」
「その前に血圧を計ってつかぁーさい」
「ワシはもう計ったけぇ~」

とはいえたっこちゃんが岡山で暮らしたのは高校を卒業するまでのこと。私ときたら祖母や親戚の岡山弁に接していたとはいえ、べったりではない。

そんな私たち親子の岡山弁はけっこう適当な、いい加減な、岡山の人が聞いたら怒りそうなものかもしれない。


ちなみに「うらら」は私たち、「つかぁさい」は「して下さい」で、「ワシ」はわたし。「つかぁさい」はよく使う。

そんな岡山弁ワールドをやってるひとときは面白おかしくて、ゲラなたっこちゃんは呼吸が止まるかってくらいに腹を抱えて笑ったりする。

誰にも見せない聞かせられないけど、他人が見たらアホかと思うだろう。
私もそう思う。

うんと先、私の前からたっこちゃんがいなくなったとき、きっとこんななんでもないひとときを思い出すんだろう。

それにしてもだ、大悟とノブを見ていても岡山弁にひっぱられないのに、カムカムにはひっぱられる。
なんでだ?

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