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ネタバレ「東の海神西の滄海」+「漂舶」

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記事「ネタバレいっぱい海神再読」をまとめました! 「十二国記」の「東の海神西の滄海」の感想文、全章に渡って全伏線を拾ったつもり。クライマックス八章2と続編「漂舶」の謎を解け!
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2023年11月の記事一覧

ネタバレいっぱい海神再読第三十六回 七章6. 尚隆と更夜と妖魔の大きいの

あらすじ:六太は地下の迷宮で光を見る。それは頑朴城に潜入してきた尚隆だった。尚隆は六太と共に更夜に会う。 ●尚隆の光 松明の明かりよりほかにない地下に明るい光をもたらす尚隆。六太の見た光であると同時に、斡由の秘密という暗闇に持ち込まれた第三者のクリアな視点でもあるのだろう。 海神という話をミステリとして読む時、探偵役は尚隆なんだよな。謎という暗黒に閉ざされた迷宮を知性の光で解放する者。 ところで、麒麟には天意の器としての自分と個人としての自我があると思うんだけど、尚隆に光

ネタバレいっぱい海神再読第三十七回 七章7. 尚隆は何故この時は更夜を説得できなかったのか。

あらすじ:六太は更夜から怨詛ある血の気配を感じ取る。更夜は六太に自らの絶望を語る。尚隆は身元を明かし、更夜を説得しようとする。 ●麒麟と血の穢れ 六太は更夜に血の臭いがまとわりついているのに気づく。六太が近づくことも出来ないほどの血の臭い、それは女官のものだったけど、殺されたのがあの女官だと気づいてた記述はないし、気づいてたら態度も違ってたろうから、誰のどんな状況での血というところまでわかるわけではないのだろう。 しかし六太は更夜に人を殺す役目を負わせたという理由で、斡由

ネタバレいっぱい海神再読第三十八回 八章1.尚隆は漉水の堤に係る策で何をしようとしたのか

あらすじ:頑朴対岸に潜み待ち構える成笙と王師の兵たち。やがて現れた州師は王師の築いた堤を壊そうとする。王師は州師と戦い民の喝采を浴びる。成笙は尚隆の命令を思い出す。 ●元州の普通の人々その4 頑朴対岸新易に住む勇前たちは、漉水の増水を心配していたから、堤を造ってくれた王師、堤を切ろうとする州師をやっつけてくれる王師を歓迎する。 勇前にとって、かつてあった堤を切ったのが梟王でその後斡由が荒廃と戦ったことなんて、自分の生まれる前の知らない話なんだろう。堤を造らせなかったのが尚

ネタバレいっぱい海神再読第三十九回 八章2前半 追い詰められた斡由は何をしようとしたのか

(これまでの変わった解釈の大元がでます。できたら原作と併せて読んでください。) あらすじ:六太は諸官の前で斡由を告発する。そこへ白沢が頑朴城下の州師の暴走を報じる。斡由は白沢、諸官、六太、王に罪を擦り付けようとする。白沢は斡由を捕えるよう小臣らに命じる。 ●六太の告発 斡由を訪ねた六太。なんで訪ねたのかというと、七章で知ったことを元州諸官の前で突きつけて、斡由を追い詰めるためだったんだろうな。城外では漉水作戦が予定通り進行中、しかし城内はまだ斡由の指揮下にある。六太は使令

ネタバレいっぱい海神再読第四十回 八章2中盤 尚隆は何故、なんのためにあの時点で斡由の前に現れたのか?

☆「中盤」て何だよ…いや、あまりに長いんで三分割しました。どんだけ海神好きなんだよ>自分。 あらすじ:尚隆が進み出て斡由に剣をつきつける。尚隆は斡由にも剣を渡し、斡由は降伏する。 ●海神=ミステリ? さて、再読八章2前半を読んで、こんなこと書いてない、と思われた方もいらっしゃるかもしれません。確かにこの解釈は普通と違う。しかし台詞と動作は原作そのままです。それに…いわゆる普通の解釈だと幾つか納得できないところがあって。 尚隆は民のためを思ってるはずなのに民の望む堤を造ら

ネタバレいっぱい海神再読第四十一回 八章2後半 尚隆は八章2から何を得たのか

☆これまでの再読、特に八章2前半・中盤を読んでないと多分わけわかめです… あらすじ:尚隆は剣を収めて斡由に背を向ける。斡由は太刀を振りかぶるが、使令に喉を咬み割かれ、尚隆に首を落とされる。 ●尚隆は何故、斡由にわざわざ太刀を渡して、自分だけ剣を納めて背中を向けてしまったのか?  誰か、と尚隆は背後を見やり、剣を収めて斡由のそばを離れる。 ここ、引っかかる人は引っかかるところ。武士の出身の尚隆が、たった今まで敵対してた相手に武器をわざわざ持たせて、自分だけ収めて背中を向け

ネタバレいっぱい海神再読第四十二回 八章3. 更夜は何故、大きいのが尚隆を攻撃するのを留めたのか?

あらすじ:斡由の死に、自分も討てと叫ぶ更夜。尚隆は雁を更夜と妖魔が人とともに暮らせる国にすると約束し、元州諸官も処罰しないと宣言する。 ●更夜は何故、自分も斬れといったのか? 斡由の首を斬った尚隆は、諸官を見渡し更夜に歩み寄る。 「すまなかった」 「礼を言う」 これは更夜の眼の前で斡由を斬ったことへの詫びと、更夜が大きいのの攻撃を止めたことへの礼だよね。 更夜は尚隆に自分も斬れと言う。大逆には斬首が慣例だからと。断る尚隆。 更夜は叫ぶ。 ①更夜)おれはあなたを助けようと

ネタバレいっぱい海神再読第四十三回 八章4.斡由は本当に消えたのか?

あらすじ:旅立つ更夜を見送る六太と尚隆。六太は尚隆に礼を言うが、尚隆は驪媚や亦信の死を防げなかったかと六太を叱る。六太は尚隆にしがみついて謝り、尚隆は六太に一国を返すことを、六太は尚隆に眼を瞑ることを約束する。 ●小松尚隆は何故、小松の滅亡で死にたがったのか? 回想。六太と小松尚隆の誓約。戦いの中、重傷を負って使令に小舟に運ばれた尚隆は、ひとり死地から救われたことを喜ぼうとはしない。 なぜ助けた、と問い、お前は死にたかったわけではあるまい、と言い、死ぬ気だったのか、と六太

ネタバレいっぱい海神再読第四十四回 終章 尚隆は何故、斡由の乱の後で元号を白雉に変えたのか。その次の元号を大元としたのか。

あらすじ:斡由の乱から十年後。王宮から抜け出す六太・尚隆に余裕な官吏たち。見降ろす下界には一面の緑野が広がっている。 ●八章と終章の間 …というか、八章終わりのすぐ後で、尚隆・六太はそれまで知らなかった唯一のことを知っただろうと思う。そう、斡由と更夜が囚人を始末していたことを。 七章6・八章2後半でも書きましたが、きっかけはおそらく六太を逃した女官。六太が恩人である女官を探したら(探さないのは不自然だからきっと探した)、斡由が連れていけと命じて更夜が連れて行ってから行方が

ネタバレいっぱい海神再読第四十五回 番外★かつてCD付録に収録され幻となってたのが「十ニ国記30周年記念ガイドブック」に収録された短編「漂舶」ネタバレ再読★「漂舶」読んでない方は絶対読まないでください。

祝!「漂舶」収録のガイドブック2022年8月25日発売! ガイドブックに入るからには加筆修正があるかもしれないぞ!と、盛り上がったものでしたが、大きな変更はなかったような。しかし幻となってたのが本屋の店頭に並んだのは実にめでたい!(まだの方はぜひ!) というわけで、短編「漂舶」のネタバレ再読します。「漂舶」は海神の公式続編ですからね。 「漂舶」の他にも、文庫に入っている十二国記はすべてネタバレ対象としてますので、読破中の方はご注意ください(今現在文庫に入ってないのにはふれませ

ネタバレいっぱい海神再読最終回 十三の謎まとめというか索引のようなものですおつかれさまでした!

●十三の謎言及箇所と関連する小見出しの場所をあげました。たくさんあるやつでは※が最も説明してます。 一)尚隆は何故、漉水の治水の裁可を下さなかったのか?  第四回   一章2.  第十三回  三章2.  第二十二回 五章2.  第二十三回 五章3.  第二十五回 五章5.  第二十六回 五章6.  第三十一回 七章1.  第三十七回 七章7.  第三十八回 八章1.※ 二)尚隆は何故、宣戦布告に来た白沢を引き止めて時間を稼ごうとしなかったのか?  第二十二回 五章2.