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オリジナル小説『道に落ちていたマッチ』ショートショートnote杯

マッチが一本落ちていた。
そばには手紙があり『これはマッチ売りの少女のマッチです。火をつけると願いが叶います』と書かれていた。

「願いだってさ。何かある?」
「俺は南の島でバカンスしたいなぁ」
「私もしたいけど、仕事が気になってゆっくりできなそう。そもそも、ライター持ってないし」

タバコを吸わない人間にとって、火をつける道具は馴染みがない。無視して去ろうとすると、背後から火がつく音が聞こえた。

「タバコ止めたんじゃなかったの?」
「たまに口寂しくなる時があるんだよ」

男が楽しげにマッチを拾う。そして慣れた手付きでライターを点火し、マッチに火をつけた。

その瞬間、男が消えた。同時に、焼け落ちたマッチが地面に転がった。

「え、嘘…」

周囲を探したが男は見つからない。本当に南の島に行ってしまったんだろうか。


後日、見知らぬ番号からかかってきたのは、南の島からのSOSだった。

#ショートショートnote杯

パスポートも持たずに手ぶらで南の島に飛ばされた男の運命やいかに…。

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