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#2 隅田徹|仕事はゆるくすべき

今回のゲストは徳島県神山町のキーパーソンである、隅田徹さんです。隅田さんは東京で「プラットイーズ」という映像の配信サービスを提供する会社を立ち上げたり、神山町でサテライトオフィスと宿泊施設を開設したり、地域活性化のアドバイザーをしたり。。。とにかく肩書きに収まらない、まさしくいろんな分野で大活躍している方です。

隅田さんと初めてお会いしたのは6月、前職の仕事で、アートとイノベーションで町が活性化する事例を見学するために、神山町を訪れたときでした。隅田さんの「町の人を誰でも知っている」、そして「前に進むエネルギーが永遠に尽きなさそう」という印象が強く残っています。

今回のエピソードは、隅田さんのクルマでドライブしながら、自分の勝手な「隅田イメージ」から始まり、彼が「ゆるく仕事する」理由や、神山の「ゆるい繋がり」の良さなど、幅広くお話を伺いました。

隅田さんとの対話の抜粋

— お世話になってます。隅田さんと出会った時からずっと思ったのは、神山に住んでいる人って、全員隅田さんのことを知ってるようなイメージですけど、どうしてですか??

そんなことないよ(笑)!まず僕は有名人ではなくて、お互いに知ってるんですよ。それは人口が少ないのと、エリアが限られているのと、都会にはない田舎の薄い繋がりがあるからですよね。十年ぐらい住んでると、そんなに親しくない人でもある程度知ってる。それは今後、個人の暮らしも地域も良くなっていく一つ大事なヒントと思う。

— 隅田さんは神山でどういう仕事をされてますか?

神山でじゃないけど、何方かと言えば僕は神山に住みながら、いろんな仕事をしてる感じかな。一つはいわゆるお金を得るための仕事としては、一番昔からやってる映像の撮影、制作と配信。まあ、食べ物でいたらおろしのような仕事。

もう一つの生業の仕事としては古民家の改修。これは神山というよりは日本全国の古民家を改修して、ホテルとかカフェとかにして運用しながら、活用しながら、保存するっていう事業をやってます。

収入じゃない仕事っていうのは、地域の活動をやっていて、それは徳島県や神山町だけじゃなくて、福岡県、大阪府、兵庫県などの地域のお手伝いをボランティアでやっている。

— お手伝いって?

大体自分がやってる仕事の延長線ですね。一つは映像のアーカイブ。公的なアーカイブっていっぱいあるので、そういったものの運営と保存の仕方とか。もう一つは古民家の改修をやっているので、歴史的文化財をどうやって実際のまちおこしに生かしていくのかっていう。あとは一応ベンチャ経営者の端くれなんで、地域事業の継続性を持ってちゃんと利益を上げていけるように経営と運営に関するアドバイスすること。

— 映像と古民家って、全然違う分野ですけど。

全然違うね。さらに言うともう一つはものづくりだ。家を妻と一緒に改修して、今自分が一番集中してるのは薪づくりですね。木を切るところから始めて最後薪にするとこまで。まあ、これも仕事に含めると限りなくプライベートなんだけれども、それも仕事に加えると四分の一ずつぐらいですかね。四分の一が映像の仕事、四分の一が古民家改修の仕事、四分の一がその地域ボランティアの仕事、更に最後の四分の一がその自分自身が趣味でやってるものづくりですね。

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— この四つの仕事同時進行しているのは全然想像できないんですけど、どうやってですか?

僕は三十歳ぐらいから、オンとオフがくっきり分かれていない、シームレスな暮らしをしてるんですよ。暮らしと仕事一体にして、外から見るとワーカホリックみたいに見えるんだけれども、本人は全くそう意識してなくて。 お休みの方が大変なこともいっぱいあるじゃない?(笑)だから楽しいとか楽とかっていうと、オフもオンもほぼ変わらない、同じようなトーンで毎日が流れていく。ただ、この三年間は子供が生まれたので、子供と一緒にいる時間を少しでも作りたいんで、そもそもその四つの仕事をしている時間を全部まとめて、一日の半分の時間を仕事して、残りの半分を子供と過ごす感じですね。

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— 東京で本社があるプラットイーズは、なんで神山町にサテライトオフィスを設立したか?

一応ですね、真面目に役員会で比較検討みたいなことをしてたんですよ。幾つかの候補地をピックアップして、ベンチャ誘致してる自治体とか都道府県とかに視察しに行って、メリット、デメリットみたいなことを整理して決める。でも三か所目か四か所目ぐらいから、どこも変わりがなくなってくるんですね。みんな自分のいいことばかり言うし、うちはこんな制度がありますよとか、段々段々いっぱい見ていくと分かんなくなってくるんですよ。正直言うとそんなに優劣なかったんだけど、たまたま神山だけが少し違ったポイントっていうのは神山だけは窓口が民間のだった、他の地方は全部役所。民間の私たちにとっては比較的話がしやすかったわけ。

これは後から考えると分かるんだけど、役所の人って嘘がつけない。嘘がつけないっていう言い方はちょっとあれだけど、決まってないことは言えない。「 あ、いいですね、社長!そんなプランをやりましょうよ」って無責任なノリができない。それに対してNPO(特定非営利活動法人)は民間だから、「隅田さん、面白いですね。それ是非行きましょうよ」とか我々民間人と同じようなノリで会話ができる訳ですよ。当時分かんなかったけど、ここはすごくノリのいい町だなと思った。

うんもう一つは僕が想像してた田舎ってある程度人のジャンルが限られていて、振り切ったような人はあんまりいないんじゃないかなって想像してた中で、神山でアーティストにせよ、アスリートにせよ、プロモーターにせよ、非常に振り切った人というか、エッジの効いた人がたくさんがいるんですよ。ダイバシティが非常に広いてことは、変な人が入れる余地があるっていうことですから、未来があるんじゃないかと思いましたね。

— 隅田さん自身は「ゆるく仕事する」という話しが凄く印象的でしたが、改めて説明してください。

緩くはね、あんまりシビアにならずにってこと。例えば、僕がやってる映像の仕事っていうのはおちゃらけ、エンターテイメントな訳ですよ。だからそんなにシビアに考えなくたって、失敗したって誰か死ぬわけじゃないし、その生きる死ぬとかに関係ないですよ。生活インフラじゃないから。でもこれから生きる死ぬに関係ないことが重要になってくる。楽しみのためにやってるようなことだら、もうちょっと気楽に、楽しみながら、所詮仕事なんだからね。江戸時代みたいに、「隅田君、これ失敗したんだ、詰め腹切ってもらおう」みたいな切腹迫られる訳じゃないから、いい訳ですよ。

— ゆるく仕事すると責任取らないっていうのは違いますか?

責任なんて誰も取ってないじゃない?世界中見渡したって、誰も取ってないんですよ。だからリスクなんて大げさに宣伝されているだけで、間違いなく日本人はリスクをオーバーエスティメート(過大評価)している。首相や知事や大企業の社長だって、大した責任取らないのに、我々一般人がそんなこと大してないですよ。ただ、お金的なリスク、資産的なリスクは事業家である以上負うのは当たり前だ。

— お金的なリスクをコントロールしたうえでゆるく仕事ですか?

コントロールなんて、リスクマネジメントなんて全然やってないですよ。だって、自分の資産を失えばいいだけじゃないですか?痛くも痒くもないとは言わないけど、それで済むだけの話じゃないですか?そんなことで左右されたくないですよね。以前にも家を一回売りましたけど(笑)。もともと先祖代々の家でもないし、会社は僕が始めたから所詮なかった株だし、そんなのなかったと思えばザッツオールですよ。

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>>>その後、隅田さんに影響を与えた神山の人たちや、ノリでWEEK神山という宿泊施設を立ち上げた経緯など語り続けますので、ぜひポッドキャストでお聞きください!

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