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LSPメソッド紹介ブースでの体験を振り返って

 2022年11月3日、4日と私が働く九州産業大学では、KSU Vision Dayと銘打ち、大学の研究・教育・活動内容紹介をする展示会が開催された。
 私もの日頃から、ロバート・ラスムセン・アンド・アソシエイツの協力のもとレゴ®︎シリアスプレイ®︎の実践と研究をさせていただいていることもあって、この展示会に「産学連携事例」ブースを出すことにした。

 「産学連携事例紹介」コーナーは会場の最奥部ではあったが、その中でも休憩所に隣接していて、一番見通しのよい場所を用意していただけた。

左手の人が座っている場所が今回の場所

ブースの構成  

 ブースの構成として、おおよそ次のような要素を盛り込んで構成してみた。
 ① パネル(レゴ®︎シリアスプレイ®︎(LSP)メソッドの紹介)3枚組
 ② パネル(私の研究(LSPメソッドの応用展開研究))1枚
 ③ パネル(作品やワークのイメージ)1枚
 ④ メソッドの体験テーブル 4人がけ
 ⑤ 作品例テーブル
 ⑥ 事例・説明ビデオ(40型モニター)

パネルの配置についてはいちばん目に入りやすいところにビジュアル重視の③を置いた。

来場者は作品にまず反応していた

 一番人が目を向け、近寄ったのが「⑤作品例テーブル」だった。あらためてレゴ®︎ブロックのもつ人の目を惹き寄せる力を感じさせられた。

 その「⑤作品例テーブル」のなかでも一番手前では、敷居の低さや少し手にとって作ってもらうことを意識して「タワー」と「椅子」と問いのパネルを飾った。写真には写っていないが横にブロックを置いてその場で少し作ってもらうような仕掛けにもしていた。

2つの入り口の問い。オンライン勉強会で教えてもらった問いを使ってみた。

 この展示方式では、このワークの意味を伝える説明者が近くにいるときには、作ってもらったあとに、いろいろと話をすることができたが、そうでないときには、来場者が勝手に楽しんで作ってもらうまでで、そこからの発展性が乏しい感じになってしまっていた。

手前で説明者がいるときには話を広げ、理解を深めてもらう機会が生まれた。

 また、いま振り返ってみると、この作品についての説明文は「問い」のみだったが、その後に考えてほしいこと(「椅子のデザインにあなたのどのような気持ちが反映されていますか?」)なども併記して作品と共に気づきのコメントを書いてもらうような方法もあった(他のブースで閲覧者の感想を付箋で貼っているところがあって、そこから着想した)。
 さらに、それでもレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドの説明までつながらないので、以下のような記事にあるような、ストーリーでメソッドの価値を説明する作品展示をすればよかったかもしれない。

 作品テーブルの奥には、チームで一つの作品をつくる共有モデルやシステムモデルを展示していた。「タワーや椅子」のすぐ奥にあったシステム・モデルは少し目を引いていたものの、奥の方にあった作品は手前に続いて、さらに来場者の目を惹きつけ、作品の方に引き寄せるには至らなかった。
 これについて、見る順番(誘導矢印とか?)をわかりやすくしたり、ひな壇的に展示して奥のものがより目線的に高くなるようにするともう少しみてもらえる可能性が高まったかもしれない。

共有モデルは、より詳しい説明(これを作るようなワークを設定した背景ぐらいまで)がないと価値が伝わりづらいとあらためて思った。
作品事例「理想のアドバイザー」(実際に別のワークショップで作ってもらったものを参加者の許可を得て保存しておいた)は、もっと活用できた気がする。

その後の流れ①〜作品から体験テーブルへ

 知人同士・親子連れで来場されていた方には「こっちで少し体験してみませんか?」と声をかけると、自然と体験テーブルに来てくれた。それぞれにファシリテーターがついて問いをなげかけ、作った作品の表現の意味を聞いて気づきを促すやり方は、時間は短くても「モノを作りながら考え・気づく」というレゴ®︎シリアスプレイ®︎の大きな魅力の一つを伝える良い機会になっていた
 また、声かけをしてテーブルに座ってくれる方は、すごく前向きな態度でワークに入るので、実際のところほとんどスキルビルディングがいらなかった。作品に意味づけをすることを問いで少し促すだけで話してくれる。
 対応するファシリテーターとしても、大変良い経験になる。相手の属性などに合わせて声をかけ、距離感をつくり、問いを出していかなければならない。日頃のワークショップでもしていることではあるが、より意識してこれをすることになる。また、即席で問いを作れなくもないが「問いのストック」についても意識が高められた
 特に、協力者として東京から駆けつけてくれたロバート・ラスムセン・アンド・アソシエイツの蓮沼孝氏の応対の仕方を身近でみれたことは、個人的にもたいへん大きな収穫となった(そうそう近くで見る機会がない)。

蓮沼孝氏(左)による参加者へのファシリテーション
1〜4人ぐらいの少人数セッションが体験テーブル中心に繰り返された。

その後の流れ②〜作品からパネルへ

 もう一つの流れは作品をチラッとみて、パネルの方へ目を向ける方も多くいた。このパターンは企業の方が多かったと思う。手が空いているときには、声をかけることができた。「このような手法があるとは知りませんでした」というコメントがほとんどだった。まあ、知っていれば素通りされると思うので当然と言えば当然ではあるが。
 パネルについては比較的、文字数は少なくして、ビジュアルを中心に組んでいたため、後で読んでもらえるような情報を載せたリーフレットを用意しておくべきだったと強く後悔した。この点についてはもっと貪欲に取り組むべきだった。特に「自分の職場で実際にワークショップを行う」というイメージをもってもらうためにも、具体的な事例や効果、そして連絡・相談先などをまとめたものがあるとよいだろう。
 具体的な事例を知ってもらうためにPCモニターとそこで流すYoutubeビデオを用意しておいたものの、私がYoutubeがプレミアム会員でないため広告が入ってしまって流しっぱなしができなかった。また、モニターの位置が悪かったのか、映像に長く目を向ける人はほとんどいなかった(Youtubeの事例ビデオは短いモノでも1分ぐらいである)。動画を活用したアピールには課題が残った。

今後に向けて

 一言で言えば「良い経験になった」。また、今回のような展示会系の人が集まるイベントでの紹介の仕方の型のようなものが見えてきた。
 確実に露出は増えてきていると感じるものの、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドの知名度はまだまだとも感じさせられたので、このような機会を掴んで、一人でも多くの人にメソッドを知ってもらうことには意義があるし、なかなか実践の場がもてないファシリテーターにとっても、短く色々な人とやりとりできるので、良いファシリテーションの経験の場になるとも感じた。
 大学のアリーナでの出展ということで広さもあったし、出展料も取られないということで、このような場は学外ではなかなか持てないだろうが、それでも何かチャンスがあったら、また挑みたい。リーフレットや作品展示で伝える方法については今からでも工夫を重ねて準備していきたい
 そして今回の展示運営については、仲間のファシリテーターが設営・運営・撤収とあらゆる場で協力・応援してくれた。かけつけてくれた皆さんに心より感謝したい。ありがとうございました。

協力してくれたみなさん

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