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不思議に思い面白いと思う感性を育てる

 現代の大学教育で一番重要かつ育てるのが難しいと思うのは、「問い」を立てる能力だと思う。

 ここ数年で「問いの立て方」を教えてくれる本が出てくるようになった。それらの本では、「問いの立て方」次第でその質問を受けた人の考えるパワーが変わってくるということや、筋の悪い「問い」は本質的な解決策に結びつかないので時間を浪費する、ということが主張されている。

 それらの本を読めば良い問いは立てられるのだが、別のところに難しさを感じるようになった。私は、「問う」という行為の基盤には、世界への好奇心があり、そこが喚起されないと「問い」ことへのスイッチがなかなか入らないのではないかということだ。

 言い換えれば、本の読解術の本はあるが、本を読もうという態度を育てるのはまた別だということだ。

 では、世界への好奇心はどうやって育つのだろう。これこそ非常に難しい問いだと感じるが、今のところ私は「不思議だなと思う」→「わかってなるほど面白いと思う」を積み重ねていくしかないかなと思う。「不思議だな」のところがさまざまな知識に支えられて周りが固められていくと良質な問いに仕上がっていくのではないか。

 レゴ®︎シリアスプレイ®︎では、モデルを作って説明するが、抽象的なものをつくるので、不思議な感じが強い。また、説明を聴いていて、なるほど面白い、と思うタイミングが他のワークより構造的に生まれやすいと思う。

 また、作品の見え方は一人の人に独占されない(すなわち作品の逆側を同時に見れない)ので、反対から見える印象なども受けると面白く感じる。

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何に見えますか?

 「不思議だ」「面白い」は主観的な感覚で、レゴ®︎シリアスプレイ®︎でもそう感じない人はいるかもしれないが、作品について質問したり語り合ったりしているのを見ると、なかなか良いトレーニングになっているのではないかと感じている。

 さまざまな思いが込められた人の表現したものは面白いし、同じぐらい自然が作り出したものも複雑で面白い。

 次の課題としては、レゴ®︎シリアスプレイ®︎で助走をつけたのち、現実の世界でも同じように「不思議だ」「面白い」のサイクルを回させつづけるか、その乗り移りの部分をうまくさせることだ。

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