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思考ルーチンとレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッド(8)「説明ゲーム」

 今回はこの本の中で紹介されている「説明ゲーム」という思考ルーチンをとりあげる。

 この「説明ゲーム」は、対象全体をより理解することを目的としている。

 基本的には以下の(1)〜(5)の手順を踏む。

(1)設定:理解させたい対象に子どもの注意を向けさせる。対象をできるだけ念入りに見て、いろいろな情報が相互にどう関連しているのかに考えをめぐらせるようにする。
(2)概念化する:2人組で対象について気づいたことを話し合う
(3)説明する:上記で出てきた項目をリストアップし、全体に説明させる
(4)根拠づける:説明の根拠について考えさせる
(5)別の可能性を探す:最初の説明とは異なった説明について考えさせる

レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドにおける「説明ゲーム」

 レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドにおける「モデルを作ってお互いに共有する」ということと、説明ゲームは大いに重なり合っている。

 まず(1)についてはファシリテーターによる最初のプロセスである「問いの共有」とほぼ重なる。レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドでも参加者が「考えてみよう」と思うような問いの提示は重要である。
 何をこれから考えるのか、それを考える意義はどこにあるのかについて示すことで参加者が問いに向かい合う姿勢が強化される。

(2)の概念化について、思考ルーチンでは2人組で話し合う方式をとるが、レゴ®︎シリアスプレイ®︎ではその前に一人で作品をつくる。この方法は、各人の頭の中にあるものを、ブロックが作り出す視覚的イメージの力で引っ張り出すことを目的としている。その点で、「説明ゲーム」の思考ルーチンよりプロセスはより丁寧である(その分、時間もかかる)
 さらに重要なことに、この「説明ゲーム」では対象を説明しようとするときに安易な当てはめ(言葉一つで〜だで終わらせる)のではなく、その対象を構成する要素を複数認識し、その関係性を考察させることを強く推奨している。この点においてレゴブロックを使ったモデルは、複数の要素の組み合わせで表現されることが多い。
 この点について以下のNoteで以前に書いている。

 レゴ®︎シリアスプレイ®︎では作品を作ったのち、グループでお互いにモデルについて説明する。これが「(3)説明する」に相当する。

 「(4)根拠づける」は、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドにおいては、モデルを説明したのちに行われる「モデルに対する質問」において行われることに重なる。主にモデルに対する質問は、モデルの表現に関するもの(この表現には意味がありますか?)なので、どうしてそう考えたのかについては、通常、そこまで積極的に質問することはない。
 この思考ルーチンのように、「根拠を考えさせる」という狙いを大事にするならば「そのような表現をすることにつながった経験や知識はありますか?(あるならばどのようなものでしょうか)」という問いを投げることになるだろう。

 「(5)別の可能性を探す」については、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドにおいてはお互いのモデルをしっかりと共有することと重なる。問いを共有しているので、他の人の作ったモデルは自分のモデルの別の可能性であるとみなすことができる。
 もし大勢の人数がワークショップに参加しているのであれば、自分たちのテーブルだけでなく、他のテーブルの作品を見にいき、話を聞くことによってこの項目はよりよく達成できるだろう。

 総じて言えば、時間とブロックとファシリテーターが確保できるならば、この「説明ゲーム」という思考ルーチンは、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを使って行うことでより高い効果を上げることができるといえる。

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