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思考ルーチンとレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッド(11)「コンセプトマップ:つくり出す・並べ替える・関連づける・詳細化する」

 今回はこの本の中で紹介されている「コンセプトマップ:つくり出す・並べ替える・関連づける・詳細化する」という思考ルーチンをとりあげる。

 まず「コンセプトマップ」とは、あることについて学習者がどう理解しているかを図などに整理したものである。

 この「コンセプトマップ」を教師が生徒たちに「理解しているものを図などに整理して表現しなさい」と漠然と指示するだけでは良いものができないという悩みからこの思考ルーチンが生まれてきたという。

 この思考ルーチンは以下のようなプロセスを踏む。
(1)コンセプトマップを知っているかどうかを確認する。知らなければ、その考え方や方法を説明する。
(2)対象について知っていることのリストを作り出させる。
(3)出てきたリストの中にある言葉を、中心的なものか、周辺的なものかで分類し、配置させる。一人ではなく、ペアや小グループで取り組ませてもよい。
(4)項目同士を線でつなぎ、関連性についての説明を線の上に書く。
(5)中心に近い項目をいくつか選んで、それについて「下位項目」を作って、より詳細な言葉や説明を追加させる。
(6)ペアか小グループに分かれてコンセプト・マップを共有する。お互いに作った時に考えたことや、工夫した点について説明させる。

レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドにおける「コンセプトマップ:つくり出す・並べ替える・関連づける・詳細化する」

 何かについて説明してもらうために、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを使ってモデルを作ると、そのモデルは「コンセプトマップ」に性質が近いものとなる。

 つまり、一つのモデルの中の部分表現がコンセプトマップの項目であり、モデル全体におけるその部分表現の位置付けや、他の部分表現との関係性が、コンセプトマップにおける関係を表した線と重なる。

 レゴブロックで作った何かの説明のためのモデルにおいては、ほとんどの場合、関係は可視化されていない(モデルを使っての言葉の説明の中で関係性の存在が)。
 また一つのモデルに含まれる部分表現についても「コンセプトマップ」に比べて多くはない。レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドによるモデル作りでは、大事な項目が絞り込まれて優先的に出てくる傾向がある。

 また、手を動かしてモデルを作っているうちに重要なことを思い出したり気づいたりする効果もレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを使った場合には存在する。

 このように、モデルに含まれる部分表現がコンセプトマップの項目に該当するとしても、「項目をリスト化する」ことはできないので、コンセプト・マップに近づけるならば、モデルを部分表現へと分解していく応用技術の導入が必要である。

 モデルを部分表現を分解することができれば、他の人の部分表現との関係を考察し、テーブル上の配置で表現していくランドスケープ(風景)と呼ばれる応用技術を使うことが可能となる
 もちろん、部分表現に分解しなくてもランドスケープという応用技術は使用可能である。その場合には、モデルの中に含まれる部分表現のうちの一部のみがより強調されるように使われる

 さらに時間が許せば、コネクション・パーツで関係性を表現していくこともできる。

コネクションパーツでの関係性の表現例

 また、矢印や関係性などは模造紙の上に直接書き込んでいく方法もとることができる。

レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを使ったコンセプトマップのイメージ例

 ただし、モデルを部分表現へと分解していくと、その人の作った最初のモデル全体の意味は失われることには気をつけなければならない。
 そのため、他の人のモデルも使ってコンセプトマップを作った後に、最初に作ったモデルにあった大事な意味が失われていないか、確認することが大事になってくるであろう。

 また、重要なキーワードが見えてきたら、そのキーワードについて、追加でより細かく説明するモデルを作ることもできる。
 ただし、モデルを作らせると、作る時間はもちろん、作ったものを共有する時間と、何かと時間が積み上がっていくので、ふせんに思いついたキーワードを書き出す方が良い場合もあるだろう。時間と効果とのバランスを考えての選択をすべきだろう。

 このコンセプトマップとレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドの組み合わせには可能性を感じるが、実際に運用するときには、お互いの手法の特長を理解して使い所を切り替えることがポイントになりそうだ。

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