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思考ルーチンとレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッド(14)「小実験室」

 今回はこの本の中で紹介されている「小実験室」という思考ルーチンをとりあげる。

 本書には「小実験室自体は、思考ルーチンではない。つまり、特定の思考をうながすものではないのだが、教師たちはそれを、子どもの思考の可視化に役立つツールで、グループでの会話を方向づける便利な手順だという。」と書かれている。 
 簡単にいえば、このやり方で、焦点になるのは個人の思考ではなく、グループの思考の向け方である。

(1)グループを組み、教師などがまず何らかの話し合いのテーマを設定する。
(2)個人でそれについて考える時間をとる。通常5〜10分で十分である。
(3)グループで話す順番を決め、決まった時間(1〜2分)の間で考えを発表させる。一人考えを聞いたら、20秒〜30秒、黙って聞いたことを咀嚼させる。グループ全員分これを繰り返す。
(4)あらかじめ決めた時間(5〜10分)、グループで自由に話させる。お互いの意見を関係づけることや、あらためて考えると分からないことを質問するように促す。
(5)全グループで話したことを思い出して、その問題や話題についてどのようなことを考えさせられたか振り返る。

レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドにおける「小実験室」

 この「小実験室」は、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを使ってワークショップを進めるときの、コア・プロセスに驚くほど重なる。

 レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドのコア・プロセスでは、「問いを提示する」「モデルを作る」「モデルの説明をする」「ふりかえる」という4つのステップからなる。コア・プロセスの「モデルを作る」が「小実験室」の上記項目の(2)で個別で考えるというところが異なるように見えるが、参加者はモデルを作りながら色々なことを考えているので、ほぼ同じものとみなすことができる。

 一方、興味深い異なる点として、お互いの考えを聞いた後に20〜30秒の咀嚼する時間をとるという点がある。

 レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを使ったワークでは、目の前にモデルが出されて、モデルを見せてもらいながらストーリーを共有してもらうわけだが、短い時間にかなりの量の情報が提示される。この量のリッチさが魅力であるのだが、与えられた情報を消化しきれないリスクがある。
 それを考えると、ここで共有されたことを反芻し、モデルを見ながらあらためて考えや問いを全員で想起する時間を取ることは、良い方法となるかもしれない。

 また、お互いの考えを共有してから、あらためて自由に話し合う時間をしっかりととるというのも、着目すべき点である。これは私の自己反省でもあるが、どうしてもたくさんの問いを出すことと数多くモデルを作ることに焦点を当てすぎることがある。
 もっと、一つの問いに対して作ったモデルをよく観察したり、お互いのモデルを見比べながら話を膨らませていくという時間も大切にしなければと、このNoteを書きながら考えている。

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