思考ルーチンとレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッド(23)21の思考ルーチンを振り返って

 記事のシリーズとして上記の本で扱われている21の思考ルーチンについて、一つ一つレゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドとの重なりや応用について考えてきた。

 全体としてレゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドとよく重なった部分としては、まず、各自が自分の考えをまとめて表現する時間をしっかりととり、発表させることを重視するルーチンが多かったことである。

 一方で重なりが弱かったのは、批判的な思考(本当にそう言えるのか?)を大事にする部分である。相手の考えをしっかりと受け取るところはレゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドと重なるが、相手の考えに批判的にコメントをすることは、レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドではしない。

 レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドで批判的思考を避けるのは、意見の否定=本人の人格の否定となってしまうことを避けるためである。自分の人格が否定されるかもしれないという気持ちが生まれると、モデルを作る段階で本当の自分を表現してもらえなくなる。

 しかし、「思考の力」を鍛えるためにも、レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドはやはり有効だと私は考える。それは、モデルで自分の思考を表現することで自分と自分の考えを疑似的に切り離せるからである。

 私も参加者として何度も体験しているが1回、他の参加者の共感のもとに自分の考えを受け入れてもらったという感覚があれば、そのあとに自分の考えの解釈を変えたり一部を修正するのはそれほど苦痛ではない。

 ワークの構成として自分の意見の共感に基づく受容をステップとしてしっかりと踏んでおけば、そのあとに自分の意見への批判的思考へと切り替えやすくなるということだ。

 このことを踏まえると、参加者の思考力を伸ばすことを目指すファシリテーターは、勇気をもって参加者相互の「共感」のステップを踏みながら、参加者を批判的思考へのモードへと切り替え導いていく技術の習得が求められる。無論、私もそのことを日ごろから意識していきたい。


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