見出し画像

THE GAZETTEを読む(60)2024年4月号 レゴ・シリアスプレイのデザインとファシリテーションの技能

 本記事は、ラスムセン・コンサルティングが発行しているメールマガジンTHE GAZETTEのバックナンバーを、日本語訳をしながら、コメントを加えながら読んでいくシリーズの一つである。レゴ®︎シリアスプレイ®︎(LSP)のファシリテーター・トレーニング修了者向けに書いている。
 この記事の引用元原文はこちらのURLから確認することができる。

レゴ・シリアスプレイは、「レゴ」で遊ぶ以上のものである
 何も知らない人は、レゴブロックを使った職業能力開発ワークショップが、レゴ・シリアスプレイだと素朴に思うかもしれません。これは、試験管を買って科学実験のやり方を知ったつもりになったり、絵の具を買って美術館並みの芸術作品を作ろうとしたりするようなものです。

THE GAZETTE 2024年4月号をDeepLで翻訳・筆者が修正

 レゴ・シリアスプレイのワークショップをしたときに、「ブロックを買って自分で周りの人にしてみたいのですが…」と相談を受けることが度々ある。その時の私の答えは「ファシリテーターのトレーニングを受けることをお勧めします」というものだ。
 ここがレゴ・シリアスプレイが、他のレゴブロックを使ったワークと一線を画す点である。ワーク全体のデザインとファシリテーションのための技術体系があり、それを学び、練習のなかで修得しなければ、自分が初めて参加した時の感動を再現することは難しい。

認定ファシリテーターたちのグローバルなコミュニティ
 レゴ・シリアスプレイは科学に基づいたファシリテーション・プロセスであり、その成果と影響はファシリテーションの質と直接結びついています。レゴ・シリアスプレイの方法論をファシリテートする科学と芸術は、その方法論の理論的基礎に組み込まれており、多くの学習理論と心理学理論に基づいて慎重に設計された「プロセス」です。ファシリテーター・トレーニング・プログラムには、20年以上にわたってワークショップのデザインとファシリテーションに積極的に携わってきたファシリテーターたちの蓄積された経験的学習が組み込まれています。ファシリテーターのコミュニティは、常に実践から学んでいます。認定されたレゴ・シリアスプレイの専門家からなるこの活発なコミュニティは、毎年会合を開き、プロセスのブレークスルーが現れると、それを共有し、交換します。

THE GAZETTE 2024年4月号をDeepLで翻訳・筆者が修正

 レゴシリアスプレイメソッドの大きな特徴の一つは、メソッドの価値を高めるために、ファシリテーターのコミュニティを大切にしていることにある。このコミュニティでは、さまざまな体験的知識が交換され、お互いの能力を高めるためのサポート(資料の共有、運営の相互協力、練習会の実施)が充実している。先日もアジア地域ミーティングが行われたばかりである。

 また、筆者としては、このNoteの連載も、コミュニティへの貢献の一部だと考えて行っている。
 なお、このような実践活動を前提としたコミュニティは、「実践コミュニティ」という概念で把握されることもある。実践コミュニティをどう育てていくかということが、そのままレゴシリアスプレイメソッドの価値の向上につながっていくといえるだろう。

 実践コミュニティ論とレゴシリアスプレイメソッドとの関係についてはマガジンを作り、以下に少しずつ記事を増やしている。

レゴ・シリアスプレイの科学
 レゴ社のグループ企業であった Executive Discovery LLCが2002年に発行した「レゴ・シリアスプレイの科学」で次のように述べられています。「レゴ・シリアスプレイは、ユング、チクセンミハイ、ピアジェを含む多くの学者や実務家の研究と経験から生まれたもので、数年かけて開発されたコンセプトだ。レゴ・シリアスプレイの理論的基礎を構成する4つの重要な要素は、(1)コンストラクショニズム、(2)遊び、(3)想像力、(4)アイデンティティである。本書の参考文献として挙げられている50冊近い書籍は、レゴ・シリアスプレイの理論的基盤を理解するための良い出発点となっている。」

THE GAZETTE 2024年4月号をDeepLで翻訳・筆者が修正

 レゴ・シリアスプレイ・メソッドの「プロセス」ベースにある「サイエンス」を理解しておくことは、他の領域の理論やテーマと組み合わせてプログラムをデザインするとき、また、さまざまな状況に応じてファシリテーションをするときに力となる。
 この「レゴ・シリアスプレイの科学」PDF版(英語)は以下からダウンロード可能となっている。冊子の文章量はそこまで多くないが、この資料には多くの参考文献が紹介されているため、レゴシリアスプレイをより深く知っていくために役にたつ。

https://files.constantcontact.com/6c094545001/71f6b36a-0052-4642-8301-4ecea73288b5.pdf

 なお、ここに出てくるExecutive Discovery LLCは、当時のレゴ社のオーナーであったケル・カーク・クリス チャンセンの会社である。ロバート・ラスムセンは2002年から2004年 の間にこの会社の代表を勤めており、もう一人のマスター・トレーナーであるペア・クリスチャンセン氏もこの会社に所属していた。この会社で1995年よりレゴシリアスプレイメソッドは開発された。その後、2004年に会社は閉鎖され、レゴ社にレゴシリアスプレイメソッド関連の知財が移されたとされている。

永続的な価値の創造
 レゴ・シリアスプレイのワークショップの永続的な価値は、文書化を通じて生まれます。トレーニングを受けたファシリテーターは、注釈入りの写真、図、ビデオを含む様々なテンプレートや、デザインし提供するワークショップの価値を永続させるための道具に触れることができます。

THE GAZETTE 2024年4月号をDeepLで翻訳・筆者が修正

 今後も、ますます、こうしたファシリテーターを助ける道具が作られていくだろう。また、どのような支援のための道具があれば、より大きな価値を創造していけるかについて考えていくことになるだろう。
 これは、以前のGAZETTEでも扱われていた「第3のイノベーション」の話でもある。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?