THE GAZETTEを読む(60)2024年4月号 レゴ・シリアスプレイのデザインとファシリテーションの技能
本記事は、ラスムセン・コンサルティングが発行しているメールマガジンTHE GAZETTEのバックナンバーを、日本語訳をしながら、コメントを加えながら読んでいくシリーズの一つである。レゴ®︎シリアスプレイ®︎(LSP)のファシリテーター・トレーニング修了者向けに書いている。
この記事の引用元原文はこちらのURLから確認することができる。
レゴ・シリアスプレイのワークショップをしたときに、「ブロックを買って自分で周りの人にしてみたいのですが…」と相談を受けることが度々ある。その時の私の答えは「ファシリテーターのトレーニングを受けることをお勧めします」というものだ。
ここがレゴ・シリアスプレイが、他のレゴブロックを使ったワークと一線を画す点である。ワーク全体のデザインとファシリテーションのための技術体系があり、それを学び、練習のなかで修得しなければ、自分が初めて参加した時の感動を再現することは難しい。
レゴシリアスプレイメソッドの大きな特徴の一つは、メソッドの価値を高めるために、ファシリテーターのコミュニティを大切にしていることにある。このコミュニティでは、さまざまな体験的知識が交換され、お互いの能力を高めるためのサポート(資料の共有、運営の相互協力、練習会の実施)が充実している。先日もアジア地域ミーティングが行われたばかりである。
また、筆者としては、このNoteの連載も、コミュニティへの貢献の一部だと考えて行っている。
なお、このような実践活動を前提としたコミュニティは、「実践コミュニティ」という概念で把握されることもある。実践コミュニティをどう育てていくかということが、そのままレゴシリアスプレイメソッドの価値の向上につながっていくといえるだろう。
実践コミュニティ論とレゴシリアスプレイメソッドとの関係についてはマガジンを作り、以下に少しずつ記事を増やしている。
レゴ・シリアスプレイ・メソッドの「プロセス」ベースにある「サイエンス」を理解しておくことは、他の領域の理論やテーマと組み合わせてプログラムをデザインするとき、また、さまざまな状況に応じてファシリテーションをするときに力となる。
この「レゴ・シリアスプレイの科学」PDF版(英語)は以下からダウンロード可能となっている。冊子の文章量はそこまで多くないが、この資料には多くの参考文献が紹介されているため、レゴシリアスプレイをより深く知っていくために役にたつ。
https://files.constantcontact.com/6c094545001/71f6b36a-0052-4642-8301-4ecea73288b5.pdf
なお、ここに出てくるExecutive Discovery LLCは、当時のレゴ社のオーナーであったケル・カーク・クリス チャンセンの会社である。ロバート・ラスムセンは2002年から2004年 の間にこの会社の代表を勤めており、もう一人のマスター・トレーナーであるペア・クリスチャンセン氏もこの会社に所属していた。この会社で1995年よりレゴシリアスプレイメソッドは開発された。その後、2004年に会社は閉鎖され、レゴ社にレゴシリアスプレイメソッド関連の知財が移されたとされている。
今後も、ますます、こうしたファシリテーターを助ける道具が作られていくだろう。また、どのような支援のための道具があれば、より大きな価値を創造していけるかについて考えていくことになるだろう。
これは、以前のGAZETTEでも扱われていた「第3のイノベーション」の話でもある。
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