見出し画像

思考ルーチンとレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッド(16)「どうしてそう言えるの?」

 今回はこの本の中で紹介されている「どうしてそう言えるの?」という思考ルーチンをとりあげる。

 この思考ルーチンの狙いは、ある物事について根拠をもって推論することを促し、習慣化づけることにある。

 また、教師がこの問いを発するとき、それは子どもの意見に対して興味を抱いているというメタ・メッセージを伝える効果もある。

 この質問は主に教師と子どもとの間で交わされることを想定しているが、子ども同士で自然に使うようになる場合もある。それはお互いに刺激を与え合って、証拠となる情報を意識しながら、より深く物事を考えていくことにつながる。

 一方で、この問いに悪い意味に慣れてしまって、簡単に思いつく単純な理由を出して終わりにするという思考パターンに子供が陥ることもあり、出すタイミングに注意することも重要である。

レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドにおける「どうしてそう言えるの?」

 この思考ルーチンは、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドにおけるプログラムの一つ、「リアルタイム・ストラテジー」の中で行われる場面を想起させる。
 そこでは、予期せぬ出来事に対する意思決定に対して「なぜ?(Why)」を繰り返しぶつけていきながら、その人の判断の本質にアプローチすることが行われる。

 多くの人は判断の根拠というものを普段は深くは掘り下げないので(ひとつ理由をつけるぐらいで、理由の理由、または理由の理由の理由まで明確に意識することは少ない、という意味)、この「なぜ?」を繰り返しぶつけていくことで、それまであまり意識されてこなかった自分自身の判断軸や価値観が明確になることには意味があるだろう。

 レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドでは、問いに対してモデルで作るということをするが、それだけでは、どうしてそのようなモデルを作ったか?という「答えの根拠」まで迫ることにはならない。

 そのため、モデルに対して「どうしてそう考えるの?」という追加の問いを投げることには、少し時間がかかってでも(追加でモデル表現をさせることを含めて)価値がある場面はしばしばあるだろう。

 ただ、この問いを連発することは、慣れによる思考鈍化の弊害を引き越してしまうので(うまくいく・いかないの差を生み出す要因がまだ十分にわかっていないので)、ファシリテーターはその投げ入れのタイミングに熟達する必要があるだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?