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リベレーティング・ストラクチャーとレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッド(2)問題意識とコンセプト

 リベレーティング・ストラクチャー(LS)の公式ページにアクセスすると、最初に出てくるのが、この手法が生み出されたもとになった問題意識とLSのコンセプトである。

 LSが示す問題意識として、上記ページに以下のようなメッセージが掲載されている。

 人々が日常的に一緒に仕事をする方法を組織するために使用される従来の構造は、知らず知らずのうちに、包括性と参加性を阻害しています。
 従来の構造は、抑制的(プレゼンテーション、現状報告、管理された議論)であるか、緩く無秩序(オープンな議論やブレーンストーミング)であるため、人々が自分たちの未来を形作ることに創造的に関与することができませんでした。このような構造では、しばしば不満や排除の感情が生まれてしまい、良いアイデアが生まれ、発芽するためのスペースを提供することができません。これは、膨大な時間と費用が間違った方法で費やされていることを意味します。そして、意図しない結果を解決するために、さらに多くの時間とお金が費やされるのです。

”Introduction”より。DeepLで翻訳し一部修正したもの。

 リベレーティング・ストラクチャー(LS)では、私たちが日常的にお互いに働きかけ合う、その型を「構造(structure)」と呼んでいる。人々(リーダーもフォロワーも)が無能であるためではなく、使っている構造にその可能性を阻害されているというのがLSの問題意識である。

 リベレーティング(Liberating)とは「解放する」という意味である。つまり、リベレーティング・ストラクチャー(LS)は人々の能力や創造性を解放するようなお互いへの働きかけ合いの型であるということができる。

 そして次のようなメッセージが続く。

 解放の仕組みは非常にシンプルで、簡単に学ぶことができるため、この代替アプローチは実用的で実現可能です。エグゼクティブから草の根まで、あらゆるレベルの誰もが使用することができます。長時間のトレーニングコースや特別な才能は必要ありません。習得は、単に実践の問題なのです。LSは日常的に、発見されるのを待って眠っている膨大な貢献と潜在的なイノベーションを解き放ちます。

”Introduction”より。DeepLで翻訳し一部修正したもの。

 誰にでも使うことができるように、シンプルであり簡単に学べるようにしていることが、リベレーティング・ストラクチャー(LS)のコンセプトである。

 上記のことを意識してLSは33の型に分けられている。それぞれに各型のエッセンスを凝縮したアイコンが用意さえているのも特徴である。

liberatingstructures.comより。左上隅の”LS Menu”とその下の”Design elements”はLSではない(解説ページ用のアイコン)。残りがLSのアイコンとなる。

レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドとの接点

 レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッド(LSP)は、主に会議の質の改善を問題意識としている。通常の会議では、一部の人(20%ぐらいの人)が発言の8割を占めるという「20-80」の話し合いであるのに対し、LSPによる話し合いは「100-100」と位置付けている。
 「全ての人が持っているもの全てが会議の場に出されるような話し合い」という点ではリベレーティング・ストラクチャー(LS)とほぼ同じである。
 LSの中にある話し合いを価値あるものにする(人々の可能性を解放する)ポイントは、同じ結果を目指しているLSPにも参考になる部分があるはずだ。

 シンプルで理解しやすく、簡単に学べるという点はどうだろうか。LSPはブロックを使って話し合うのための基礎練習を初めての人に施す。その点でLSPのワークショップはどんなに短くても1時間半〜2時間となる(デモだけだったらもっと短くても可能だが)。LSにおいては33のうちに難しいものもあるようだが、難しいのはファシリテーション(簡単といってもファシリテーターとしての技量は必要)であって参加者に何かのスキルアップを求めるようなものではないようだ。※この点については連載を続けていくうちに意見が変わるかもしれない(2022.12.25)。
 この基礎練習の必要性は、レゴブロックを使うということと引き換えに生じているものなので、ブロックという道具をつかうことによる話し合いの質の向上をどう評価するか次第で、その価値の感じられ方は異なるだろう。LSPの質を上げていくことは、ブロックを使う意味を追求するということでもある。

 LSに33という多くの型があることもさることながら、それを思い出しやすいアイコンがあるのはとてもいい。LSPにも基本となるコア・プロセスと7つの応用技術(アプリケーション・テクニック Application Technique)というものが存在するが、数が少ないためアイコンが無くても今のところ、困っていないものの、それぞれの本質を感じ、理解していくためにそのような形での表現があっても良いのかもしれない。

追記:投稿してから、7つの応用技術の他に、「スタンドアローン演習」と呼ばれる型があるということを思い出した。20ぐらいあるので合わせるとLSに匹敵するぐらい数がある。やはりアイコンが必要かもしれない。

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