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レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドで人々の「行動探求」を支援する(1)

 ビル・トルバートによって提唱された「行動探求(Action Inquiry)」は、非常に単純化していえば、行動と探求を同時に行うことである。言い換えれば、何らかの行動をしている最中に誤りを見つけ修正できるようにすることでもある。
 そのためには、外側から行動を統制をするのではなく、内側から行動を常に注視していくことになる。また、これは個人だけでなくチーム、組織のレベルでも実施可能であるという。
 現代の社会環境・仕事環境において、行動をしている最中に誤りを修正できることの利点は計り知れない。

 ただ、著者によれば、行動探求を実施することは多くの人ができていないという。
 それにはいくつかの理由がある。

 まず一つには、行動しながら同時にその行動を評価するためには2つを同時に視野に入れるような高い意識のレベルが必要であるからである。

 次に、行動をするにあたっては多数の基準が存在するからであるという。それらがぶつかり合うことになると、それらの中でよりよい行動を見つけ出すように評価しなければならない。

 さらに、人は自らを変化の中に置くと、不適切な行動を起こしてしまうリスクを避けようとする。そのため、探求そのものを避けてしまうことがある

レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドを使う利点

 行動探求を身に着ける難しさを見ていくと、ここにレゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドを使う利点が見えてくる。

 まず、自分自身のより高い意識のレベルを捕える体験をさせることがよりしやすくなる。より高い意識レベルを捕えることとは、自分自身を客観的に見る力であり、自分の行動の底にある価値観や前提を捕える力である。レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドを使えば、自分自身の価値観や前提という抽象度の高い思考でもモデルという形で表現できる

 次に、多様な価値観や考え方の基準を、等しく扱いつつ、それらの関連性や優先順位について考えることの体験を与えることもできる。レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドの中にある、ランドスケープ(景観形成)という応用技術を使うことで、大きなテーブルの上の空間に価値観を表現したモデルの並びを表現することで、多様な価値観の関係性を表現させることができるのである。

 最後に、探求を避けたいという気持ちに対しては、様々な状況への対応をプレイする場を提供することができる。まさに仕事の中で、というわけにはいかないが、リアルに近い状況をモデルで表現することで想像力を補い、それを使ってやりとりし、その場での行動と評価を同時にするトレーニングを行うことができるのである。

 今回は「行動探求」の基本的な概念と、それを身に着けるための問題点についてのみ扱った。

 もちろん、この「行動探求」の理論はこれだけにとどまらない。この記事のベースになっている、ビル・トルバートによる著書『行動探求』では、より詳細、かつ具体的に行動探求の構造や演習について述べられている。
 今後も、それらについて書いていきたい。

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