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卒業論文とレゴ®︎シリアスプレイ®︎

 年末年始は、卒業論文の季節である。

 大学教員も学生も毎年苦しむ時期である。

 どこで苦しんでいるかは各学生、各教員ごとに違うかもしれないが、主に卒業論文の提出期間の間近になると見えてくることが多い。

 だいたいハードルになっているのは2つのパートである。

 一つは、(A)何が問題解決の急所であるか見極めていくパートである。

 もう一つは、問題の急所に対する答えを定めるとともに(コロナ対策で最も重要な施策は何か)、その(B)答えの正しさを裏付ける強いエビデンスを示すパートである。

 これについて、完全に個人的な経験に基づく印象であるが、レゴ®︎シリアスプレイメソッドは(A)については強い。一方、(B)については相性はわからない、と感じている。

 (A)のように感じた理由は、順調に卒業論文をまとめさせられた学生は、レゴ®︎シリアスプレイ®︎のワークにおいて、複数の作品の並びを考える「ランドスケープ(相互関係を表現する)」※について特に積極的に関わっていたことにある。

 つまり、ランドスケープのワークの中で、相互の関係性を考え、何を中心におき、何を周辺に置くかについて考える力がその学生にもたらされた可能性がある。

並び
個々の作品の関係性を探る

(1/22 修正加筆 ここから)
 上記の写真のような表現を目指し、レゴ®︎シリアスプレイ®︎には作品間の並びを考えるワークがある。
 さらにワークのための時間がとれれば、その関係性を視覚化することもできる。

関係性を視覚化する

 上記で指摘した、順調に論文を書くことができた学生には、上記のような表現まで何度か体験させている。ここまでいくと何が中心的な作品でそれが他の作品とどうつながっているかがわかる。一般にいう「概念マップ」といったところだ。

 もちろん、そのような問題の急所を考える力はワークによってではなく、もともとワークをする前から学生に備わっていたという解釈もある。厳密な検証をしているわけではないので、ワークの効果か、もともとできていたのか、今のところなんともいえない。わかっているのは、上記のワークをさせると、その力があるかも分かるということだ。
(加筆修正ここまで)

 また、「(B)答えの正しさを裏付ける強いエビデンスを示す」ことについては、レゴ®︎シリアスプレイ®︎がどこまで貢献できるのか、今のところ、何ともいえない。

 実際に学生たちとワークをしているなかではいつも、(A)がしっかりとできるまで時間をかけてしまい終わってしまっている。ワークの中では、学生たちに(B)を強く感じるようなところまで到達できていない。

 いずれにせよ、先天的か後天的かに関わらず、相互の関係性を考え、何を中心におき、何を周辺に置くかについて考える力は相当な武器になるので、まず、それを確実に学べるようなプログラムを確立することを目指している。

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