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固定観念

 あなたは物を知覚する時、物を食べるとき何を考えているだろうか?
 おそらく記憶に残るような面白いようなことは考えていないだろう、日常的にする行動なのだから。
「これは食べられるのか?」「これを触って害はないのか?」そんなことは多くの場合考えない、なぜなら経験上それが食べられることや触っても害がない事を知っているからである。
 これはこういうものである、そういった固定観念によって私たちは脳を酷使することなく生活動作を行うことができる。しかし、固定観念は時に失敗を生む、ある事件を例にとって見てみよう。
 コティングリー妖精事件という事件がある。イギリスのある村で起きた論争だ。
 ある日、いとこ同士のフランシス・グリフィスとエルシー・ライトが妖精を見つけ二枚写真を撮った。写真は瞬く間に話題になり神智学者のエドワード・L・ガードナーがその写真に興味を持ち、二人に新しいカメラを持たせさらに三枚の妖精写真を撮った。これについて、小説家アーサー・コナン・ドイルが論文を書き雑誌に掲載したことでさらに有名になった。
 五枚の写真は真実なのか噓なのかが何度もいろんな場所で議論され、多くの専門家たちも様々な角度から真偽を確かめようとしたが結局わからなかった。
 そんな中、事件が動き出したのは1966年、60年近くかの事件からたった後だった。
妖精を見た二人のうちの一人、エルシー・ライトが雑誌であの写真は絵を切り抜いてはったものであると告白し、嘘であると判明したことで事件は幕を閉じる。
 さていったいなぜ民衆は騙されたのか?
 一つは有名人が絡んだことで別の講で紹介した「権威付け」が発動していること、もう一つは彼女たちが幼かったことが要因として考えられる。
 彼女たちが幼いことで何が起きるか、子供は純粋な天使のような存在として見られることが多い、もし仮に大量殺人の容疑がかかった子供がいたとしても多くの大人が何かの間違いだと一蹴してしまうのだ。これによってこんなフェイク写真を子供が作るはずがないと多くの大人が思い込んだのである。
 子供以外でも元詐欺師でFBIをもだました男、フランク・W・アバネイルJr氏が使った方法にパイロットの服を着て皆にパイロットだと思わせるという方法があった
 人間は情報をセーブする生き物で、ある一定以上の情報を受け取ろうとはしない。
 そのため、この人はこういう人だと記号的に認知することで判断をしやすくするのだ。
 だからこそそこには付け入る隙があるということなのである。
 ちなみに、コティングリー妖精事件の五枚目の写真については偽物であるとエルシーは最後のその時まで認めなかったので、もしかしたらということもあるかもしれない。

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