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動揺を利用した嘘

 現代、様々な詐欺が横行している。
 時代に合わせて様々な形で人々を騙しているわけだが、ある詐欺は時代が変わっても使われ続けている。
それがオレオレ詐欺である。
 オレオレ詐欺の手口は皆さんご存じの通り「オレだよ、オレオレ」と言って息子を装い消費者金融で借金をしただとか事故で大量にお金が必要だとか言って相手にお金を要求するというものである。
 この詐欺が世間一般に知れた詐欺方法であるにもかかわらずそれでも騙される人間がいるのはこの方法が人を騙すのに有効な点を抑えているからである。
 人は動揺すると頭が働かなくなる。
Twitterであった事件の話を例に出してみよう。
熊本地震があった時のこと、Twitterでこんなデマが流された。
「おいふざけんな、地震のせいでうちの近くの動物園からライオン放たれたんだが 熊本」
このデマはライオンによって自分は殺されるかもしれないという強い恐怖感情、知らないで外を歩いていたら大変だから仲間に知らせないといけないという強い正義感情、この二つの強い感情で情報の正確性を疑うことなくリツイートされていったのである。
ではオレオレ詐欺はどのような仕組みなのか、
オレオレ詐欺はよく知られているため最初オレオレ詐欺ではないかと疑いはするのである。しかし、人間は万が一を考える生き物だ。
万が一、本当に息子だとしたらどうだろう、消費者金融のイカつい顔のおじさんに何度も金の催促に来られて夜も眠れていないかもしれない、もしかしたら金の返却ができずに最悪の場合、保険金をかけられ殺されてしまうかもしれない。
 この万が一を想定することで冷静さを失い、ついにはお金を入金してしまい騙されるのである。
 さて、ここまで読んであなたはもしかしたら詐欺やデマでしか使われないと思っているかもしれない、だがしかし、実生活の中にこの手法は溶け込んでいるのである。
 では、私が最近本屋を歩いていたときにとある本の表紙に目が留まったのでそれを例にとってみよう、
 その本は教養本で現代社会を生き抜くうえで必要な知識が詰まっていると謳う本で「知らないと恥をかく」と帯には書いてあった。これに私は焦るわけである。これを知らないと笑われてしまうかもしれないと、焦った私はその本を急いでレジに持っていき、帰ってすぐ読書を始めた。著者の思うつぼである。こういう手に引っかからないためにも焦った時は頭が回らないものなのだと知っておくことが必要なのである。

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