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月経をコントロールする方法ーピル・黄体ホルモン療法という選択ー

ご無沙汰しております。産業保健師/性教育認定講師のきりん🦒です。

春ですね....🌸

「新しい季節なのに、辛い月経(生理)に振り回されたくないわ」

もしくは、
「女性ホルモンに振り回されている人が周りにいて、何か助けになるものはないか....🤔」

とお考えの皆様!

(どっちでもなくても、題名に興味があれば是非🦒!)

本日は、題名の通り
「辛い月経をホルモンでコントロールしてしまおう!」
という企画の下、世の中であまり良いイメージでないピルについて
(おまけで、それ以外の方法の1つとして黄体ホルモン療法)
をお話したと思います。

では、さそく参りましょう。

1.ピルは一部医療保険が効くものもあります

え、ピル?避妊の薬でしょ?

なんて、思われているそこの貴方!!!

ピルの成分って何だか知ってます?知ってて言ってます?🦒

あ、何だか感じが悪くなってしまいました💦
いや、知ってて言う人はいないと思うので、「ただの避妊薬」と言った方には、お伝えしましょう。

ピルの成分を!(今日のnoteをご覧頂くでも良いです)

一般的にピルと呼ばれている物は、

医療機関で

・OC(Oral Contraceptives:通称オーシー)や
・LEP(Low dose Estrogen Progestin:通称レップ)

と呼ばれています。
こっちの方が、格好良いですよね!

さて、女性ホルモンにより症状の出る病気に対して使用する場合の一部のLEPは、

医療保険が効きます。

大事な事なので、もう一度。

医療保険が効きます。🦒


そう。きちんと医師の診察を受けて治療が必要と判断された場合に保険で処方を受けることが出来お薬なのです。

要するに、花粉症の薬と同じようなものです。
(たとえが下手ですね)

ピルが日本で正式に販売された歴史はまだ浅く、ピル自体のイメージはあまり良くないのが現状です。

では、なぜピルは多くの方々に誤解をされる様になってしまったのでしょうか。

2.ピルの歴史から繙く誤解の数々

ピルの歴史 

え、気になるでしょう?
ならない方は、目次で飛んで下さい~🦒💨

では、参ります!
遡る事、1930年代の半ば、
アメリカのルッセル・マーカーが、ノースキャロライナで採取した山芋(ヤム)に生理痛を和らげる物質(植物性ステロイド)が含まれていることを、発見したことがピルの始まりと一般的に言われています。
(マーカーの生涯も面白いです!)

そのステロイドホルモンが、現在ある形として普及するには、
【女性の産む権利】
の定着に大きく貢献したマーガレット・サンガ―という女性の活躍があり、その他偶然にもその時代を生きた天才科学者達の物語が複雑に関係し合ってあるのです。
(この物語も、とても面白いです)

それだけでなくピルという薬の歴史には、
・アメリカを含む諸外国の社会文化的・宗教的問題との戦い
・性と生殖の問題
(俗に「性の乱れ」と言われる社会的な問題)

など様々な問題を切り抜けてここに存在するのです。

紆余曲折を経てピルは、
1960年にアメリカで経口避妊薬として世界初めて認可されました!
が....当初のピルは胃腸障害や静脈血栓塞栓症などのリスクがあると問題視されていました。

これは当時のピルは「高用量ピル」を使用していたためで、それらの副作用を改善したものとして
1973年初めて『低用量ピル』が開発されました。

以来、ピルは女性の性と生殖、心身の健康を支える1つの選択肢として現在も、多くの国で活躍しています。

日本では、1999年
欧米の動きから遅れる事約40年、ピルが認可されました。

なぜ40年も掛ったのか....?

これには、
根深いジェンダーバイアスが
関係しており、現在も少なからず、それが引き継がれていると私は考えています。

ただ、いつもお話しているように時代は2021年

令和です。

無意識のうちに刷り込まれた不確かな情報を、
自分の力で正しい情報に書き換えていく🦒
という事が出来る時代だと私は思います。

今回のnoteも、その一助になれれば性教育認定講師として、本当に嬉しいです。

3.そもそもピルって何でできてるの?

さて、前置きが長くなりましたが、ここから本題に入ります。

ピルって聞くと、
「避妊の薬じゃん、なんか体に悪そう、、、、🤔」

「そもそも、ピルって何?薬?何か変なもので出来てるんじゃない?」

っと思っているそこの
「あなた!🦒!」

ピルは、ホルモンで作られています。

では話が進まないので、ホルモンの内容から見てい行きましょう!

先日のホルモンのnoteで紹介させていただいたように、

月経周期(生理周期)は主に、

・卵胞から放出されるE2さん(エストロゲンさん)
・排卵後に卵巣から放出されるP4さん(プロゲステロンさん
)

などいくつかのホルモンの動きによって流れていることは、ご理解いただいているかと思います。

まだ、良く分からない!という方は、
ホルモンのnoteをチラ見すると、ヒントがあります!

今回も簡単に振り返りながら、進めて行きますね。

エストロゲン(卵胞ホルモン)さん
・卵胞の発育とと主に、卵胞の顆粒膜細胞と莢膜細胞というところから産生され
・子宮内膜(赤ちゃん:受精卵が着床するBED)を張り
・女性らしさを保つための様々な役目や骨を丈夫にする働きがあります。

そう。
主に、女性ホルモンと呼ばれているエストロゲンさんです。

この方と、プロゲステロンさん(黄体ホルモン)さんが入ったのがピルです。

😳『え?この2つで出来ているの?』

はい🦒

ピル=エストロゲン(卵胞ホルモン)+プロゲステロン(黄体ホルモン)

です。この2つのホルモンがバランスよく1錠の薬に含まれています。

😳『元から、自分の身体に在るものなんですね?

その通り!科学の力で作られてはいますが、元から私たちの身体の中にある者を外から入れて、コントロールしているのです!

では、沢山あるピルの種類や、働きなどを一緒にもう少しして行きましょう!

4.ピルの種類

ピルには、

・エストロゲン(卵胞ホルモン)の量による分類、
・プロゲステロン(黄体ホルモン)の種類による分類

⇒ここで面白いのが、『第◯世代のピル』と言う呼び方!
もう、Ap◯leみたいですよね😎!
その世代を分類しているのが、このプロゲステロンの種類なのです!

・配合されているホルモンパターン
による分類があります。

それぞれに特徴があるので、自分の身体に合ったピルを選ぶことができます。

※ここで紹介するピルは、「(超)低用量ピル」です、
「低用量ピル」はエストロゲンの含有量が50μg以下のものを指します。
「超低用量ピル」はエストロゲンの含有量が20μgあたりのものを指します。

では、早速見て行きましょう!

こちらの図(1)は、ホルモンの配合パターンの違いによる分類です。

色々書いてありますが、主な分類は
・「1相性」
・「3相性」

があるという事です。

※一応、「2相性」の物もありますが、今は殆ど使われていないのでここでは登場しません!

何が違うかというと、上の図を見てもお分かり頂けるかと思いますが、

最初から、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が同じ量ずっと入っている物
⇒『1相性』

エストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)の量が途中からだんだんと増えて行く物
⇒『3相性』

という違いです。
これは、ヒトの生理周期に似せているかいないかの違いとも言い換えられます。

図(1)で黄体ホルモンの状況を見て頂くとお分かりだとは思いますが、

黄体ホルモンの働きに苦しむ方
=【PMSやPMDD】などの月経前症候群の症状が強い方

には3相性はあまりお勧めしません。

なぜなら、月経周期に似せて、黄体ホルモンの含有量が増えているから!

とてもシンプルで分かりやすいですよね。

ちなみに、保険の効くピルは現時点で全て1相性です。

では、ピルが実際どんな物なのか少し写真で見てみましょう👀✨

(ここではいくつかの会社のピルをピックアップしておりますが、特に会社様との繋がりはございません)

上記のピルは保険が適応されるピルの1つ
「ヤーズ(バイエル)」です。

縦が4列、横が7列、、、、
そう!カレンダーですね!

ピルは28日分が1シートのパッケージに入っているタイプが殆どです。
これは、自然の月経(生理)周期に似せるためです。

さて、このピルは少し特殊なのですが、色の違いを見て頂くと最後の4日分は白くなっています。
これは休薬期間と言って、ホルモンをお休みする期間に飲むプラセボ(ニセ薬)です。

プラセボ(ニセ薬)は何もホルモンの入っていないお薬なので、飲みたくなければ飲まなくても大丈夫!

休薬を何日取ったかをカウントする物です。
他のピルでは7日分のプラセボがついていたりもします。

ホルモン剤の入っていないお薬に移った段階で、自然の摂理と同様に、プロゲステロン(黄体ホルモン)の働きがなくなる為、子宮に用意された赤ちゃんのBEDは剥がれ、月経が来ます。

上記の「ルナベルULD(日本新薬/ノーベルファーマ)」には、先ほどのヤーズのような偽薬はついておらず、穴をあけて休薬をカウントする方式です。

ちなみに、ピルは21錠が1シートになって1か月分で処方されるのが、スタンダードです。
上記、ルナベルがイメージとしては、1番それに近しいかなぁと個人的には思います。

その他、7日間偽薬付きの物、また、シーズンズピルと言って季節ごとにしか生理を起こさないタイプもあります。

余談ですが、
応用として....

休薬をせずに、ホルモン剤部分を飲み続け(月経を止め続け)適度なタイミングで休薬をして自分の好きな日に生理を持ってくる方法もあります。

(この応用は、「1相性」のピルでしか対応できません。黄体ホルモンの関係です)

大切な会議や試験等を控えている時、
生理がズラせる事は、なんともありがたい事だと私は思います🙌


おまけ🦒

下記は、「3相性」のトリキュラーです。

色の違いによって、ホルモンの含有量が変わっていくのが特徴です。
ちょっと昔食べたマーブルチョコみたいで可愛くないですか?☺️

おまけその➁🦒

また、大切な事なのですが、

「ピルは毎日1錠、決まった時間に飲むのがルール」

これが中々難しいんですよね、、、、でも、習慣になれば大丈夫!
※これをクリアするのが後述する「ミレーナ」という存在です!


さて、お次はピルが怖いと感じる方へのお話です🦒....


5.なんで、ピルで月経が止められるの?それって体に悪くない?

と思われたそこの貴方!

自然に逆らっているような気持ち。とても良く分かります。

でも、ここらのお話を聞いて頂き、是非ピルに安心感を持って頂けたらなぁと思います!

さて、少し難しい話をしていきます。

と言っても、私はきりん🦒(動物)なので、とっても分かりやすくお伝えしていきますのでご安心ください~。

ここでは

『なぜピルが排卵を止める事が出来るのか?』

『なぜ、自由自在に月経を調節できるのか?』

そこに迫ってみましょう!

下記の図が分かりやすかったので、静岡LC様からお借りしました。

※ここで記載されているOC=ピルと思って下さい!
(LEPもOCと同様に考えて頂いて大丈夫です)



ピルの主な働きは排卵を止めることです。
排卵を止めれば、生理は止まります。
そして、止めた生理を好きな時に開始する事が出来ます。
それも含め、3つの働きがあります。

①卵巣を休ませる
ピル(エストロゲン+プロゲステロン)を飲むと....
『脳』の視床下部や下垂体に作用し、
エストロゲンやプロゲステロンが卵巣から分泌されていると思わせてしまうのです!

⇒結果、視床下部からGnRHや下垂体からFSHとLHの分泌も抑さえてしまいます。

したがって、卵巣中の卵胞はFSHの刺激を受けないため卵胞の発育や排卵が起きません。
簡単に、、、、

卵巣は休んだ状態になっているのです。

「卵巣が休む」という事は、排卵が起きないという事です!

➁子宮内膜を薄くする
ピルに含まれる
「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と
「プロゲステロン(黄体ホルモン)」は、
子宮の内膜にも働きかけを行います。

「エストロゲン」の作用によって、
子宮内膜(赤ちゃんのBED)は多少増殖するものの、「プロゲステロン」の作用により、その増殖は抑えられます。

⇒比較的薄い子宮内膜(BED)となり、例え排卵し、受精しても着床が難しい状態となります。

③精子の子宮への侵入を防ぐ
「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の影響で
子宮の入口にある粘液の性状が固くなり、
精子が子宮内に入って行けない環境にもなります。
(逆にサラサラになる時期が精子をお迎えするチャンスの日です!)

⇒「プロゲステロン(黄体ホルモン)」は
通常、排卵すると卵巣から放出されるホルモンですよね?
そう、黄体期と呼ばれる月経周期の後半は、精子が入って来てしまうと妊娠の妨げになるので、黄体ホルモンは、精子が子宮内に入って来にくくする作用を元から持っているのです。

赤ちゃんのBEDを整えておく、よけいな精子の侵入を防ぐという観点からもお分かりいただけたかと思いますが、
プロゲステロンさんは、妊娠継続になくてはならない存在なのです!

人間の生殖の神秘はここにもあり!
凄いですよね。

今回女性の身体を助けるという所がPOINTなので、③はオマケですが、

ピルは元来、私たちの身体に在るホルモンで色んな理にかなった法則で月経を止めていること。
怖い薬ではないよ!という事を少しでも感じて頂けたら嬉しいです。

さて、①と②から....

ピルのメリットのまとめ

その①卵巣を守る!
卵巣をお休みさせる事で無駄な排卵を避ける。
⇒以前お話しましたが、卵巣は排卵をすると、
かなりのダメージを受けます。
そのダメージを少なくすることが、
『卵巣がんの予防』
『子宮内膜症の予防、治療』に繋がります。
その②生理痛を軽くする/生理の量を減らせる
子宮に張る子宮内膜と呼ばれるbedはピルで薄くなる
⇒生理は子宮内膜を子宮の外に押し出すもの。
押し出す量が減れば押し出す力も弱くなる。
(生理痛の軽減が見込める)
押し出す量が減れば生理の量も減る
(経血量[生理の量]の軽減を見込める)
という仕組みです!

ちなみに、上記がピルが保険適応である理由です。

医師が診察を行い、
・過多月経(生理の量が異常に多い状態)や
・月経困難症(生理痛や生理中の不調が社会生活に著しい悪影響を及ばしている状態)

と診断した場合に保険が適応され、処方して貰う事が出来ます。

※冒頭でもお話しましたが、保険適応のピルは種類が限られています。
そして、保険適応外でも病院で販売しているものが沢山あります。
種類やお値段も様々!
ご自身に合わせてCHOICE出来るので、相性が悪ければ、変更することも出来ます!
(是非、医師や看護師さんとじっくり選んで下さい)

6.ピルの副作用

もちろん、ピルにもメリットだけではなくデメリットもあります。
それを正しく知った上で、選択することが大切です!

ここでは、いくつか副作用を紹介します。

最初に大切なことは、
「副作用を知ることで、大きな問題を防ぐ事が出来る可能性がある」
という事です。

では、早速見て行きましょう

【ピルの副作用】
(主にピルに含まれるホルモンの影響であると考えられています)
ー比較的軽いものー
・嘔吐(嘔気)⇒気持ちが悪くなる 
・頭痛
・倦怠感(なんとなく身体がダルイ)
・乳房緊慢感
・不正出血

これらは初めてピルを使用し始めたシートで1番多く出現します。
使用を継続していればに徐々に軽減してきます。

ー重篤な副作用ー
・血栓症(血液が血管内で固まってしまう病態)
⇒ピルを使用していない方の血栓症発症のリスク
 「年間10,000人あたり1~5人」
⇒ピル服用女性では3~9人と報告されています。
一方、妊娠中及び分娩後12週間の血栓症の発症頻度は、
それぞれ「年間10,000人あたり5~20人および40~65人」
と報告されており、
妊娠中や分娩後に比較すると低用量ピル内服による頻度はかなり低いことが知られています。

定期的な検診や医師の診察、血栓症状を見逃さないような対処
を行うことで、血栓症を大きく恐れることはないかと個人的には思います。

上記を踏まえて、
ピルを使用する際は、自費であっても、医師の管理下であることが大切であると私は思います。

ピル使用開始を機会に「かかりつけの産婦人科医」を作ると安心です!

7.ピルが飲めない方

こんなに良い面を持つピルですが、残念なことに誰でも問題なく使用できるものではありません。
使用できない方(ここでは禁忌と表現します)もいます。
また、服用に際して、医師の管理下で慎重に服用しなければならない方もいます。

・ピルの絶対的禁忌(ピルが使用できない)
・相対的禁忌(ピルの使用に際して、医師の管理下に行うもの)

主なものを紹介します。
しかし、ピル以外の方法もあるので、下記にあてはまる方も、是非産婦人科医師に相談してくださいね。

1)高血圧 
2)喫煙
3)肥満
4)40歳以上の方
5)糖尿病
6)妊娠・授乳中 
7)手術前・手術後
8)肝機能障害
9)てんかん治療薬など服用中
10)偏頭痛(前兆のある)
11)エストロゲン依存性の病気のある方で医師に服用を止められている場合
等....


8.ピル以外の『黄体ホルモン療法』という方法(ミニピルはこちら!)

1つ前にお話した『ピルが飲めない方』や
ピルの飲み忘れが怖い、、、
という方は月経の辛さと痛み止めでしか戦えないの?😢
(もちろん、全ての方に適応にはなりませんのでご注意を)

と思われた、そこのあなた!
あります!あります!
諦めちゃそこで試合終了です🦒🕶️

ここでは、そのような方でも安心して受けられる
『黄体ホルモン療法』をご紹介します。

『黄体ホルモン療法:その①』

【ミレーナ】という存在
これ、私も子宮に入ってます🦒....✨

ミレーナ(IUS)とは、
子宮の中に挿入し、一定期間そのまま置いておくタイプのホルモン療法です。

ミレーナには、
「黄体ホルモン:レボノルゲストレル」
(⇒早口言葉みたいですよね....私は咬まずに読めたことはございません!)

が含まれており、
子宮内で黄体ホルモンの成分が持続的に放出されます。

そう、皆さんご存知の....!
『妊娠した状態と、脳を錯覚させちゃう作戦』
です!
ですので、効果はピルとほぼ同様との認識で良いかなと思います。

置いておくって....?🤔と疑問に思いますよね!
では、ミレーナを見てみましょう👀✨


ミレーナの本体は、やわらかいプラスチックでできています。(下記の図参照)

かなり大きくしてますが、子宮がニワトリの卵の大きさだと想像しつつ、更にミレーナが拡大されて見えやすくなっていると思って下さい。
実寸は下記の写真をご参考に!
バイエル様からお借りしました。

ミレーナは産婦人科医が診察を行い、
取り扱いがあれば、普通のレディースクリニックでものの5~10分で入れられます!

【ミレーナとピルの比較】
・低用量ピルは血栓症のリスクがあります。
⇒これは、成分の部分でもお話した通り、「エストロゲン」が含まれているのが理由です。
しかし。ミレーナにはエストロゲンは含まれていないのです!
黄体ホルモンのみしか使用していないので、血栓のリスクが上がりません。

そう!「ミレーナは血栓症のリスクが、ピルより低いのです!」

年齢的にピルの内服で血栓症のリスクが高い方、タバコを多く吸うなど、低用量ピルでは禁忌や慎重投与と判断されて服用を控えていた人でも、ミレーナなら使用できることも多い理由がここにあります。

・ミレーナは毎日飲まなくて良い
⇒ミレーナは子宮に入れて持続的に黄体ホルモンが放出されています。
毎日ホルモンを一定の時間に補わなければならないピルとは異なり、
一度入れてしまえば『5年間』は有効です。
飲み忘れるなどの心配や、
旅行などでも持ち歩かなければならない煩わしさ、
災害時なども、月経を気にせず過ごせることは、
大変快適ですよね。

そして、そして、

🦒「ミレーナも保険が適応します」

ピル同様
・強い生理痛等の症状(月経困難症)
・月経量が異常に多い(過多月経)

に、ミレーナは有効であるとされています。

(ですので、上記に当てはまると医師が判断した場合に保険が適応される場合もあります!)

子宮や卵巣の状態によっては、ミレーナが使用できない場合もありますので、気になった方は産婦人科医師に相談してみてください!

「ミレーナ」は経産婦(出産を経験したことのある方)にしか挿入できないと仰る医師もいます。
ですが、「ミレーナ」は未経妊(一度も妊娠や出産を経験したことのない方)
でも挿入可能です!
病院に問い合わせる際や、HPなどで確認してみると良いと思います🦒

『黄体ホルモン療法:その➁』

【ミニピル】

ミニピルは、黄体ホルモンであるプロゲステロン単独で作用するピルです。
Progestogen-Only Pill(プロゲステロン・オンリー・ピル)
略してPOP(ポップ)とも呼ばれています。

イメージは、ミレーナと同じ
『妊娠した状態と、脳を錯覚させちゃう作戦』
です。

POPは、黄体ホルモン単独剤なので、
ミレーナと同じく「血栓症の心配が少ない」という特徴があります。

上記は「セラゼッタ(MSD)」です。
飲み方は矢印に沿って飲み続ける感じですね!

デメリットとしては、不正出血が起こりやすいこと、
ピルと同様に毎日同じ時間に内服をする必要があることが挙げられます。
これは、後述する「ノアルテン」にも共通して言えます。

🤔「そうそう、ノアルテンというのも聞いたことがあるけど??」

『ノアルテン』は、無月経や月経周期異常の治療に用いられるお薬です。
正確には、ミニピルではありません。
しかし、強めのプロゲステロン(黄体ホルモン)製剤なので、ミレーナやミニピル同様に
『妊娠した状態であることを脳に錯覚させる』
という働きをし、排卵を止めることが出来ます。
それを利用してミニピル代わりに処方をしてくれる産婦人科医もいます。

本来のノアルテン、『ノアルテン』は
主に、「ホルムストローム」や「カウフマン療法」
という月経周期を整える治療に使用します。
※上記の治療で用いる場合はエストロゲン単独製剤と併用して用いられる事が多いです。

ノアルテンの黄体ホルモン量はノルエチステロン換算で5000μgです。
それに対して、ミニピルのセラゼッタ(デソゲストレル75μg)は675μgであり、ノアルテンはミニピルの7倍以上の黄体ホルモンが含まれています。

これにより、ノアルテンの方が、POPと比較して、血栓のリスクがある(海外での7万4千人規模の調査)言われていますが、ピル同様に産婦人科医師の管理下で十分に注意をして使用する分には問題ないと考えられています。

9.まとめ


今回も長々語ってしまいました😅
私も大学時代はピルユーザーでしたし、
今は『ミレーナ』を入れて頂き早3年半....🦒✨

月経の度に辛い思いをしていた時代の自分に
『未来の🦒は悩むことなくコントロールして、イキイキやってるよ!』

と伝えたいです。

あ、ちなみに、ここまでお読み頂いたあなたななら....
ピルは排卵を抑制するため避妊薬としても使えるよって事も....💡
その通りです。

さて、今回の記事も
『絶対飲みなよ!使いなよ!』
というものではなく

『こんな方法もあるよ。もし、良かったら☺️』
というもので書いています。

🦒産業保健の目線では、

月経痛や月経随伴症状(PMS:月経前症候群)などの不調で、思うように仕事がはかどらない方や、大切な仕事を控えている時期の方に、それらの辛さをコントロールする方法があります!

と伝えたいです。

知らずに、痛みや体調不良を抱えながら仕事をする方が少しでも減るよう。
是非、このnoteでお話した事を社員様に1つの選択肢としてお伝えいただけましたら幸いです。

長いお時間お付き合い頂きありがとうございました!🦒
(今回は長すぎて、ごめんなさい💦)

【参考文献等】

・低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤
ガイドライン(案) :公益社団法人日本産科婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/news/pdf/CQ30-31.pdf

・マーガレット・サンガー 嵐を駆けぬけた女性 
著者 エレン・チェスラー (著),早川 敦子 (監訳),性と健康を考える女性専門家の会 (監修)

・ピル50年史 m3リプロヘルス情報センター

・婦人科・乳腺外科疾患ビジュアルブック 第2版
 落合慈之/角田肇/針原康

・産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2020
 公益社団法人日本産科婦人科学会

超おまけー保険適応のお値段ー

2021.4~ピルや黄体ホルモンの薬価(お薬の値段)が改訂されました。
今回お話した、ピルやノアルテンのお値段です。

ジェノゲストやディナゲストはプロゲステロン(黄体ホルモン)単独製剤です。(主に、子宮内膜症の治療として使用されます)

私がピルユーザーであった時代からしたら、物凄く安くなって驚いています。

勿論、自費のピルは病院ごとに値段がつけられるのですが、保険価格と大きく差が出るようにはなっていないかな。というのが個人の印象です。

自費の場合は、病院のHPを確認されると良いかと思います。

次回は、月経卒業前後の不調との付き合い方にしようか、、、と考えております。

長々ありがとうございました🦒

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