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「不妊治療を受けている人の靴」を履いてみる

皆さん!こんにちは!
産業保健師/不妊カウンセラーの🦒きりん🦒です。
またまたご無沙汰しております!
(まぁいつもの事ですね🦒←開き直り!)

5月に久々に不妊症の記事を書きまして、
🦒『次回は、不妊症に悩む人々の心の負担』
について書きます!
と宣言してから早5カ月🦒…。

最近参加した勉強会で、疑似体験というものをして、
「当事者でなくても、その人の見ている世界を垣間見る」という機会に恵まれました🦒

その時を振り返ると、「他者の靴を履く」ってこんな感じなのかも?
こんな風に世界が見えるのか…。
と私の中に、気付きが満ち溢れて、
まだ咀嚼しきれていないというのが本音です。

さて、前回のnoteからずっと
「どんな風に表現をしたら不妊に悩む人々の心の負担ってnoteで情報発信できるのだろうか?」
を考えていた🦒の心にピタッとハマったので、今回はそんな感じで書き綴って行こうと思います。
では、今日も始まり始まり🦒…。


1.そもそも「他者の靴を履く」ってなんですか?

「他者の靴を履く(To put yourself in someone’s shoes) 」
私がこの言葉と出会ったのは、
ブレイディみかこさんの書いた
「他者の靴を履くーアナ―キックエンパシーのすすめー」という本です。

以前にも記事にした、「産業カウンセラー講座」でも
「共感」と「同感」って何が違うの?
という問いを何度も先生に投げかけられました。
当時は正直、何となく腹落ちしたような、そうでもないような
モヤモヤした気持ちを持っていました🦒

そんな中、何となく本屋で出会ったこの1冊。
(多分新発売?のコーナーにおいてあったんだと思う)
ジャケ買いした所、私のモヤモヤにほんの少し光が入りました。

少し、「他者の靴を履く」を見て行きましょう。
(ここでは、「エンパシー」という表現に置き換えさせて頂きますが、エンパシーにも種類があり、ご興味あれば、上記の本をお手に取って見られても良いカモしれません🦒)

さて、前置きが長くなりましたが、
「エンパシー」和訳すると「共感」、
「共感」(エンパシー)とは?

エンパシー【empathy】の解説
感情移入。人の気持ちを思いやること。
[補説]シンパシー(sympathy)は他人と感情共有することをいい、エンパシーは、他人と自分を同一視することなく、他人の心情をくむことをさす。

出典:デジタル大辞泉(小学館

ほうほう。ちょっと、「シンパシー」も気になっちゃうぞ!🦒

シンパシー【sympathy】の解説
同情。また、共感共鳴

出典:デジタル大辞泉(小学館)

おお!これが、まさに「共感」「同感(同情)」の違い!
ブレイディみかこさんの表現をお借りすると👇

「エンパシー」・・・
「この人はどうしてこういう言動をとるんだろう」「どういう 背景があるんだろう」と、相手の立場に立って想像する・理解する スキル。
「シンパシー」・・・
「いいね ! 」「わかる ! 」 といった直感的な感情。

キャリアガイダンス 2021 DEC. Vol.440 今月のオープニングメッセージ ブレイディみかこ

何だか分かる!(おっと!)
けど、まだ腹落ちしない…。
となったそこのアナタ!ここの私!
別の表現を見て行きましょう🦒…。

エンパシーとシンパシーの違いは、
それが知識や経験を必要とする作業かどうかにある。
例えば、テレビのニュースで、戦火を逃れ難民キャンプで過ごす人々を見たとき、どんなことを思うだろうか。
「故郷を追われてかわいそう」、「食べるものがなくて辛そう」
と感じるのは、シンパシーだ。
一方、「この国はどんな歴史を辿ってきたのだろうか」、
「現地の人々はどんな影響を受けたのだろう」
と背景に興味を持ち、歴史的事実や国の状況を調べ、彼らが“なぜ、何を、どのように感じている”を考えるのが、エンパシーである。
当事者に寄り添った目線で考えることができれば、本当に必要とされている支援や声がけができる可能性も高まる。
知識や経験が豊富であればあるほど、あらゆる選択肢や可能性について考慮することができる。エンパシーは、鍛えられる「能力」なのだ。

エンパシーとは?その意味とシンパシーとの違いを解説 あしたメディア より引用

ブレイディみかこさんも著書のなかで、
「エンパシー(empathy)・・・他者の感情や経験などを理解する能力」
エンパシーは能力であり、身に付けることができる。
と書いていました。

ほうほう。まさに
プロフェッショナルのスタンス。
ってコレかもな。
と思う🦒。

例えば、保育園の先生達。
子供を産んだり育てたりしたことがない方も居るけれど、
親が“なぜ、何を、どのように感じている”を考え支援するって
事を常に意識しているように感じる先生に出会った。
助産師さんも、そう感じる方に何人も出会ってきた。

例え経験がなくても、当事者じゃなくても
その相手の背景に興味を持ち、
相手にとって本当に必要とされている支援や声がけを考え行動している。
そんな支援者に出会った時に🦒が感じるのが
「プロフェッショナル」な人なんだ。
って気持ち。

🦒は過去の当事者であって、現在の当事者ではない。
だからこそ、「不妊」と向き合う時には、一度自分の靴を脱いで。
相手の靴を履いてみる必要があると思っています。
(こんなに不妊不妊って言っているのは、過去があるからなんだけども)

そして、プロとして向き合う時には、
誰でもそのスタンスがあるとヨシッかもしれないと思う。
(勝手に私が思っているだけですが…。)
ココを感じながら、今日のこの後のお話を是非読んで頂きたいです。
(また、すごーく前置きが長い🦒…。)

2.「不妊症」について、考えてみる

背景を知り、その流れの中に自身を置き、見える世界を感じ/考える。
ほんの触りですが、やってみましょう。

0.まず、自分の靴を見てみる

まずは、ご自身が「不妊症」について、どのような気持ちを持っていますか?
60秒位、何でも良いのでご自身のイメージを頭に浮かべてみて下さい🦒!

*****************
これは個人によって様々だと思います。
当事者、経験者、近しい方に治療中の方のいる方。
全く縁がなかった方。

いかがでしょうか?
どんなイメージがあるか、改めて感じたことはありましたか?

*****************
厚生労働省の「不妊治療と仕事の両立に関わる諸問題についての総合調査」から、【不妊治療に関わる実態を知っているか?】という問いに対して、

な、なな、なんと!!!
『76.7%』が「ほとんど知らない/全く知らない」という結果が出ています🦒!

※2)不妊の検査や治療を受けたことがある(または受けている)夫婦の割合、生殖補助医療により誕生している子どもの人数、排卵誘発剤 と排卵促進剤の副作用、不妊治療に一般的に必要とされる通院頻度

不妊治療と仕事との両立サポートハンドブックより引用

そのくらい、「イメージ」がない方が多いというのが現実としてあるのですね。
(「不妊×産業保健」を名乗る🦒としては、これも驚き!自分の見ている世界がいかに一般的ではないかが分かりました)

上記のような周囲の認知度の中で、
「不妊治療と仕事の両立をしている」

そんな状況にあるというのも1つ「不妊治療を行っている人」の立っている世界なのかもしれません。

今まで、様々な角度から発信をしてきましたが、
今日は、また違った視点から「不妊治療」を見て行きます🦒…。
自分の靴を確認したり、脱ぎ去って、他者の靴を履いてみたり
色々TRY出来ると良いかなと思います。
では、参りましょう🦒

1.「不妊治療」って聞くとどんな印象を持ちますか?

一般的には、
「子を授かる事を求めるカップルが行う、”子”を授かる為の治療」
というイメージが多いかもしれません。

「不妊」の定義は、下記のように記されています。

「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。

公益社団法人 日本産科婦人科学会HP 不妊とはより引用

上記の状態を「治療」するのが、
「不妊治療」ですね。
日本産科婦人科学会HPの定義と同じページには、原因や検査についても記載されているので、ご興味がある方はリンク先に飛んでみて下さい。

そして、前提に戻りますが、
「不妊」を「治療」するに至った経緯として、

男女問わず「患者さん自身の身体状態が不妊治療の対象である」という診断を医師からされているという所がスタートになります。

※不妊の原因の半分は男性要因です。
男女問わず、そのような診断を受ける可能性がある事、「不妊治療は」女性に対して行われるモノだけではない事もイメージしながら読んで頂きたいと思います。

男女問わず、もし、ご自身の生殖に関する身体機能が否定されたら
(自然に授かるのが難しい状態と診断されるという現実を突きつけられた時)、
皆さんはどのように感じますか?
子を望む/望まないに応じて、感じ方が変わるかもしれませんが、
少なからず、ショックと衝撃を受けるのではないでしょうか?

当たり前と思っていた、
「生殖に関する身体機能」が
原因もイマイチはっきりしないままにして、正常に機能していない可能性がある。
スタートから、
この事実を受け止め、向き合い、
進んで行くのが「不妊治療」なのです。

”授からない”現実と”当たり前に機能していると思っていた生殖機能”が機能していない可能性があるという現実。
これを抱えながら、「絶対に成功するという保証のない治療」に立ち向かう不妊治療中の患者さん。

少しだけ、「不妊治療」を始めた方の世界が見えてきましたか?

また、どんな要因があっても、「不妊治療」は子宮や卵巣を持つ女性が治療の中心になることが多いもの。

女性に掛かる負担は、治療の方法やスケジュールによって個人差が激しく、個々の負担の状況は計り知れないのですが、一般的なスケジュールを知ることで、イメージが付くかと思います。

「治療の事なんであんまり分からなし、何で急に何度も病院に行くの?」
という疑問を持つ方もいらっしゃるかと。

実際に高度生殖補助医療(ART)を受ける場合は圧倒的に女性の負担が大きい事は以前にもお伝えしていおりますので、ちょっとイメージ沸かないわって方は是非参考にしてみて下さい👇

原因が何であれ、治療は女性側の負担が大きいのが不妊治療。
ここは、想像しやすいかもしれません。

その辛さも踏まえた上で
原因は半々、かつ「カップルで子を授かる事を望む」という点で
『不妊治療は女性だけのものではない、パートナーと共に歩むもの』
『不妊治療は、カップルで臨んでいる治療』

という視点が加わると、また一つ見え方が変わって来ませんか?

※これは、当事者カップルの方でも「家族との関係性」という課題の中の1つ、パートナーとの「不妊治療」への意識の違いがあるかもしれません。
カップル間でも全てのカップルが全面的に支えあい治療を継続しているケースもあれば、男性側が自分事として捉えることが難しい場合など多岐にわたり、カップルの数だけ臨み方が異なると思います。

2022年4月から「不妊治療保険適応」のために新設された
(新) 一般不妊治療管理料 250点(3月に1回)
(保険適応として管理するために必要な項目というイメージで良いかと考えます)

ここに、
(2)治療計画を作成し、当該患者及びそのパートナー(当該患者と共 に不妊症と診断された者をいう。)に文書を用いて説明の上交付し、 文書による同意を得ること。
と記載があります。

 厚生労働省ー不妊治療に関する支援について
令和4年度診療報酬改定 Ⅲ-4-1 子どもを持ちたいという方々が安心して有効で安全な不妊治療を受けられるようにするための適切な 医療の評価-①  より転載

このことからも、「不妊治療」は「カップルで臨むもの」であり、
男女で通院することが社会的にも必要とされていることを知っておくのも良いかもしれません🦒

2.そもそも「不妊症は病気なの?」

さて、少し話は変わりますが
皆さんは「不妊症」を病気だと思いますか?

これには、様々な意見があるかと思います。
🦒自身、この問いを真剣に考えてみたのはわりと最近の事でした。
(当事者だった時、正直考えたことはなかったです)

最近は、上記資料にもあるように保険適応になったことより、
「病気」として扱われている部分も感じやすいかもしれませんが、
人によって印象が異なるかもしれません。

少し、一般的な「病気」の解釈と比較して、『不妊治療』の独特な点と比較してきましょう。

通常、「病気」になれば、治療を行い、治すことに専念しますね。
状況にもよりますが、ここではイメージしやすくするために
「仕事と治療の両立支援」という形に置き換えて考えて行きます。

「働く場」を扱う産業保健的に考えると、
「病気」が発覚した場合、職務の遂行が免除(休職や合理配慮等)され、一時的に病気の治療に専念することが認められます。
そして、その病気が回復したら雇用契約に基づき契約した元の労務提供を行う為、職務を遂行することが求められます。

この時の「病気」の解釈は
→医療技術を施せば、回復する見込みのあるもの(disease)かなと個人的には思います。

※disease:医療者がイメージする病気 という事にここではしておきます

しかし…🦒

不妊治療の場合は、病院に通って医療行為は受けているものの、
決して回復(成功)の見込みが高い治療を行っているわけではない。
→出産(生産)をゴールにした場合、35歳までが20%程度で、その後は年齢を重ねる毎に低下(下記図参照)するのが見えてくるかと思います。

2020年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績(日本産科婦人科学会)


また、全ての症例にあてはまる事ではありませんが
「子どもを授かりたいという希望の実現のために行う医療」という解釈になる部分もあるかと考えています。
※「回復の見込み」をここでは、出産をイメージ

この時の「病気」の解釈は
→患者がイメージする病気(illness)
つまり、患者さん自身の主観的な健康状態の把握としての病気
と考えることが出来るかもしれません。

このように、「治療」の結果が必ずしも「回復(子を授かる)」という事に繋がらないという事、
「不妊症」という状態を放置し続けても、日常生活には支障がなく身体に生命の危機を及ぼすものではないという点からも、
「病気」なのかどうか?という捉え方が、周囲と当事者では異なる可能性があるのではないかと思います。

少し不思議な感覚を持つかもしれませんが、
「不妊症」は
「何らかの原因によって自然に授かることが難しく、強く子どもを授かりたいという希望を持つ人々」にとっては
『治療を要するもの』(病気という認識になる)
「特にその希望を持たない人」にとっては問題にならない可能性があるという側面もあるのです。

立ち位置によって
『病気』であり『病気』ではない
と捉えることも出来るのかもしれないですね🦒

ここについては、当事者の靴を履いてみてご自身がどのように捉えているのか、少し感じてみると、世界の見え方がほんの少し変わって見えるかもしれません。

また、少し立ち位置を変えてみます🦒
臨床サイドから見ると不妊治療は患者さんが「幸せになるため」の治療を目指しているという側面があります。

私自身の臨床時代を振り返ると
「希望を叶えるための医療/カップルの幸せを願う医療」
(様々な終結の形を見てこのように感じていました)
と感じながら、毎日沢山の患者さんと向き合って来ました。
チームの医師や看護職、心理職を始めとした多種多様なスタッフ、胚培養土さんも同じ視線で進んでいたように思います。

そういった点でも、
他の医療とはやや異なる側面も持っている医療なのかもしれません。

「不妊症」は病気なのか?
その視点も、立ち位置によって異なるかもしれないという気付きがあった方もいらっしゃるのではないでしょうか?

3.社会文化的背景と不妊症

こちらに関しては、イメージが湧く方も多いのではないでしょうか?

1985年に成立した男女雇用機会均等法が、
女性の社会進出の大きなきっかけとなり、
1995年に「育児・介護休業法」が成立
2015年に女性活躍促進法が制定
※正式名称「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」
女性の社会進出と共に妊娠/出産/育児と仕事が両立できるように様々な法整備がなされてきました。

その中で。
女性も大学を出て、男性と同じように仕事を持ち、一人前に仕事が出来るようになって、
「おもしろみ」「やりがい」を見出してくることが想像できると思います。
そうなると、1人の女性として、結婚や妊娠/出産をするという人生と並行して仕事に人生の大切な時間を預けることもあるでしょう。
女性は自身のライフプランを練る際に、
妊娠/出産に関する「生物学的な限界」があり、仕事とその限界(”産みどき”)の狭間で
常に「選択を迫られる状況」である立場というのも、あるのかもしれません。
「産みどき」「生物学的な限界」について、考える記事👇

今、不妊治療に向かい合う女性の中には、
社会から求められ、やりがいを持ち、仕事に邁進した結果、
「生物学的な限界」に直面している方もいらっしゃいます。

それは、決して個人だけではなく、社会的な背景もあって、そこに立っているという事もあるという事、
そういった視点で世界を見てみるとまた課題の見え方が出来るかもしれません。

3.生の声。その声に心がどんな反応をしますか?

さて、ようやく本題。
普段、語られることの少ない『生の声』を少しだけ集めて見ました。
『生の声』ご自身の靴を脱いで。
不妊治療患者さんになったという目線で
声に出して読んでみて下さい。
行きますよ🦒.…🥿

1.医療機関でのアンケート結果より

「頑張れば結果が出るものではない」
「期待と落ち込みの気持ちの落差が大きすぎて心が追い付かない」

「欠勤が増える理由を特定の人にしか話せないので無責任と思われていないか心配」
「会社に理由を言うわけにもいかず、休みが多くなり負担が大きい」

「継続したくても収入が少ない」
「治療費が高額でずっとは続けられない」

「採卵後の生理痛がひどく毎回次はやめようと思う。それだけ負担が大きいのだと感じる」
「自己注射で心が折れました」

「毎回の待ち時間が長い。 長い時は3時間から4時間」
「お互いが問題なくてただ高齢というだけではやめようにもやめられない」
「いつまで続けていけばいいのか、先の見えない不安がある」「いつまでも続けられる治療ではないこと。また子供が欲しいと思わなければ治療は必要なくなるというところに難しさを感じる」「辞め時をどう考えたらいいのか」「終わりが見えず辛くなることがある」

A病院リプロダクションセンターにおける不妊治療の継続に悩む患者が看護師に求める看護ケア
より一部引用

2.市区町村のアンケートより

職場に求めること、仕事について
*治療のために急に休みを取る 必要があるので、仕事のスケ ジュール管理をすることが難しい。
*通院等で休暇を使わせてもらえるが、職場に迷惑がかかるのと、事情を知らない人からの目が厳しいので、心苦しい。
*職場の理解があってこそ不妊治療を継続することができた。
やはり、職場の理解が得られないと時間的にも精神的にも難しいと感じた。
*夫婦どちらの職場でも理解が必要となるが、難しいのが現状。
 毎日通院となる周期もあるので、仕事と治療の両立は身体的にも精神的にもかなりつらかった。
*当事者間でも退職が避けられ ない事が普通になっているよ うですが、キャリアと子供の どちらを選択するのか、比較する対象ではないものを選ぶ 事はできません。

不妊治療のつらさについて
不妊治療をしている者は、孤独です。さらに、私のように子どもを諦め、不妊治療を終了した者は、心を保つことが大変です。
*不妊治療は終わりが見えないし、治療を続けても本当にできるかもわからない中で仕事しながらお金のことも考えて、憂鬱になることしかない です。

令和3年度不妊治療と仕事の両立に関するアンケート 調査結果報告書-
三重県子ども・福祉部子育て支援課- より一部引用

3.すぐに妊娠できると思っていたのにー不妊治療をやめられない現実

「私以外の人はみんな、次々に妊娠している」
「私だけがいつまでも妊娠できず、置いてきぼりにされている」
「なぜ私だけが妊娠できないんだろう?」
「私の何がいけないの?」
「いったいどうしたら妊娠できるの?」
「ここまで頑張ったんだから妊娠しなきゃ」
「頑張りたいし仕事を、思うように頑張れない」
「いつまで治療ができるのだろう」
「どこで区切りを付ければいいのだろう」

「不妊治療のやめどき」松本亜樹子 より引用

『不妊症に悩む人々の心の負担』
心の声。
は聞こえましたか?
少し、靴を履いて見える世界が垣間見えましたか?

これを声に出さずに、そっと胸にしまいながら
日々を生きている人がいることを皆さんはどのように感じましたか?
もしかしたら、隣で仕事をしている人が
昨日、カフェでお喋りをしていた人が
大切な友人が、
すれ違った人が
当事者かもしれません。

様々な事情や気持ちや立場を抱えながら不妊症の患者さんは今日も治療に臨むのです。

*******************

不妊治療には、身体的負担、心理的負担、経済的負担、時間的負担があると言われています。
先行研究では、体外受精などの高度不妊治療を受ける女性の約半数が治療開始早 期の段階で、すでに軽度以上の抑うつ症状があることが明らかになっています。 (Kato et al.,2019)

体外受精などの高度不妊治療を受ける女性の約半数が 治療開始初期の段階で、
すでに軽度以上の抑うつ症状あり

不妊治療患者の靴を履き見えた世界を
このような状況を踏まえ、どのようにサポートしていくのか?
両立支援の中でも、課題の多い
「仕事と不妊治療の両立」
正解はなくとも、垣間見ることで、感じた感情を大切にしていただきたいと思います。

*小休止と最近リリースされた国立成育医療研究センター研究*

ここでも、生の声に近しい内容が出ていますね。
このnoteを読んで、少しでも見える世界が広がり、今までと感じ方や捉え方、心の動きに変化があれば🦒…

高度不妊治療の開始早期における女性のストレス要因(N=344 名)
生殖補助医療の治療早期における女性のストレス:混合研究法 プレリリースより転載

4.終わりに

このnoteをどんな風に仕上げたら良いのか、
凄く迷いました🦒
今も、仕上がりが想像していたものになっていたかは分かりませんし、
noteを読んで頂いた皆さんにどんなものが届けられたのかも分かりません。

「不妊治療を受けている人の靴」を履いてみて
(今回はnoteなので、純粋に主観をいれず、その人の立場に立ってみるという感じで良いかと思います)
他者の経験や考え、感情を体感しているうちに、ご自身が感じている/捉えている「不妊症/不妊治療とは何か?」について気づくことはありましたか?

何が「不妊治療と仕事の両立」を難しくさせているのかは、産業保健界に入って痛いほど見えて来た一方。

打開していく策を考えた時に、一筋縄ではいかない。
「ヒト」という生き物が作って来た歴史と「生殖機能の限界」

これから先も、ずっと続いていく
「キャリアと不妊治療」「キャリアと産みどき」
(ここでは、”キャリア=働く事”と表現していますが、”働くこと”は就業のみならず、様々な人生における役割という形でも捉えて頂けると良いのかもしれません)
年齢を重ねる事と妊孕性の関係。

皆さんと今後どんな事が出来そか?
共に知恵を出し合い、考えて行ければな…と妄想しています。

さて、次回の不妊編は、
(仮)『不妊治療と仕事の両立ーちょっとアップデートー』
をお送りします🦒!(多分)

今回もお付き合い頂きまして、ありがとうございました🦒


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