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5月8日は「世界卵巣がんデー」皆で卵巣に注目!

こんにちは!
性教育認定講師/産業保健師の🦒きりんです。

4月9日は「子宮の日」という事で、
子宮頸がんの予防に関する啓発活動が非常に盛んに行われ、
感激していた🦒です。

子宮も勿論大切ですが、
女性の身体を守るホルモンは『卵巣』が大きな役割を果たしています。
(このnoteを読んでいる読者のあなたなら!もうバッチリ!読んでないあなたも今回でバッチリ!)

本日は、「世界卵巣がんデー」にちなんで、
【皆で卵巣に注目!】してみましょう!

先日はHPVワクチンのお話と共に、子宮頸がんについてお話をしたので、今回は「【卵巣がん】について少し知る」をゴールにお話したいと思います!

1.そもそも卵巣ってどんな役割があるんでしたっけ?

今までのnoteで細かく書いているので、ここではサラッと行きます。

卵巣は、子宮の両脇に1つずつある親指大の楕円(だえん)形の臓器です。
(ソラマメと同じくらいの大きさです!)
上記の図でも書いてありますが
卵巣は、卵管と卵管采とセットで「子宮付属器」とも呼ばれます。

よくよく誤解されますが、女性ホルモン(ここではE2ですね)は子宮ではなく、卵巣にある「卵胞(顆粒膜/莢膜細胞)」で合成されます!

女性ホルモン(E2)は、女性らしい体系や、お肌を艶々にしたり、骨を丈夫にしたり、コレステロールの調整など様々な素敵な役割をしてくれます。

それを生み出すのが、卵巣、、、、、!

子宮の方が、なんというか色々目立ちがちですが、卵巣もとっても大切という事を今日は知っていただけたらと思います!

さて、卵巣さんは日頃何をしているかと言うと....

卵巣の主な働きは「排卵」すること
と言っても過言ではないかと個人的には思います。

「排卵」の仕組みに関しては、以前のnoteでお話しているので、今回は割愛しますが、「排卵」が起きるためには、

・身体の中の様々な部分とホルモンが連動していること
・中心になるのが『卵巣』であり、女性の身体を女性らしく維持するための大切な臓器であるという事

を知りつつ、今日のお話を聞いて頂きたいと思います。

2.卵巣が腫れてるって?

少しづつ本題に入ります。

婦人科で最初に「卵巣が腫れていますね、、、」と言われた時
「え?もしかして悪い物?」と思う事あるかもしれません。

卵巣腫瘍が発生する確率は、
女性の全生涯で5-7%と言われています。
(日本産科婦人科学会ガイドライン婦人科外来編2020より)

卵巣にできる腫瘍には良性と悪性(がん)があり、約80%は良性です。
また、良性と悪性の中間的な性格を持つ境界悪性と呼ばれる腫瘍もあります。

ですので、「腫れています」の中には生理的な嚢胞や、経過観察が必要なもの、精密検査が必要な物まで様々あります。
(生理的な腫れは疾患としてカウントされません)

その後どのように対応するかは【産婦人科医師】の指示に沿ってしっかりと経過を見て行きましょう。

今日の本題、「卵巣がん」は一般的に、悪性の腫瘍を指します。

3.卵巣がんって、どの時期の人が、どのくらいの人がなっちゃうの?

さて、本題です。

子宮頸がんは若い世代に多いというのは、先日お話をしていましたよね。

では、「卵巣がん」はどうか?見て行きましょう!

卵巣がんは、40歳代から増加を始め、
50歳代前半から60歳代前半でピークを迎えます。
(下記図:国立がん研究センター がん情報サービス「がん登録・統計」(2018年9月時点)より)

ポイントとして、閉経後が多い!という所は押さえておきべき所ですね

続いて、どれくらいの人が罹ってしまうのでしょう?

日本における卵巣がんの罹患率は1980年から上昇傾向が続いています。
(下記図:国立がん研究センターがん情報サービス「がんの統計'19」より)

近年では年間に約10,000人の女性が新たに卵巣がんに罹患し、
約4,800人が亡くなっています。

下記図は、婦人科がんによる年齢調整死亡率の推移を示しています。
(国立がん研究センターがん対策情報センター「がん登録・統計」部位別年齢調整死亡率年次推移)

図からもすぐに分かるかと思いますが、
婦人科系のがんの中では(乳腺は上記には含まれておりません!)
ダントツの1位です。

特に、罹患率がだんだんと上昇している背景には

🦒「排卵の回数が多い」という事もあると言われています。
🤔「??」

次の項目で少し、原因について詳しくお話していきますね!

4.卵巣がんの原因は?

子宮頸がんの時には、「HPV」がその多くの原因を占めていることは沢山お話をしました。

🤔「では、卵巣がんの原因はハッキリと分かっていて予防ができるのでしょうか?」

🦒「卵巣がんの直接の原因は不明です」

大切なのでもう一度

🦒「卵巣がんの直接の原因は不明です」

はい。分かりません。

では、この項目話が終わってしまうので、現在考えられている因子についてお話していきます。

前項の最後でチラリとお話した「排卵回数の増加」についてから始めます!

卵巣がんの発生には、
『排卵する際に卵巣表面にできる傷』が関連すると考えられており、
(🤔『傷!』、これ排卵の仕組みのnoteでも読んだぞ!)
排卵回数が多いほど危険性が高まります
(🤔そうか、排卵でのダメージが、がんに関係してるのか....)
排卵回数は最近のライフスタイルの変化に伴い増加傾向にあります。

昔の人(80代の私の祖母の母世代とか)は沢山の子供を産んでいましたよね!
私の祖父も7人兄弟だったと聞いています。

その時代の女性たちは、その分だけ排卵が止まっていたのです。

ちょっと分かりやすくするために数字にしてみましょう!

思春期に入り月経がスタートします。
ここでは10歳としましょう。
閉経は、前回のnoteより50歳前後が平均なので50歳と仮定します。

1か月に1回順調に月経(排卵)が起きているとして、月経がある期間が40年続いたとします。

そして1人の出産で止まる月経(排卵)の期間は、授乳を行った場合、妊娠期を含めて約2年程度でカウントすると、、、、、
(計算しやすくしてるだけですので、本当はもう少し短いと思います)

妊娠、出産が0回の場合は
12回(1年の排卵回数)×40年間=480
そう実に480回も卵巣がダメージを受けています。
妊娠、出産が7回の場合は
(1回の妊娠出産につき2年排卵が止まるとして14年間は月経がない状態)
12回×(40-14)=312回
かつ昔の女性は今の女性よりも栄養状態の問題で初経が遅い事を考えると、更に月経の回数が少なかったことが分かるかと思います。

もうお分かりだとは思いますが、今の時代は昔に比べて排卵(卵巣へのダメージ)が多いですよね。

これが「卵巣がん」の患者さんが増えていることに影響していると考えられているんですね。

排卵の回数の増加は、
「女性の社会進出の増加」
「産まないことを選択する」

「栄養状態が良くなり、初経(月経の始まり)が早くなった」
等ライフスタイルの変化に大きく関係しています。

これに関しては、
「そういった選択ができる社会になった✨」
という素晴らしい事でもあると私は思います。

そして、『排卵回数の増加』は対処する方法があります。

はい🦒それが、
『ピル』や『黄体ホルモン療法』ですね!!

凄い!凄いぞ!ピル!🙌

はい、また謎のテンションになったので、次に参ります。
(ピルの話は、noteで熱く語り過ぎたのでそちらをどうぞ!)

勿論、「排卵」だけではないので、他の要因も見て行きましょう。

「排卵回数が多い」以外では、

遺伝的な要因が関与している場合もあります。
このうち、特定の遺伝子の病的な変異が親から子へと伝わり、それが原因で発症する卵巣がんを「遺伝性卵巣がん」といいます。

国内で行われた研究の結果
(Hirasawa A, et al. Oncotarget 2017; 8: 112258-112267)
卵巣がんと診断された患者さんのうち17.8%の方が、特定の遺伝子に病的変異がある遺伝性卵巣がんであることが分かりました。

図:遺伝性卵巣がんと診断された患者さんの割合
(27~87歳の卵巣がん患者さん230人)


・比較的若い年齢で卵巣がんになった方、
・卵巣がんになったご家族がいる方、
・特定のタイプの卵巣がんの方
では、こうした遺伝性卵巣がんの可能性が高いことも分かっています。

このことは、2013年頃『米国人女優のアンジェリーナ・ジョリーさん』のお話で話題になったかと思います。
(初耳だわ!という方はGoogle先生にコッソリ聞いてみて下さい!)

ですのでまとめると、

親・姉妹・従姉妹に乳がんや卵巣がんの人がいる場合、遺伝的な要因のため卵巣がんになりやすいことがある。

という事です。
遺伝の勉強はちょっと難しいので、今日は割愛しますね。

5.卵巣がんの検診って?

では、検診についてお話を進めて行きます。

子宮頸がんの検診は、子宮頚部からその細胞をこすって取ってきて、特殊な方法で染色をして顕微鏡で覗き込んでみる。
(細胞検査士さんや臨床検査技師さんからクレームが来そうな雑な書き方でごめんなさい)がスタンダードです。

では、卵巣がんはどんな検査があるのでしょうか?

下記、日本婦人科腫瘍学会HPの「卵巣がん検診について」から引用しております。

卵巣がん検診は、超音波画像診断や腫瘍マーカー(血液検査)による方法では有効性が証明されていません。
しかし、遺伝性乳癌卵巣癌(遺伝的な要因で乳がんや卵巣がんを高いリスクで発症する遺伝性腫瘍)と診断された方には、30~35歳から、または家族で最初に卵巣がんと診断された人の発症年齢の5~10歳早くから、婦人科の医師に相談し、半年に1回の頻度で経腟超音波画像検査と腫瘍マーカー検査を受けることが提示されていますが、明らかな有効性は示されていません。

要するに、あまり効果的な検診の方法はないという事です。

(ここから先は臨床の経験上の事なのでエビデンスに基づいていないことはご承知おき頂いて読んでください)

🤔「でも、それじゃあどうしたら良いの?」
と思いますよね。

完璧なスクリーニングではないですが、卵巣のみならず、子宮も一緒に診ていく検査に
『超音波検査(エコー)』があります。

婦人科の場合は、より骨盤内の奥を診るために
『経腟超音波』を使用する事が多いです。

(お腹の上からのを経腹超音波検査と言いますが、骨盤の奥にある子宮や卵巣は非常に見えにくいので、妊婦さんや性交経験のない方以外は基本経腟エコーを使用します)

これは、完全なスクリーニングにはなりませんが、
「卵巣の腫れ」を知る方法の1つです。
(勿論、内診で触れる場合や、ちょっと別件で撮影したMRIやCTにたまたま映り込む場合もありますが....)

エコーは、「卵巣の腫れ」の位置や大きさ、それが怪しい物なのかを痛みやリスクを負わずに知ることが出来る素晴らしい物です。

もし、子宮頚がん検診で内診台に乗る機会があれば、是非一緒に行うのが良いと思います。

そして、エコーは出来れば同じ婦人科で毎回受けることをお勧めします。
(経年変化を追う事もとても大切なのでね)
子宮頸がん検診に関しては、勿論かかりつけで受けるのが一番ですが細胞の検査なので結果さえかかりつけ医に伝えていれば、良いと思います。

ですが、卵巣は人によって位置や大きさ等が異なるので、できるだけ同じ医師に診てもらうのが良しっ!🐈です。(言ってみたかった)

また、経膣超音波(エコー)は卵巣だけでなく、
子宮の状態(子宮筋腫や腺筋症、子宮体がんの疑い)も分かります。

卵巣は何か起きていても、あまり症状に出ない沈黙の臓器です。

日ごろのケアはとても大切です。
是非色んな相談の出来る「かかりつけ医」を見つけておくことが、
女性が元気にイキイキ生活出来るポイントになると思います!

6.まとめ

今日は、『卵巣について簡単に考えてみる』
を軸に「卵巣がん」について超簡単にまとめてみました。

【女性の身体は卵巣に守られている】
と私は考えています。

ですので、その『卵巣』を大切に扱わなくては申し訳ないですよね。
これは、自分の身体を大切にすることだと思います。

いつも、お世話になっている『卵巣さん』
皆様も、大切にしたいなと思っていただけたら、今日は良しっ!🐈

次回は、書きかけの『男性不妊』が書きあがると良いなと....(笑)




参考文献など
・日本産科婦人科学会 産婦人科診療ガイドラインー婦人科外来編2020ー
・婦人科/乳腺外科疾患ビジュアルブック第2版
・国立がん研究センターがん対策情報センターHP
・公益社団法人 日本婦人科腫瘍学会 HP
・AstraZeneca社:卵巣がん.jp
・国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」地域がん登録全国推計値2012年
・日本婦人科腫瘍学会 編. 患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン 第2版. 金原出版, p149-150, 2016.
・日本産科婦人科学会・日本病理学会 編. 卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 臨床編 第1版. 金原出版, p14, 2016.



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