スマートシティ モデルプロジェクトの特徴をゆるっと考察① -北海道・東北-
国土交通省が選定したスマートシティのモデルプロジェクトに関して、国交省のサイトにある情報に基づき、その特徴や進捗を確認していきたいと思います。
※限られた情報に基づく考察や推察が多く含まれますので、その旨ご了承ください…
私自身は、選定されているモデルプロジェクトの一つに関わっていました。
1. 北海道 札幌市 「ICTにより健康・快適を実現する市民参加型スマートシティ」
テーマ・目的
健康、観光
KPIと目標
市民平均歩数:1500歩/日の増加
観光消費額:7500億円/年
中心となる施策
ウォーキングプログラム等、インセンティブ付与型健康促進プログラムの推進と取得する健康関連データの利活用
産官学の体制
「札幌市」と「日建設計総合研究所」が、協業(委託)してプロジェクトの統括を行なっているかたちとみられます。筑波大の教授、札幌市立大学の准教授がアドバイザーとして参画しています。
プロジェクトの良し悪し
観光都市「札幌」に適したアプローチだと思う
購入して利用するほど価値があるデータか分からない
(コロナ禍の影響が大きいが)観光消費額が増加するスキームは具体化していないようにみられる
民間企業の本格的な参画が少ないように見えるので、投資予算や実行リソースの問題が発生すると思われる
プロジェクトの特設ページは見つからない
2. 秋田県 仙北市 「イノベーションの駆動力としてのスマートシティ」
テーマ・目的
下記を中心としたイノベーションの創出
自動運転
スマート農業
ドローン物流
観光人流データ
水素エネルギー(水素ドローン)
KPIと目標 (2030年)
自動運転型モビリティサービス売上高:4,3000,000円
水素供給サービス売上高:1.1億円
観光宿泊者数:860,000人
農業産出額:60億円
ドローン物流サービス売上高:1,000,000円
産官学の体制
「仙北市」と秋田市に本社を持つ「フィデア情報総研」が、全体を統括し、各テーマ毎に関係する民間企業が構成されています。令和3年度の報告書に基づくと、代表事業者は「株式会ウフル」、構成員として「ソフトバンク株式会社」が記載されており、内閣府のスーパーシティ型国家戦略特別区域への提案に際して、体制を変更したと思われます。(2022年3月 不採択)
プロジェクトの良し悪し
令和3年度の報告書を見る限り、デザイン、計画、体制、進捗、どれも課題が多いと思われる
プロジェクトの特設ページは見つからない
3. 福島県 会津若松市 「オプトインによる共助型分散社会の実現(命を守るデジタル防災)」
会津若松市に関しては、2011年の震災復興プロジェクトとして「アクセンチュア」を中心に、様々な取り組みが進められてきました。令和3年度、国交省に選定されたスマートシティ関連事業は、「防災」が中心になりますが、スマートシティ全体の構想としては、『スマートシティOS』を中心に、「エネルギー」、「観光」、「健康福祉・医療」、「農業」、「アナリティクス人材育成」等、幅広い取り組みが行われています。
今回、選定された事業の「防災」についてまとめます。
テーマ・目的
防災
KPIと目標(2030年)
地域ID登録者数:50,000 ID
公示地価の伸び率:地方平均比 +7%
自治体の経常収支比率:90%未満
中心となる施策
市民が提供するオプトインデータに基づき、避難誘導や家族安否確認サービスなどをパーソナライズする
産官学の体制
本事業に関しては「会津デジタル防災協議会」で推進することになっており、「会津若松市」、「アクセンチュア」、「ソフトバンク」が中心となっています。
プロジェクトの良し悪し
防災事業は地域の優先順位が高い事業であり、住民の関心、受容度に関しても高いことが推測され、国の支援事業として据えることは戦略上、効果的と考える
データの利活用モデルに関しても有益なデザインである
アプリ「マイハザード」の利用状況(登録ID数)及び、提供データ量次第
次回は、東京都におけるスマートシティの取り組みをまとめてみようと思います。
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