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【プレユニ】「世界3大・大学ランキング」って何が違うの?それぞれが重視する指標を徹底比較します

イギリスが2022年に高度人材向けに特別なビザを出すと発表しました。

その条件として挙げられたのが、「指定の世界大学ランキング50位に入っている大学を卒業した人」

その「指定の世界大学ランキング」とは、以下の3つを指します。

  1. Times Higher Education World University Rankings

  2. Quacquarelli Symonds World University Rankings

  3. The Academic Ranking of World Universities

この3つの世界大学ランキングは、現在最も影響力の強いランキングとされています。
いわば、『世界3大・大学ランキング』と言えるでしょう。

日本の大学のランクが落ちたとか、シンガポールがアジア1位になったなどのニュースは、これらのランキングを元にしています。

では、誰が何をどのようにしてこのランキングを作っているのでしょう?

これらの大学ランキングは似ているようで、重視するポイントは違っていました。
違いを見ていきましょう。


1. Times Higher Education(THE)


まず最初は、Times Higher Education World University Rankings。
略称THE。

イギリス最古の新聞社タイムスが2004年から毎年に発表しています。

ランキングの指標となるのは次の5項目です。

教育力(teaching)30%
研究力 (research)29%
論文の引用数 (citations)30%
国際性 (international outlook)7.5%
産業界からの収入 (industry income )4%

以下サイトより引用

指標のうち大半が教育研究に関わるものなので、いわゆる大学の「研究力」にフォーカスしたランキングと言えます。

4%と少ないですが「産業界からの収入」という指標は面白いですね。
研究するだけでなく、それをビジネスに活かせられるかを見るのでしょう。

2. Quacquarelli Symonds(QS)


続いては、Quacquarelli Symonds World University Rankings。
略称QS。

1990年にNunzioQuacquarelliによって設立された、世界中の高等教育機関の分析を専門とするイギリスの企業により発表されています。

ランキングの指標となるのは以下の9項目。

学術的評判(Academic Reputation)
雇用主の評判(Employer Reputation)
教職員/学生比率(Faculty/Student Ratio)
教員あたり引用数(Citations per faculty)
国際的な教職員比率(International Faculty Ratio)
留学生比率(International Student Ratio)
国際的な調査ネットワーク (International Research Network)
雇用の成果 (Employment outcomes)
持続可能性(Sustainability)

以下サイトより引用

学術的評価と引用数は当然ですが、多様性やネットワーク、就職や環境に至るまで指標が多岐にわたっています。

雇用主の評判や成果というのが面白いですね。
就職に強いかどうかが分かりそう。

3. The Academic Ranking of World Universities(ARWU)


最後のランキングはThe Academic Ranking of World Universities。
略称はARWU。

2003年から2008年までは中国の上海交通大学が発行し、2009年からは Shanghai Ranking Consultancy が発表しています。

ARWUが重視するランキング指標は以下の4項目です。

教育の質(Quality of Education)10%
教員の質(Quality of Faculty)40%
研究成果(Research Output)40%
一人当たりの業績(Per Capita Performance)10%

以下サイトより引用

国際的な指標や環境、産業界とのつながりなどは一切なく、純粋に教育・研究一本の指標。

また、ノーベル賞などの有名な賞や、高名な学術誌にどれくらい論文が掲載されたのかというのも重視されます。
さすが中国といいますか、実利主義の印象ですね。


ランキングの性格の違い


前述した各ランキングが重視するポイントを簡単にまとめてみると、

QS:研究メインだが教育環境も重視

THE:研究教育以外にも、国際的多様さ、産業界や雇用の関係、環境なども幅広く重視

ARWU:研究教育のみ重視。ノーベル賞など著名な賞の受賞者や高名な学術誌に掲載された論文の数も重視

こうやって見ると、各ランキングは似ているようで重視している点は全然違いますよね。

ケースに応じたランキング活用法


ランキングの指標がそれぞれ違うので、ケース毎にこのように使ってみるといいか知れませんよ。

研究しながらも新しい学びができる大学で、実際に商品化など企業と一緒にやってみたい:THE

留学生や外国人の先生が多いインターナショナルな環境の大学に行きたい。就職のいい大学を知りたい:QS

研究で実績を上げて結果が出ている大学に行きたい。ノーベル賞を取った方に師事したい:ARWU


いたずらにランキングに翻弄されるのではなく、それぞれの強みを知って上手に活用したいですね。


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