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【IGCSE】イギリス系インターナショナルスクールの鍵:IGCSEを分かりやすく解説します

イギリス系インターナショナルスクールのプライマリになると、よく耳にするIGCSE。
Oレベルと呼ばれたり、略してIGと呼ばれることもあります。

筆者は、2018年からイギリス系インターナショナルスクールに娘二人を通わせており、現在、長女はIGCSEとその次の段階であるAレベルも修了し、大学に進学しています。

この経験で得た、IGCSEに関する知識をもとに、IGCSEの概要や注意点についてわかりやすく解説していきます。


IGCSE概要


IGCSEとは、" International General Certificate of Secondary Education "の頭文字の略称です。

IGCSEは、イギリスのケンブリッジが提供する、世界で認められている中等教育修了資格のことです。

ここで、下の表を見てください。

これは、イギリスと日本の学年を、大学進学を前提としたフローで比較したものです。
ちなみに、イギリス系の大学は日本と異なり3年間で卒業なので「大学3」で終わっています。

さて、イギリスではYear10とYear11の2年間にわたり、まとめの義務教育カリキュラムが実施されます。

これは、GCSE(General Certificate of Secondary Education)という中等教育カリキュラムで、Year11の最後に総仕上げの試験を受けて修了します。

このGCSEが、IGCSEのベースになっています。
GCSEのグローバルバージョンということで、Internationalの'I'がIGCSEの由来です。

GCSEはイギリスの公共教育システムの管轄である一方、IGCSEはケンブリッジ大学の国際試験部門によって開発されました。

ケンブリッジ大学はIGCSEを30年以上前に発展させ、それ以来、欧米だけでなく、アジア、中東、オセアニアなど、150以上の国で5000以上のインターナショナルスクールで採用されています。

IGCSEとは、国際的に認知された中等教育のカリキュラムであり、その一環として最後に実施される資格試験も含みます。

高校卒業資格ではない

ここで1点注意が必要です。

IGCSEはときおり日本の高校卒業資格のようなもの、と説明されることがありますが、IGCSEを修了しただけでは、どの国であっても大学進学はできません
また、日本を含む世界中で、高校卒業認定もされない点は覚えておきましょう。

教科は選択制


イギリス系インターナショナルスクールでは、Year7からセカンダリに入ります。小学校が終わり、中学・高校に該当する中等教育の始まりです。

Year7からYear9までは、生徒は学校で同じ授業を受けますが、IGCSEが開始するYear10からは生徒一人ひとりが選択した教科の授業を受けます。

IGCSEは、なんでも好きなように選べる訳ではなく、学校毎に必須の科目や数が設定されています。

たいてい、最低必要な科目選択数は10前後で、必須教科はEnglish、Math、Scienceと、やや理系よりの傾向があります。

教科の種類

具体的にIGCSEにはどのような教科があるのでしょう。
2023年現在、IGCSEで選択できる科目の数は約70にも達します。

科目は、理数、言語、英語、人文科学、クリエイティブの5つのカテゴリに分かれており、

具体的には、

英語、数学、科学、歴史、美術、音楽、体育といった日本でお馴染みのものから、英文学、栄養学、コンピュータサイエンス、ICT、会計、経済、環境、ツーリズム、演劇など幅広いラインナップ。
また外国語も、スペイン、フランス、ラテン、マレー、サンスクリッドなど多岐に渡ります。

しかし、大抵の学校は、70もの全教科は提供しておらず、基本的に人気があり進学に有利なものに限定されています。

ちなみに、筆者の長女がYear9の時は、必須選択数は8以上、必須科目はEnglish, Math, Science(化学・物理・生物から2つ以上)と第二外国語(Mandarinを選択)でした。

現在、次女がYear11に在籍中ですが、必須選択数は9以上に増えています。
このように、同じ学校であっても年によっては条件が変動することがあります。

教科選択のタイミング


さて、Year9の終わり頃には、学校でIGCSEについての説明会や教科選択の方法や注意点を聞く機会が増えます。
保護者向けに説明会が開催されることもあるでしょう。

Year10になる前には、選択教科を学校へ提出し、それにしたがってYear10からのIGCSEカリキュラムを進めていきます。

ただし、希望人数や教員の関係で全て希望通りに選択できないこともあります。

選択後の変更


もし、選択した教科がどうしても合わなくて変えたい場合はどうすればいいでしょう。

これは学校に依存しますが、たいていYear10のターム1の間であれば、変更・追加を認めるところが多いようです。

長女も、ある教科を変更して、教科を1つ追加した経験があります。
学校側は、もちろんいい顔はしませんでしたが、交渉の余地は十分ありました。
詳しくは所属校にお問い合わせくださいね。

試験と成績評価


Year11の終わりには、IGCSEの総仕上げとして、選択した全教科の試験を受けます。

試験は全世界で共通しており、毎年5、6月と10、11月の2回行われます。

この試験結果は、点数をもとにA*(最高)からG(最低)まで8段階の成績評価が付けられ、C以上が合格とみなされます。
この成績は、次の進路であるプレユニバーシティ進学に深く関わってきます。

なお、試験結果は、試験修了から2ヶ月後程度でウェブ上で確認することができます。
成績を記載した修了証は、それから1-2ヶ月後にケンブリッジから所属校へ郵送されます。

注意点:CIE、Edexcel、OCRの違い


少し細かくなりますが、お知らせしたい重要な点があります。
中等教育修了資格として国際的に認められているものは、IGCSEを含み現在3種類あります。

  1. CIE(Cambridge International Examinations)IGCSEのこと

  2. Edexcel(Pearson Education)

  3. OCR(Oxford, Cambridge and RSA Examinations)

これら3つの団体が提供するカリキュラムは、対象者、学習期間、資格の認知度、難易度、試験の日程などほぼ同じですが、学習内容にわずかな違いがあるため、試験内容も少し異なります。

これらは、すべて中等教育修了資格として位置づけられており、インターナショナルスクールにより選択肢が異なります。

たとえば、同じマレーシアにあるイギリス系インターナショナルスクールでも、CIEを選択する学校もあれば、Edexcelの学校もあります。

まとめ


最後にIGCSEについてまとめておきましょう。

  1. 資格の種類: IGCSEは、国際的に認められる中等教育の資格で、14~16歳の生徒が対象です。

  2. カリキュラム期間:イギリス系インター校ではYear10、11の2年間です。

  3. 対象科目: IGCSEでは、幅広い科目が提供されており、生徒は自分の興味や将来のキャリアに合わせて科目を選択します。Year10が始まる前に、10科目前後を選択します。必須科目や数は在籍校に異なります。

  4. 評価方法: IGCSEの成績評価は、筆記試験の結果により評価されます。通常はYear11の最後に受験します。点数をもとにA*(最高)からE(最低)まで6段階の成績評価が付けられ、C以上が合格とされます。

  5. 進学への利点: IGCSEを取得すると、プレユニバーシティへの進学に役立ちます。

IGCSEは、未来につながる扉を開ける、まさに鍵となるカリキュラム。
受講する皆さんにとって、学び多い機会となるよう願っています。



文中に出てきた、プレユニバーシティとAレベルについては、こちらの記事で詳しく説明しています。


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