2019年の広島は2018年と何が違うのか?
2019年の広島は巨人との天王山の三連戦で負け越し、リーグ優勝が絶望的となりました
本noteではチーム指標から見て今季の広島はどこが弱体化したのか考えたいと思います
1打線編
三連覇中の広島は全てが似たようなチームではなく2016年、2017年とは異なり昨年の広島は打力で他の穴の部分を覆い隠す打力への依存度が強かったことは皆さんもご存知のことだと思います
しかし、2019年はその強力打線の中核を担っていた丸が巨人に移籍し、田中、松山といった主力が大不振に陥るなど深刻な得点力不足に陥りました
以下に示すのは2016年から2019年の広島のチーム総得点、wOBAの推移です
2019年は123試合経過時点の数字を143試合スケールにしています
グラフ作成アプリの性能の都合上かなり誇張された表現になっててすみません、、
この通りやはり2019年の広島の得点力は前年までと比べてかなり落ちていることが分かります
では?具体的に何が落ちたのでしょうか?
以下に示すのは広島のチーム出塁率の推移です
以下の通り広島のチーム出塁率は2018から2019にかけて大幅に落ちていることが分かります
高い出塁能力を誇っていた丸、田中の離脱の影響の部分が大きいでしょう
次に広島のチームIso(長打率から出塁率を引いた値、長打力を表す)を見ていきましょう
次のようにチームISOも大幅に落ちていることが分かります
こちらは丸の離脱が大きいでしょう
このように広島打線は出塁能力、長打力がともに低下していたことが分かります
ではもう少し踏み込んでなぜ広島の出塁率、長打率が落ちたのか見ていきましょう
まずは広島の打球性質について見ていきます
2016年 GB % 47.7%、FB % 41.4%、LD %10.9%
2017年 46.3% 43.4% 10.3%
2018年 47.6% 43.5% 8.9%
2019年 46.1% 45.4% 8.5%
と今年特異だったのはFB %が過去3年に比べて高かった点です
つまり、過去3年間よりフライを広島打線を多く打っていたと言えます
ただフライを打ってるから得点力が下がるというものではありません
MLBで起こっているフライボール革命のようにNPBでもフライボールの方がゴロボールよりアウトになる可能性は低くフライを上げることは寧ろ良い事です
ですが広島の場合は一括りにフライボールといっても高確率でアウトになる内野フライの率が高いようです
**内野フライ率は16%と両リーグワーストの数字です **
以下のグラフは2016から2019年にかけての広島の内野フライ率を示したものです
ここに示したように過去三年と比べて広島打線の内野フライ率は大幅に上昇しています
フライを打つことは決して悪くなく寧ろ良い事ですがフライの性質を内野フライから外野フライへと変えていくことが来季に向けたポイントになるでしょう
次に指摘したいのは打線全体としてのストレートへの対応力の弱さです
ストレートへの対応力を示すwFAはストレートは一番多投される球種というのもあり打線の得点力に密接に関わります
事実昨年では一位が山賊打線として異次元の得点力を誇った西武の115.3、2位が強力打線を擁した広島で73.9、三位がソフトバンクで60.8と軒並み得点力の高いチームが並びます
では今季はどうかと言うと広島は-4.5までwFAが低下し12球団2位から最下位にまで転落しています
丸の移籍の移籍を踏まえても物凄い低下率ですし打線全体としてのアプローチに問題があると言えそうです
ストレートへの対応力の向上は来季以降に向けての大きな課題の一つとなりそうです
以上の点を踏まえると三連覇中の時期と比べて今季広島が変わった点は
①出塁能力の低下
②長打力の低下
③内野フライの増加
④ストレートへの対応力の低下
の四つにあると言えそうです
2守備編
まずは広島の2016年から2019年にかけてのチームUZRの変遷を見ていきましょう括弧の中は両リーグ合わせた中での順位です
2016年 30.4(2位)
2017年 28.5(3位)
2018年 -21.4(8位)
2019年 -1.4(6位)
2019年度は現時点の数字なのでもう少し数値が変化していきますが大雑把な傾向としてみてください
と守備に関しては昨年よりも今年は良化してることが分かりますが他の三連覇した年度よりは低いことが分かります
昨年から今年にかけて改善された理由としては昨年サードで大幅なマイナスを叩き出した西川が外野でかなりのプラスを叩き出し代わりにサードにそこそこの守備力のある安部や小窪が据えられた点が挙げられるでしょう
逆に2016年や2017年より低下してる理由としては
守備範囲を表すRngRが
2016 12.9
2017 15.2
2018 -20.2
2019 -2.0
と大幅に低下してることから守備範囲が狭くなったことが大きな原因のようです
原因としては菊池の守備の劣化や新井がスタメンから外れるようになったことが挙げられるでしょう
ただ昨年よりは改善されてることからここが今季の成績低下の原因とは言えなさそうです
3投手編
まずは投手陣の成績の推移を見ていきましょう
FIP
2016 3.85
2017 3.83
2018 4.57
2019 4.26
と言うふうに2018年に一度大きく成績を落としましたが今年は持ち直してるようです
昨年は前述のように守備も劣化してたため、チームとしての失点が増加していました
ただ今季成績を落とした理由として投手陣の影響というのは薄いようです
チームとして広島の投手陣の弱点を挙げると多くの方のイメージ通りかも知れませんが四球率の高さがあります
今期も四球率は9.2%と12球団でワースト2位につけています
全noteでも言いましたが私は投手陣の四球の多さが四球の価値が他球場に比べて相対的に高いナゴヤドームを苦手にしている理由だと考えています
4まとめ
以上を総括して今年の広島が成績を落とした理由を挙げるとしたら打線の大幅かつ全体的な劣化が一番だと思われます
また、単なる劣化ではなく得点力のムラが物凄い大きかったため、大型連敗が多発し、チームとして乗り切れない部分がありました
来年は菊池が抜ける可能性が高く、會澤が抜ける可能性もありますので得点力は更に低下する可能性があります
そのため、来年は優勝を目指すにしては厳しいシーズンになるのではないでしょうか
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