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化粧品会社の広告に擬態した「放置少女」のCM

Case Study|放置少女「美しい世界へ」篇


企画概要

C4 Connectが提供するスマートフォン向けゲーム「放置少女」のテレビCM。
その内容は、深田恭子、足立梨花、大野いと、佐野ひなこ、新田さちかという5人の女優が「美しさの在り方」について語るというもの。

広告主や商品名が明らかにさないまま始まり、自信に満ちた女優たちが「美しさ」について語っていく。
ああ、化粧品会社の企業広告かなと思ったら、最後の3秒でゲームのタイトルが表示される。そのギャップが印象的なCMだ。


異ジャンルの広告への擬態による認知拡大

この誤認を誘う構成は、おそらく意図的なものだろう。

スマートフォン向けゲームによくある、タレントがゲームのキャラクターとして登場する「タレントコラボ」を告知するCMではない。
YouTubeで公開されているCMのタイトルには「第一弾」という言葉があるので、もしかしたら今後そのような展開があるのかもしれないが、現時点では女優たちはあくまでCMの出演者としてのみ機能している。

化粧品会社の広告に擬態しているのは、このゲームのことをまだ知らない人々からの認知を獲得するためではないかと推測される。
ゲームが好きな人々においては、ある程度認知を獲得することができたので、今度は「ゲームのCMには反応しない人々」にアプローチして認知を一気に拡大しようとしているのではないだろうか。


あえてズラす

しかし、ここで1つの違和感が湧き上がる。

というのも、現代の化粧品会社は、今、こういうCMを作らない。

なぜなら、一般的に「美人」に分類されるであろう女優が美しさについて語るCMを化粧品会社が公開すれば、美しさの押しつけであるとか、ルッキズム(外見至上主義)に基づく差別表現であるなどと捉えられかねないからだ。

実際、初めてこのCMを見たときは、化粧品会社の広告かと誤認すると同時に、今どきこんなCM放映して大丈夫かな?と勝手に不安な気持ちになり、注視してしまった。

このゲームに興味はなかったにもかかわらず、まんまとCMに注目してしまったわけだ。もしここまで計算してあえて「時代錯誤的な化粧品会社のCM」を装っていたとしたら巧妙だと思う。


語り手が変われば、受け取られ方も変わる

このCMが世間ではどう受け取られているのか気になって、Twitterで検索してみると「深キョン美しい」という声が圧倒的多数を占めており、「TSUBAKIのCMかと思った」という予想通りの反応も散見された。そして、差別性に言及したものはまったく見られなかった。

メッセージは誰が言うかによって意味合いが変わるのだということを改めて実感した一件だった。


続きはClubhouseで

最近気になった広告的な何かについて、Clubhouseで話します。


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