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「ほんたま」では出版が難しい4つのジャンル

企画のたまご屋さんが提供する商業出版支援サービス「ほんたま」への応募から、ビジネス、実用、スピリチュアルなどさまざまなジャンルの出版企画書が編集者の目に留まり、出版に至っています。

ただ、どんなに内容が優れていても、「ほんたま」経由では出版が難しいジャンルがあります。難しいジャンルでも実績はゼロではありませんし、企画の応募は歓迎していますが、以下4つのジャンルにおける採用の確率は低いことをご承知おきください。

難しいジャンルその1.文芸

実は小説・絵本・詩集といった文芸書のサポートは、あまり得意ではありません。

ビジネス書や実用書の企画は、本の内容だけではなく、著書のプロフィールや実績なども判断材料となります。例えば、著者のプロフィールがユニークであったり、SNSのフォロワーが多いなどの要素があれば、企画自体は練り直しが必要だとしても、著者自身に価値を感じる編集者はいるでしょう。

しかし、作品自体の価値が強く問われる文芸というジャンルは、企画書から出版の可能性を判断する商業出版支援サービス「ほんたま」のシステムには少々不向きです。

ほんたま」への応募から小説が出版された事例はあります。ただしそれらは、過去に小説を出版した経験のある人や、賞を受賞したことのある人が、実績を買われて採用に至ったものです。

ほんたま」を利用して文芸書で著者デビューするには、たとえ規模が小さくても文学賞を受賞しているか、ネットの投稿サイトで人気を得ているなど、何らかの実績を示すことができるかがポイントとなります。

難しいジャンルその2.翻訳出版

海外で出版された本を翻訳出版したいという希望を持って「ほんたま」に企画を応募してくださる人もいます。しかし、翻訳出版を実現するには「翻訳権」という権利を得る必要があります。

また、著者自身が翻訳出版にOKだとしても、翻訳権とともに必要な「出版権」は出版社が押さえているかもしれないし、「アドバンス」という前払金が発生するなど、日本とは違う決まり事もあります。

そのため、翻訳出版は「エージェント」という代理人や翻訳出版を扱う専門の会社を通して行うのが一般的です。個人で関係者すべてと交渉し、複雑な権利関係をクリアするのは至難の技だといえるでしょう。

難しいジャンルその3.学術書・専門書

学術書や難解な分野の専門書も、「ほんたま」では難しいジャンルです。読者が限られるジャンルの本は市場規模が小さいので、価値のある内容でも大きな売上は立たず、商業出版では敬遠されがちです。

また、学術書の場合、出版までに長い時間がかかるのが当たり前。ビジネス書や実用書は、通常企画採用から1年程度で出版されますが、学術書だと10年以上かかることもあります。つまり、本が売れたとしても収益化には長い時間が必要となります。

難しいジャンルその4.自伝

ここでは、自身の半生を振り返って記録した自伝のほか、闘病記や旅行記も含めた個人の記録を自伝とみなして説明します。

自伝の企画を応募してくださる方は多いのですが、知らない人の生きざまや価値観、成長の過程を読みたいという人はあまりいません。

それでもかつては、闘病記や旅行記なら、無名の人のものでも内容が充実していれば、出版に至ることもありました。しかし、今では本を読まなくても、SNSやブログ、noteなどで探せば、読み応えのある闘病記や旅行記がいくらでも読めます。しかも無料で!

ただ、紙の本に親和性があり、かつ人口も多いシニア向けの自伝にはチャンスはあります。

例えば『交通誘導員ヨレヨレ日記』のような、働くシニアの過酷な実情を赤裸々につづった本、『妻が余命宣告されたとき、 僕は保護犬を飼うことにした』のような、ペットとシニアの交流を描いた本は売れています。

この流れを受けてか、ほんたま経由でも、定年後に長年憧れだった大型犬との暮らしを実現し、新たな人生をスタートしたシニアの本『盲導犬繁殖犬チッパーさまさまね 定年おやじ奮闘記』が出版されています。

それでも、チャンスはゼロではない!

以上、4ジャンルでの出版を目指している人は、「ほんたま」以外のルートを探った方が、実現に近づく可能性は高いでしょう。しかし、少ないながらも、「ほんたま」には難しいジャンルでの実績はあります。

難しいのは承知で出版の可能性に賭けてみたい人は、ぜひ企画を応募してください。もちろん、ビジネスや実用などの企画も大歓迎です!

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