ドライフラワー屋さんで働いています。

おじいさんが来店した。


「いらっしゃいませ。
何かお伺いしましょうか?」

「ここは全部ドライフラワーなの?」

平日のある日、ふらりと立ち寄った様子の
年配の男性がいらっしゃった。

「そうです。一部造花のお花や、染めてあるお花もございますが、ほとんどこのお店で乾燥させて
作ったドライフラワーです。」

「へー!!
自分で好きなもの選んで作ってもらえるの?」

「はい。
アレンジメントは店頭にあるお花を選んで
お作りいただけますよ。」

「へーーー!!」

おじいさんは、関心した表情を浮かべ、

「ちょっと今度、家内を連れてきますわ!!」

と言い帰って行かれた。

「はい、ぜひお待ちしております。」


数日後、あのおじいさんが来た。

「好きな花を選べばいいじゃない。」

おじいさんは奥さんを連れていらっしゃった。
そして、好きなお花で
スワッグを作ることをオススメしている。

「じゃあ…」

奥さんはお花を選び、選んだお花を下に、
スワッグをお作りした。

完成したスワッグをお渡しすると、
少し嬉しそうな歓声をあげ
二人仲良く一緒に帰られた。

「ありがとうございました。」


そのまた数日後。
あのおじいさんがいらしゃった。

「このバラを50本集めてください。」

入り口入ってすぐのピンクのバラを指差す。

しかし、在庫を探しても同じバラは50本なく
集めることができないことをお伝えする。

「このバラがピーンと来たんだよね。
今度50周年なんですわ。」

おじいさん達が結婚してから、
50周年の記念に、奥さんへバラ50本のブーケを
プレゼントしたいとのことだった。

「おめでとうございます!!
では、このピンクのバラに合わせて50本のバラでブーケをお作りさせていただいて
よろしいですか?」

「はい。もうお姉さんにお任せしますわ。
後日に取りに来ます」

「かしこまりました。」


数日後、受け取りにおじいさんが来店した。

「これ50本ありますか?」

レジで受け取りの際におじいさんが聞く。
ブーケにするとまとまり、ただ束ねていた時よりも、少し小さく見える。

50本あるか数え、揃っていることをお伝えする。

「はい。ございますよ。
お仕上げはこのような感じで大丈夫でしたか?」

何か不満があったかもしれない
と、少し不安になる。

「めっちゃいいですね。」

おじいさんは笑顔で帰られた。
おじいさんはいつも水筒を肩から下げて
丁寧だけど気さくな口調で
奥さん想いで
素敵な方でした。

またのご来店お待ちしております。

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