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わたしのヒーローの息吹を全身に受けて


今回のパリ48時間
同級生に会いにいくだけだし
そもそも現在、わたしのスケジュールはマックス状態
やや疲労気味だし...

お友達に会う
以上 マル

それ以上の予定はない旅だったの

宿泊先も東京のお友達がパリのアパルトマンを借りるからそこに泊まって!って誘ってくれていたから言われた通りにそこに行った

さて早朝にパリの北駅に到着
メトロに乗ってそのアパルトマンに向けて歩き出したら
ひゃあ〜
胸がドキンドキンと高鳴った

多分ね
アタシのお目目はキランキランに輝いていた筈よ

もしや....
もしや...
そうあの広場から2番目のお宅
ひゃっーー!

彼女が借りていたアパルトマンはわたしが敬愛するヒーローの彼が暮らしていた家の真裏にあるの!

彼の家も広場から2番目のお宅
一本街路地を挟んだ平行線上にある

これ打合せゼロ!
純粋な純粋な偶然

パリって意外に広いです
こんな偶然あるのでしょうか?

多分、ロンドンもパリも同区画だとおんなじ年代に建てられた同じスタイルの家というパターンが多い
例え全く同じ家ではなくても玄関入って階段の踊り場があって中庭があって....
その作りは全く同じな筈

うぎゃあ❤️
興奮しすぎて
さっちゃん鼻血ブー寸前

わたしの大興奮を友に伝えても
少女時代からのさっちゃんをよく知る彼女は
(まった幸子がまた変なこと言ってるよ!)
と慣れてるからサラッと流してくれたのが有難い

わたしはヒーローが暮らした家の裏で...

彼が毎日毎日歩いたであろう
同じ通りを歩く
それだけで全身の細胞にパワーが宿り胸の高揚が止まらないというのに....

その人の名は
カミーユデムルーラン

フランス革命ど真ん中を生きたジャーナリストである

フランス革命がなかったら少なくとも民主主義は誕生しなかったに違いない

フランス革命がなかったら(平等)という概念も(人権)という概念も生まれなかったに違いない

人間の精神を一気に300年分ぐらい先に先に推し進めたのがフランス革命なのだ

一番力のない庶民
何の力も価値もなく
ただただ単純に搾取されるだけの為に存在した人間に力を与えたのがカミーユの(言葉)であった

なんとなくモヤモヤと漂う不満のガスに一気に火をつけエネルギーを暴発させる
その最初に火をつける役割をしたのが彼だった

ここまで聞くと
きっとこのカミーユさんってめっちゃ勇敢で漢気のある肝っ玉太男に違いない
普通にみんな想像する筈である

ところが彼は正反対の男なの

元々
吃音をわずらっていて子供時代から声を出したり言葉を話そうとすると吃ってしまい
笑われるのが怖くなりほぼ人前で話すことができぬ人だったのに...

この彼がパレロワイヤルでほぼ初演説をぶち曲げた時は
全く吃ることも赤面することもなく
その姿は神ががかっていたという

彼の言葉のパワーが
不可能を可能にした!

わたしはこのエピソードが大好きなの

なぜか不思議とこの場面の息遣いを!
この場面の魂の高揚感をその場で経験していた!
わたしは確かにそこに居た

そんな風に思うことがよくあるぐらい...

彼の最後はフランス革命中に吹き荒れた恐怖政治の暴力を阻止しようとしたことで自らを犠牲にして消えていった

今回のパリ 

お天気はずっと大雨の予測だったのに初日に1時間ほど雨に濡れた以外は予測に反しピーカンの青空だった

ところがお友達と別れる瞬間に大雨が降ってきて空港に行く電車の駅まで送って行くつもりが....

気にしないで大雨だから一人でさっさと行く方が濡れないから

そういう友達とアパルトマンのドアの前で別れた

わたしもロンドンに戻る電車に乗らないと...娘たちのお土産のチョコレートを買ってコーヒーを飲んで帰途に着く途中、天気はまたピーカンの青空に

なんとなく後ろ髪引かれる思いでカミーユデムルーランの邸宅前に立っていた
するとそのタイミングで大きな扉が開き、中から若い女性が出てきた

あなた、大丈夫?

彼女に英語で聞かれた

スーツケースを下げてたから迷ってる旅行者に思われたみたい...

あゝごめんなさい
デムルーラン宅だから....

ってわたしが言うと

家の中は無理だけど、前庭の部分なら....ちょっと入って行く?

と聞かれた

30秒だけ門の内側まで入れてもらった。

彼は愛する女性と結婚して子供も産まれて
幸福の最中でこの家で暮らしここで逮捕された
それ以上は知らないけれど....

とその女性は言った。

彼女にお礼を言って扉を抜けて外に出てしっかりと扉を閉めて駅までの道を向かった

その時にふっと気がついた

わたしの歩いたその僅かな道筋
たかが30mほどのその道は彼が生きて最後に歩いた道筋と全く同じ道だということに

彼は自分の自宅からすぐ側のリュクサンブール宮に収監された

全く根拠はないのだけれど...

間違いない
きっとその日は雨が上がったばかりのこんな青い空だった
彼の気持ちは真っ直ぐに理想の未来を最後まで見ていたのだと思う

その未来をわたしは生きている

しっかり生きなきゃバチが当たるよ マジで幸子 


始めまして 喜花(キカ)です 南ロンドンで鍼灸、漢方、カウンセリング専門のクリニックを経営しています。愛する東洋哲学、東洋的な身体、精神との付き合い方、イギリスで長く生活するコツなどを綴ってます