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小論文/エッセイ

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近代日本史や現代の諸問題に関しての小論文と、お気持ち表明のエッセイです。
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記事一覧

令和6年能登半島地震と私の感じた人間の善意 [エッセイ]

地震が発生した当日の夜に書いた文章にほとんど手を加えず公開しているため、文章としては読みにくいかもしれません。ご了承ください。 地震の発生 2024/1/1、午後の4時10分頃。令和6年能登半島地震が発生し、関東圏にある自宅もそれなりに揺れた。ただ震源地から遠方であったため、はじめは「おやちょい強めの地震だったかな?」程度の認識であった。しかしツイッターなど見ると石川県の方では最大震度7の相当大きな地震であった。驚いた。津波警報などが発令されているという情報も目にし、東日

「伝統は大事だ」の理由を私はまだ見つけていない。 [エッセイ]

なぜ理由を考える必要があるのか  私たちはよく、「伝統は大事だ」ということがある。決してこれは右派や保守的な人たちの政治主張の文脈で使われるに留まらない。理由は不明だが必ず挟まなければならない工程、あるいは学校の意味のなさそうな校則、あるいは私たちが普段生きる中で何気なく「常識」や「マナー」としてもっているもの。その多くが合理性ではなく、歴史的な文脈(決して数百年単位の歴史である必要はなく、数十年でも歴史的と言えるだろう。)から生まれ長年使われてきたことに、用いられている

南京虐殺(1937)に対する基本的考えと歴史研究を行うにあたって注意するべき事柄 ─南京虐殺の性質の困難さと歴史研究について考える─ [小論文/エッセイ]

序論  南京虐殺(1937)に関しては、その歴史の捉え方が現代の政治思想などの影響や、そもそも証言自体が様々あるために、様々な見方が存在している。ここでは南京虐殺に関してよく問題とされるその歴史的事実そのものの否定やその呼称について論じ、また歴史研究の上で政治的な意識がどのようにそれを阻害しているのかという点についても言及する。またこれにより南京虐殺の性質そのものについての理解を整理することも行う。 「虐殺」の定義  南京虐殺を論じる際にはまず、「虐殺」の定義を明確に