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イネ科との戯れ

昨秋より、休耕田に毎日通っている。

最初は、チガヤの一部分でもなんとかしたくて、開墾作業の真似事をはじめた。
夢中になりすぎて腰を痛めたりしないよう、「CD1枚分の時間」と決めて、スマホにDLしたお気に入りのサブスクを耳にしながら、作業にあたった。

ほぼ、約1ヶ月半かけたろうか。

半世紀以上休耕したままの田んぼで、先代が毎年トラクターで耕してリセットし続けていた場所だったが、先代から管理を引き継いだこの10年は年2回の粗雑な刈り取りだけを行っていて、多年草のイネ科各種が競うように陣地争いをするようになっていて、年々チガヤが勢いを増していた。

開墾作業の真似事により、久しぶりに現れた表土。

半世紀以上の休耕田ならば、様々な在来植物の種や今はあまり見られなくなった土壌微生物なども生きているかもしれず、除草剤を使わずして、いかにチガヤを根絶しようか、と思案し、ネットの海を探索した。

そして、どこかの誰かがブログに記した試行錯誤結果を信じ、真冬の空っ風に吹きさらすことにした。

冬、春、夏、と経過観察をする中で、途中でそれらしい芽生えがあれば手で引っこ抜きつつも、掘り起こした根っこは大体枯死したのではないか、と判断するに至った。

「チガヤ は強靭な地下組織(根)を持つから除草剤でないと根絶は難しい」

との言説が一般的に手に入る情報のどこかしこに記載されてはいるけれど、それが一体どういう目的を持つ人物の視点で書かれているか、という点をよく考えて我が身に当てはめる必要があるな、と思う。

「限られた時間内に最小限の労力投入で最大限の効果(=根絶、という単一効果そのもの)をあげたい」と、賃金や資金投入ベースの目的で考えれば、当然選択肢は「除草剤一本」であろう。

しかし、わたしは別にそのような目的は持っていない。

彼らの性質を受け止めて、「休耕田の一部」から立ち退いていただきたいだけだった。

彼らのことを知れば知るほど、チガヤには古代から、ここ日本の風土に馴染み、人とともに生きてきたロマンを感じてやまなくなった。

共存共栄の道。

それを目指そうと、わたしは強く思っていた。

そうして日々、チガヤの草原を探索する中で、様々なイネ科植物に出会った。

イネ科植物は非常にたくましい生態を持っていて、やはり彼らを知れば知るほど、むやみやたらに「雑草」と一括りにしてきた視点が、ザルだったと知った。

稲を作り、米に加工し、ご飯にすること。
ご飯に合うおかずを拵えること。
働いて汗を流してから食べるめしの尊さよ。そして美味さよ。

わたしたちは、そこに向かって、今後は歩みを一歩ずつ進めていく。

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