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風に揺れるコスモス

毎年この時期になると、コスモスが恋しくなる。
秋の桜。

北のほうに広がる地域では、農夫が種をまいたのか、鳥がこぼれ種を運んだのかしらないが、ほぼ野生化して、路肩にところどころ咲いている。

それがなんとも、愛おしい。人為と自然のミクスチャーの産物。

風に揺られても、折れないコスモス。
細くて頼りない茎は、しなやかに風と踊り、元に戻る。

コスモスの葉っぱは、まるでオカヒジキ。
わずかな表面積しかなくて、光合成してエネルギーを作り出すのにこれで十分なの?と思わせられるけれど、彼らはそれで十分らしい。

時期になれば咲き、種をつけ、種を落とし、また翌年。
落ちた種から芽が出て、伸びて、花を咲かせる。
野草のごとく、しぶとく。

彼らは咲くことで、はじめて存在が顕になる。

秋のイネ科に覆われる休耕田のこっちがわの日向。
来年は、コスモスが咲く畦にしよう。

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