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あなたは私で、私はあなたで

「自分なんてのは、そもそもないんだよ」とかの有名な解剖学者はいう。

最近幾度か、自分と他人を隔てる境界が溶けだすのと合わせて、ほんのわずかな時間だけ、空間と時間が曖昧にぼやける、ということを経験した。

私なんてのはない。
確固に確立したる自分なんていうのはない。

自己の魂は、あるけれども、ただ、それだけ。

生きることなんてのは非常にシンプルであり、この時代に、人間という生物にただ産み落とされてしまった、という事実があるのみ。

我が子についても然りで、主人と私の遺伝子が混じり合った生物として、産み落としてしまっただけ。

男の遺伝子と女の遺伝子が混じり合って生まれる「人の子」という、不思議な存在。

押入れから出したばかりの扇風機に向かって、「ワレワレハ宇宙人ダ」となけがける吾子の姿に、ふと己の幼き頃を思う。

商売人にはやっぱりなれないし、ならない。

わたしは(わたしたちは)、ただの百姓だった。

そしてわたしは(わたしたちは)、ただの親だった。

日々暮らしを丁寧に過ごす中で、とてもシンプルなところが、わかってきた。

ぼつぼつ、小さく小さく動きはじめよう。

孤独を尊びながらも、多種多様な価値観の人々が構成する社会から孤立しないように。

このまま、スムーズに「働く」をアップデートしたい。

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