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死者を訪ねてから波を浴びる夢

古びた公営住宅の立ち並ぶ、細い通りを歩く。
私はひとりではなく、親しい友人と一緒だった。
3軒の家を訪ねて歩く。
祖母の家である。
自分の祖母なら2軒だろうと思うが、なぜか3軒である。
友人の祖母がどうかもはっきりしない。
1軒目、2軒目は亡くなった祖母の家であり、なごやかに話をして次の家へ向かう。
3軒目では、あまり歓迎されなかった。
顔を出したのは祖母ではない、六十代ぐらいの痩せた女性だった。
亡くなった伯母かもしれない。
用を済ませると、平屋の住宅が並ぶ通りが途切れ、海に面した道が開ける。
海岸伝いに伸びる、舗装された道が続いている。
他は行き止まりで、目の前の道をゆくしかない。
私と友人は、T字路を渡って海沿いを歩く。
波が高い。
道路にあがってくるかもしれない、と思う。
するとパステルカラーの波は盛りあがり、シュワシュワとラムネのような音を立てる。
虹色に輝く。
波濤が砕けて、私と友人は波をかぶる。
冷たくはなかった。
体が濡れてしまったが、心地よい。
何度も波を浴びながら、私たちは歩き続けた。

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解釈

波は水=感情だという。
過去の自分(死者)に別れを告げて、これまで凍らせていた感情を表現する方へ向かってゆく。

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