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適当なフランス人がいるから、引き立った私

フランスのパティスリーは、12月は最も忙しい時期。

それは日本も変わらないのだけど、

働かないフランス人も、この時ばかりはよく働いた〜笑

12月というよりも、11月からすでにクリスマスの仕込みで忙しかったのだけれど、

特に緊迫した雰囲気の中、仕事をしたのを覚えている。

私が勤務したパティスリーは、市内に4店舗あって、

クリスマス前の1週間は、ラボ勤務の仲間も手分けして

ブティック(店舗)のヘルプに立つと聞かされていた。

私、ラボの中は仲間同士だから何とかフランス語通じるけど、

お客様に対して接客するなんてできるわけもなく。。

と、考えている暇もなかった。

クリスマスウィークの初日。

まだ夜が明けない頃、バスに乗って山から下りブティックへ向かった。

緊張する。朝6時とか眠いのに、それどころじゃない。

誰と一緒にシフトに入っているのかも知らず、

とにかく、お店のオーナー婦人に怒られないようにだけ注意した。

同い年くらいの女性なのに、迫力がある。

完全に私は、20代くらいに思われている。。笑

お店が開き、すぐにお客が集まり始めた。

私がヘルプに入るお店は、

リヨンの中心街にある、屋内マルシェの中の店舗だった。

他の店より絶対お客が多い。

なぜならお店の前に、順番待ちのチケットの機械が置いてある。

案の定、お店の中はカタストロフ(大惨事状態)だった。

私に任された使命は、とにかくショーケースに並んでいるマカロンを

切らさないことだった。

他にも生ケーキやブッシュドノエル、焼き菓子、チョコレート。

とお菓子は並べられているけど、

私はマカロンだけ補充することを任された。

少なくなる前に、地下の倉庫へ行き、ちょっとマカロンつまみながら、

カタストロフな店舗に戻って補充。

もちろん、並べている間に、色々お客から質問される。

接客はしなくていいのだが、接客担当がテンヤワンヤでその場にいない。

仕方なく、質問に答える。

ラッキーなことに、私は普段ケーキを作る側の人間。

なので、どんな質問にも難なく答えられた。

楽しい🎵

そんな中、私は日本人特有のある行動に出た。

お店の作りはコの字型になっていて、中心に小さなカウンターがある。

そのカウンターには、

包装する為のハサミや袋、紙、リボンなどが置いてあるのだけれど、

もちろん、ここもカタストロフだ。

あまりにもひどいので、

ササッと片付けた。とても簡単なことだからすぐできる。

なのにできないフランス人たち。

忙しいのはわかるが、少し落ち着いてほしいな。。

手にはめる透明なビニール。

チョコレートを、このビニールを使って取り、箱に詰めるのだけれど、

1回1回お客が変わるごとに、外しては忘れ、

新しいのを使い、カウンターは1回だけ使った手袋だらけで笑える。

まあ、私は接客してないのだから彼女たちの気持ちはわからないけど、

接客して、箱に詰め、リボンをかけ、会計する。

そこまでやったら、2、3分前のことは忘れるのだろう。。笑

そんな繰り返しで、お昼の休憩時間になった。

休憩は交代で取ることになっていた。

適当に見計らって、同じマルシェ内にあるレストラン(社長が1週間契約していて無料で食事を提供してくれる)に向かった。

すると、社長のマダム(奥さん)も登場、相席した。

4、5人一緒になってランチしていると、お店の話になった。

すると、マダムは私に向かって「すごく助かったわ、とってもきれいにしてくれて、merci」

と。

そう、あのカタストロフの状況でも、ちゃんと見ていたのだ。。

でも、これって、日本人にしたらきっと普通なんだと思う。

みんな細かいし、きっちりしてるし、お客から見えてきたないでしょ。

とか、絶対上司から注意されるから。

これは、もはや私のおかげではなく、

あなたたちフランス人がいてくれるからこそ、際立った私。

逆に感謝だわ〜笑

それから、私の年齢についても触れ始めた。

同僚には何度も伝えているけど、

誰一人覚えない。フランス人にとって年齢は全く気にならないからだ。

マダムに、「38歳です」と、当時の私は素直に伝えた。

シェフ以外みんな年下の環境の中で、マダムはびっくりしていた!

私と4つしか変わらないじゃない。(私にはそう聞こえた、もう少し上だったかも。)

確かに、親と子みたいな感じに見える。

それだけで感心された。

とにかく、初日は、こんな感じで終わり、

早朝から18時くらいまでの勤務だったが、とても楽しかった。

接客じゃなくてよかった、というのが正直なところ。

マカロン担当は、翌日以降から、どんどん他のエリアも補充することになる。

チョコや生ケーキ、もちろんマカロンも。

なぜなら、フランス人は適当に仕事するから。。笑

いい意味でね。

クリスマスイブは、ほんの少しだけ早く終わり、

ブッシュドノエルを1本プレゼントとして持ち帰ることができた。

なんて楽しい1週間だったんだろう。。

あの時の私の姿を、みなさんにも見てほしかった。。

フランスで働くと、気持ちが楽でいい。。


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