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アプリ評価が3ヶ月間で+0.5pt改善。基本的なことを丁寧に。

こんにちは。
株式会社Caratでロボキャリアアドバイザーアプリ「GLIT」のUIデザインとフロントエンド開発を担当している北國です。

今回はGLITのApp Storeのレビュー改善への取り組みについてです。

TL;DR;

  • GLITではApp Store/Google Play Storeでのアプリレビュースコアが低い&レビュー投稿数が少ないという課題があった

  • アプリ全体の体験性を改善し、満足度を向上するアプローチは別途考えるとして、良いレビューを投稿してくれる人をまずは増やそうというアプローチで改善を行った

  • スコア改善のための施策の結果、3ヶ月間でスコアが3.3→3.8、レビュー投稿数が188件→340件となった

ストアレビュー改善前の課題

GLITのアプリをリリースしてから2021年の10月頃まで、App Storeでのレビュースコアはずっと3.3前後を推移していました。これまでレビュー対策のためにこれといった施策は取っておらず、ユーザーが自発的にApp Storeでレビューを書いてくれる評価のみでスコアが形成されている状況でした。

GLITではユーザー獲得のための広告運用も行っており、レビュースコアがCVRに影響することを認識していながらも、他のタスクの優先度が高く、ずっと野放しにしている状況が続いていました。

2021年秋頃、新規機能開発や主要KPI改善の施策が一旦落ち着き、そろそろレビュー改善をしよう…!ということでこの施策がスタート。

ストアレビューの改善を始めるにあたり、以下のような課題がありました。

  • インストール数に対してレビュー数が少ない(180件)

  • レビュースコアが低い(3.3)

これら2つの課題を解決すべく、アプリ内でできる改善策を考え始めます。

レビュースコアが低い・レビュー数が少ない要因

以下のような要因でGLITでは小レビュー数・低レビュースコアになっていました。

  • アプリ内のレビュー導線がほぼなかった = レビュー数が伸びない

  • 自発的にレビューを書いてくれるユーザーのほとんどが不満モチベーションだった = レビュースコアが低い

  • 潜在的な高評価レビューユーザー(レビュー書いてとお願いしたら5をつけてくれるユーザー)でも、こちらからお願いしない限り、わざわざ自発的に書いてくれない = レビュースコアが低い

自分自身の体験を振り返っても、よっぽど感動/不満があったりするような感情の振れ幅が大きい体験がない限り、能動的にApp Storeでそのアプリを検索してレビューを投稿することはありません(Google Mapとかでも同じ)。

☆をつけるだけでもなかなか腰が重い中、ましてやレビューのテキストを入力することは言わずもがなハードルが高いです。

レビューを投稿してもらうには、ユーザーがどれだけ手軽にそのアクションポイントまでいけるかが重要です。一方GLITでは、アプリ内にはそういった導線がほぼありませんでした(唯一あったのがマイページのメニュー項目の中にひっそりと1つあっただけ)。

UX デザイン

というわけでアプリ内で、ユーザーができるだけ手軽にレビューを投稿できる体験を考えるわけですが、なりふり構わず「レビューしてくれない?」とお願いしてもユーザーは答えてくれません。

レビュー数UPとレビュースコアUPという2つの目標を実現するために、まずは大枠を考えます。

  • 良いレビューを集める = レビュースコアUP

  • 適切なポイントでレビュー依頼をする = レビュースコアUP

  • あまり遠慮せず、レビュー依頼のインプレッションを増やす = レビュー数UP

  • 1箇所ではなく、複数箇所でレビュー依頼のトリガーを仕込む = レビュー数UP

  • ユーザーのノイズにならない = 他のKPIを下げない

レビュー数を増やすためにできるだけレビュー依頼のタッチポイントを増やさないといけないのですが、良いレビューを集めつつ、他のKPIに悪い影響が出ないようになるべくユーザーにとって自然なコンテキストの中でレビュー依頼をすることが施策のベースになります。

以上のことから、GLITでは以下のポイントでレビュー依頼をすることに決めました。

1. おすすめされた求人にN回、気になるをつけた時
2. 求人への応募が完了した時

まず1について。
GLITではユーザーの希望条件に合わせてAIが求人のおすすめするという機能があり、おすすめされた求人に「気になる」をつけたユーザーは比較的アプリへの満足度が高いのでは、という仮説です。
(逆に言えば、おすすめ求人にほぼ気になるをつけないユーザーは自分にあった求人が見つかっておらず、そういったユーザーにレビュー依頼をしても悪いスコアを投稿する可能性が高い)

また、おすすめ求人はアプリのメイン機能なので、ユーザーが最も多く通るポイントでもあり、多くのユーザーにレビュー依頼をできることを期待して1つ目のレビュー依頼ポイントとしました。

次に2について。
求人への応募が完了した段階は、ユーザーの一連の体験の中で大きな区切りとなるポイントです。
期待と不安が入り混じる応募完了後というポイントでレビュー依頼をするのは少しごめんなさいという気持ちもありつつ、アプリを通じて話を聞いてみたいという求人・企業に出会えたタイミングなので、不満よりも満足感を感じているユーザーが多いという仮説のもと、ここを2つ目のレビュー依頼ポイントとしました。

UIデザイン

レビュー依頼ポイントが決まったので、あとはどのようにレビュー依頼をするかUIデザインの話に移ります。

UIデザインをする上では以下の点に気をつけて進めていきました。

  • 不満があるユーザーのフォローアップ

  • 低評価の投稿をなるべく防ぐ

  • 高評価を投稿してくれるユーザーへの最短のステップを考える

  • 今回答したくないけど、あとで回答してくれるユーザーのフォロー

特にUIデザインをしないのであれば、UXデザインで考えた2つのレビュー依頼ポイントでIn App Reviewのダイアログを表示するだけでレビュー依頼は実現できます。

ただ、それだと高評価レビューもサクッと投稿できる一方で、低評価レビューも同様に投稿できてしまいます

アプリを運営するチームとしては、できる限り低評価レビューは何らかの方法でフォローし、スコアになるべく影響が出ない方が望ましいです。

したがって、UIデザインを考える上での我々の骨子は以下です。

高評価ユーザーは手軽に投稿でき、低評価ユーザーは中長期的に高評価ユーザーになってもらう

低評価を防ぎ、フォローアップする

上述の通り、In App Reviewダイアログを最初から表示すると低評価も入力しやすくなるため、以下のようにダイアログの表示前に1クッションポップアップを表示しています。

色々なアプリでも同様の施策が見られますが、まずはユーザーの満足度を二択で回答してもらいます。不満を選択したユーザーは低評価を投稿する可能性が高いため、申し訳ないですがIn App Reviewダイアログは表示しません。

その代わり、何が不満なのかということをヒアリングする機会にスイッチします。

「ご満足頂けず申し訳ございません」だけで終わるよりも、運営側に不満をぶつける場を設けたほうが双方にとって良いため、このような設計にしています。

お問い合わせフォームへの導線を設置した結果、改善要望の問い合わせが劇的に増えたわけではないですが、ポツポツとご意見を頂けるようになっています。

高評価はなるべく手軽に投稿できるようにする

先に述べたように、わざわざ手間をかけてまでレビューを投稿してくれる親切なユーザーはなかなかいません。

なのでクッションモーダルで満足と回答して頂いたユーザーにはその後にIn App Reviewのダイアログをすぐに表示するようにしています。


満足・不満どちらとも言えないな…というユーザーのフォローアップ

我々は適切な箇所でレビュー依頼をしていると仮説立てていますが、ユーザーによっては「いや、今はなんともいえん」というケースもあるかと思います。

したがってクッションモーダルには「あとで回答する」という逃げ道を用意しています。

「あとで回答する」を選択したユーザーはそれから一定期間をレビュー依頼をしない期間として設定し、設定した期間を過ぎて再びレビュー依頼ポイントを通過したタイミングで再度クッションモーダルを表示する仕様にしています。

このようにしている理由は以下です。

1. In App Reviewの表示上限回数をうまく使う
2. 何度もレビュー依頼してノイズにしない
3. LTVのサイクルに合わせて満足度が高くなった時にもう一度聞く

In App Reviewの表示回数は1年あたり3回前後というiOSアプリの仕様があると言われています。たった3回しか表示できない貴重なチャンスを毎日のように使ってしまうとたった数日でその機会を失います。

「今はなんとも言えない」というユーザーに翌日に同じことを聞いても「いや前と変わらないよ」という可能性が高いため、回答してもらえそうなタイミングになるまで一定期間を空けています。

同様に、繰り返し短期間でレビュー依頼を表示してしまったら「ちょっと煩わしいな」とユーザーが感じて不満と回答する可能性が高くなるため、不用意に不満ユーザーを増やさないように期間を空けています。

GLITは求人を検索して応募ができるアプリなので、はじめての応募をするまでに求人の比較検討の期間があります。求人検索→気になるリストに追加→求人を比較検討→応募というサイクルがあるため、そのサイクルに合わせて再表示する期間を設けています。

結果

以上のような施策の結果、ストアレビューは以下のように改善しました。

  • 1ヶ月あたり0.1〜0.2ptずつ改善し、3ヶ月間で+0.5pt

  • 3ヶ月間でレビュー数が+160件(施策前は2年間で約190件)

  • 特にスコア4または5をつけてくれる人が倍増し、スコア1または2はほぼ変わらず

そこまで複雑ではないシンプルな施策でデザインや開発の工数も少なく済み、結果としてレビュースコアが大幅に改善できたことは良かったです。

クッションポップアップを1つ挟み、ユーザーにとって自然な流れでレビュー依頼をすることで目的の1つであった低評価レビューを防ぐ、ということもある程度実現できたのではないかと思います。

まだ施策リリース後4ヶ月弱しか経過していないため、レビュースコア改善によるASOやCVRについては引き続きウォッチ予定です。

とはいえ、まだまだスコアの改善余地はあり、特に4pt台後半にするには、導線などの局所的改善ではなく、アプリ全体の体験性・満足度を根本的に改善する必要があるため、そのような改善ができた時にはまたご報告したいと思います。



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