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信号待ち。

朝、お気に入りの自転車に乗って信号待ちをしていた。道路をはさんだ向かいにも信号を待っている人がいる。人数を思い出してみると、1、2、3、あれは3人だったと思うのだけど、3人の中でも、私は1人の男性に視線が釘付けになった。

釘付け。どれくらい釘付けになったかというと『もののけ姫』のアシタカが、シシガミの森の中ではじめてシシガミ様を目撃したときのような、そう、あのシーン。あの、目を「クワッ!」と見開くような感じ。

むこうで信号待ちをしている男性は20代で黒髪。センター分け。入道雲くらい白いワイシャツを、黒いパンツにインしている。足はすらっと伸び、靴は白のNIKEっぽいスニーカー。右手にはおそらく背後にあるセブンイレブンで購入したであろうアイスコーヒーを持っている。韓国アイドルがYouTubeの画面をブリッと突き破って出てきたような男性なのだ。

この情報で、十分私の視線を釘付けにした理由説明になっている気がするのだけど、特筆すべき事項がさらに2つある。

ひとつは、彼が右手のアイスコーヒーを天高く伸ばしていたこと。ちょっとここで、右手のトーチを上に掲げるアメリカの「自由の女神」をイメージしてほしい。あれだ。信号待ちの彼は限りなくあれだった。

もうひとつは、その男性の足がクロスされていたこと。普通、信号を待つときは足をそろえて立つものだと思う。だけど彼は足をクロスさせて立っている。「おかしいな、足をクロスさせながら信号待ちをしている人って見たことないような気がするなぁ」と思ったのだけど、彼はなぜかクロスしていた。しかも朝に。

まあ、そういう人もいるよな、と思ってたら信号は青になった。天気がいい。



同じ日のお昼すぎ、またお気に入りの自転車に乗っていた。札幌市民の憩いの場である円山まるやま公園方面にいく必要があった。

朝と同じように、また信号待ちをする時間があった。道路をはさんで向かいには私と同じように信号を待っている人がいる。人数は、1、2、うーん、2人だったような。2人のうち、左側に立っている女性に視線が釘付けになった。

女性は自分の顔の前で右手を左右にブンブンふっている。すこしだけブンブンふったと思ったら、その場を2歩くらい横にズレる。また右手をブンブンふって、顔はシッシッという顔になっていたから、なるほどと合点がいく。きっと彼女の周りには虫が飛んでいるんだろう。

そう察してジーーーーっと目を凝らして女性をみると、道路をはさんでいてもほうら見えてくる。黒い虫が彼女の周りをブンブン飛んでいるんだ。

ハチかな。


信号はまた青になって天気がよかった。


<あとがき>
全国的に蒸し暑い日が続いているようですが、札幌も徐々に気温があがっています。信号を待っているといろんな服装をした人がいますが、薄着の人が増えています。私もすっかり夏仕様にモデルチェンジをはかっているタイミングです。熱中症にはくれぐれもお気をつけください。今日も最後までありがとうございました。

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