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タリーズで別れ話。
平日の朝8時にタリーズコーヒーにいった。
いつもはいかないタリーズコーヒー。朝からコーヒーを飲むと吐いてしまうのでりんごジュースを頼む。店員に対して恥ずかしくもなんともない。ジュースを受け取って席につき、本をチラッと読みつつニュースを見て、ついで今日やるべきことを確認する。
おしっこがしたいと思ったので席を立つ。店内のトイレに向かう。朝のタリーズ、まばらな人。ビジネスマン風の人たち。キッズはいない。マダムもいない。ようし、まもなくトイレのドアだぞ、というところでドア際の席。カップルが向かいあって座っていた。何もしゃべっていない。こんな朝早くに。大学生だろうか。
トイレのドアを開けるのを気持ちゆっくりにする。このカップルの会話が見てみたい。
と思ってゆっくり動いたのだがこの2人、会話をしない。代わりに女の子が悲しそうな上目遣いで彼氏のことを見ている。悲しみと怒りのオーラが見て取れる。オーラ見えないけど。彼氏は女の子と目を合わせることなくうつむいている。
きっと別れ話にちがいない。
トイレに入った私はネタの神様に感謝した。神様、私に新たな日常ネタをありがとうございます。この機会を必ずや活かし、頭の中で構成を練り、インターネット空間にゴミ文章として公開しようと思います。神様、力の限りやってみます。見ててください。
トイレから出た私は、もう一度カップルを確認する。相変わらず会話せず、女の子は上目遣いで悲しそう。表情がない。男の子も下を向き、なんならスマホをいじっている。よし決まり。別れ話にちがいない。
でもこんな朝から? しかもタリーズで? タリーズで別れ話なんかするか? するね。スターバックスでなら別れ話はしない。おしゃれだもん。でもタリーズならする。タリーズで別れ話はできる。でも、別れ話じゃない可能性もある。はて、どうしたもんか。席に戻る。カバンをむんずとつかむ。
カップルのとなりに移動した。
しょうがねぇ、見届けてやりますか。
幸い、となりのカップルは私の存在に気づいていない。2人だけのワールドに入っている。私はとなりで今日のスケジュールを確認しながら2人の様子を見てみよう。と、思ったら。女の子の声が聴こえてきた。
「ねぇ、たーくん、いつ温泉いく〜?」
あ〜ん、別れ話ちゃうんか〜。
ネタの神様、それはあんまりです。
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<あとがき>
あの日はなぜタリーズに行ったのかは思い出せませんが、いろんな人がいる場所でしかも早朝に別れ話なんてするはずないんですよね。周りの人から見ると不穏な空気感でも当の本人たちにとってはいつものことで何も問題ないってことがあります。そういう空気の2人だったのでしょう。今日も最後までありがとうございました。
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