習近平国家主席はいつまでトップに立ち続けるの?


中国関係を考えるうえで前提として知っておいてほしいことを取り上げます。習近平国家主席はいつまで続けるの?というお話です。

後継者は誰?

習近平国家主席は後継者を用意していないのです。慣例では国家主席の2期目のときに後継者にするはずの若い人を指導部に入れるのですが、習近平国家主席の場合2期目(2017年)にそのような人を入れなかったのです。逆に極端に言うと半ば強引に権力集中を成し遂げたということです。

そこで、国家主席になるためにどういうプロセスを踏むのか、実際次の習近平国家主席はどう考えているのか?をこれから見ていきます。

国家主席になるためには?

中国の政治機構としては、最高意思決定機関として7人の「政治局常務委員」があります。任期は1期5年で、そのトップが国家主席となり、現在は習近平国家主席です。中国の慣例上(=ルールとして明文化されたものではない)政治局常務委員の中から次の国家主席が決まります。国家主席の任期は慣例上1期5年、2期まで。それに慣例上68歳になったら(政治局常務委員も)引退です。つまり、国家主席2期目に次の国家主席候補を政治局常務委員にして、経験を積み、次の国家主席にするのが慣例でした。その次期候補が2期10年国家主席を務めるとなると58歳以下(もしかすると62歳かもしれない)で国家主席になってもらわないといけないから、在任する国家主席が2期目に入るときに53歳以下の若手を数人入閣させます。 

習近平国家主席は次の後継者を用意しているのか?

しかし、習近平国家主席は2017年の2期目の際、日経新聞の記事にある通り60歳以上で固めて次期候補を入閣させなかったのです。それ以前に「トラもハエも叩く」という言い方で習近平国家主席にとって気に入らない人を排除し(表向きは「腐敗した人を取り除く」)、権力を集中してきました。その経緯を見てきた人は「習近平国家主席が慣例を打ち破るのではないか?」と疑い始め、2017年に新執行部ができると「その可能性が高まった」と思い、今回新たな歴史決議採択で3期目に入る口実を作った(と思われています)、そのようないきさつがあります。「毛沢東主席に並ぶ素晴らしい指導者」を強調すれば国民も習近平国家主席3期目に反対しないだろう、そういう思惑が今回の歴史決議の裏に隠れています

最後に

このような経緯から、習近平国家主席は後継者を用意して院政のように支配することは今のところ考えられないでしょう。中国関係について考える際には、このような経緯を知って考えるべきでしょう。

ただ「事実は小説よりも奇なり」という言葉がある通り、正確な未来はわかりません。一体、習近平国家主席はいつまで権力を握り続けるのでしょうか?

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