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新しいミニギターのお話

おととしは体調を崩し、ほとんど音楽活動ができなかった。昨年、なんとかもう一度動き出そうと決めた時には、今までとはだいぶ違う心持ちで、力が抜けていた。今まで作ってきた曲、とりあえず適当でもいいから外に出してしまおうと思った。なにもかも、それから考えればいい。

音楽活動が楽しくなるような、もっと歌いたくなるような、そんなミニギターを買ってあげようと思った。何年弾いても、アコギは自分の身体に大き過ぎる気がしてうまく扱えず、支配されるような感覚だった。

10年くらい弾いているアコギなのに、聴きたい音が全然鳴らせなかった。年々神経質になって、ギターを見るのも嫌になり、クローゼットに押し込んで隠した。音楽機材なども、この時期にたくさん手放した。

もっと身軽に動きたかった。自由に歌いたかった。小さいギターがあったらいいな、聴きたい音が鳴らせるギター。

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これからも弾き語りをするなら、ぜったい新しいギターが必要だと思っていた。自然な存在感のやつ。しっくりくる相棒みたいなやつ。らくらく移動ができるやつ、気楽に一緒におでかけできるパートナーみたいなやつ。

守るものがない、大切なものも特にない、というのは気楽でよかった。だけど少しずつさびしくなってきて、またギターを弾くのもいいなあ、なんて思えるようになって、ちゃんとなにかがまた回り始めたことがうれしかった。

昨年の春、御茶ノ水でまさにずっとほしかったようなミニギターに出会い、少し悩んだけれど、これしかないと思った。

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ギターを買った帰りの電車、すごく大事なものを連れて帰るあの感覚。そうだ、いつもこの感じだった。とても満たされた気持ち。久しぶりのうれしい気持ち。


今まで持っているどのギターにも、絵の具を塗ったりシールを貼ったりしていたけど、この子には私のなにかを足す必要はないように思えた。何もしない。名前もつけない。もうポケモンシール大量に貼ったりしない。(一瞬マロンクリームちゃんのシール貼ったけどすぐはがした) 

おお友よ

このギターで歌うようになってから、体が自由になった。弾き語りが何倍も楽しくなった。聴きたい音が手元から鳴る、こんなうれしいことない。

いろいろあきらめたけど、私が歌を続けるためにやってきてくれたギターだなと思う。

ギターを弾いて歌うのはなかなかいいな、自分で演奏して歌えるってとてもいい。
めちゃめちゃ今更だけど、そう思えることが最近すごくうれしい。


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