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金色の針金

私には昔、小学生になる時にもらった赤いオルゴールがある。大人になった今でも宝物入れになっているその中には、金色の針金が入っている。

それが私のコレクションの一つ。


きっとこの針金は誰もが見たことがある。なんたってパンの袋の口を止めておくためによくついているあれだから。パンを食べ終わったらポイするやつ。



これが、夫が私にプロポーズ(っぽい)ことをしたときに指に巻いた、即席婚約指輪だった。

後日一緒に正式な婚約指輪を選びにいくのだが、いろいろゴタゴタした上に、小さなケースから指輪が出てくる瞬間を期待に期待していた私は怒り狂った。

怒った私に、当時の夫は机に転がっていた金色の針金を手に取って「とりあえずこれで」と、本当にパンを密封するようにくるっとはめた。顔を見ると心なしか満足そうで、機転を利かせたつもりのようだった。


出だしでこれなので、それからの結婚生活も大体そんなことの繰り返し。

怒る私と、それにぽかんとする夫。あらゆる方法で夫に伝えてみたり、諦めて自分が変わろうとしても、どちらの人間も変わらなかった。残念ながら。それでもなんだかんだ続いている。

そして少しずつ増える小さな記念品を、長い時間をかけてコレクションしている。

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