恋愛禁止って、なんなん?

one of my 推しが撮られた。オタクの皆さんなら何のことだかすぐにピンと来るだろう。オタクの皆さん、僕はノーダメージです。だが、インターネットの反応を見る限り、残念なことに早くも推しにはダメージが及んでしまいそうだ。

僕は悲しい。推しが恋愛してしまったからではなく、「恋愛禁止」というイカれた不文律に推しが縛られてしまっているから。

だいたい、「恋愛禁止」なんて気持ち悪すぎる。別に「海外と比べて日本は〜」とか言うつもりはない。シンプルに、若い女の子が恋愛してもいいかを見ず知らずの男(主におっさん)が押し付けるの、気持ち悪すぎませんか?

そもそも芸能人であることが即ち恋愛事情を公表しなければならないことを意味するわけではないし、もちろんアイドルにおいてもそれは同じはずだ。「清純」であることは誰とも恋愛関係にないこととイコールで結ばれるものなのだろうか。

僕が思うに、「清純」とは外見と内面の澄み渡るような美しさのことだ。そしてここでの内面の美しさに恋愛しているか否かは関係ない。「どの男にも染まっていない」という意味ではなく、もっと本質的な部分での心の清らかさ。恋愛などでは揺らぐことのない人間の根本的な部分のことではないだろうか。少なくとも坂道系のオーディションではそういった基準によってメンバーが選ばれているように思える。

こうした「スキャンダル」で怒りの声をあげるファンの感情は正直理解しがたいのだが、僕と彼らのこの差は「推し方」の差のように思える。僕は楽曲が好きで、パフォーマンスが好きで、作品が好きで、メンバーの個性が好きで、可愛くて美しいメンバーが好きだ。一方彼らは、まず何よりも「どの男にも染っていない若くて可愛い女の子」が好きなのではないだろうか。僕も男だし、この気持ちがわからないでもないが、これはあまりにも浅はかで無思想な、嫌悪せずにはいられないものだ。シンプルに気持ち悪いし、人間の側の部分だけしか見ようとしていないなんて、それでいてよく「ファン」「オタク」を名乗れたものだ。

「権利」とかうんぬんの問題ではなく、恋愛したいと思うのは人間にとって自然な現象のはずだし、好きな人と横浜のオシャレな街でデートしたり綺麗な夜景を見たり、一緒に星空を眺めたくなって当たり前だ。それを抑圧することに何の意味があるのだろうか。というかむしろアイドルとしてプラスにも働きうる。

あくまで想像の話だが、恋愛系の曲を披露する時は気持ちが乗ったパフォーマンスをすることができるようになるかもしれないし、握手会での「サービス」向上も期待できるかもしれない。そもそもメンバーの「素顔」が見れた方がファンとしては楽しいはずだ。

「スキャンダル」の一つもなく長いキャリアを築いているメンバーは「プロ意識が高い」と称えられることがある。若い時期の楽しい恋愛を諦めてでも仕事に邁進するメンバーはもちろん尊敬に値する。並大抵の覚悟ではできないことだろう。だが、そもそも「プロ意識」とは仕事に対して真摯に全力で向き合うことであり、恋愛しているか否かは関係ないのではないだろうか。仕事に集中するための1つの手段が「恋愛をしない」ことであるだけで、「プロ意識」=「恋愛禁止」とすることはあまりに違和感がある。俳優でもスポーツ選手でもビジネスマンでも、恋愛をしながら大きな成果を残している人はたくさんいる。「スキャンダル」を「メンバーやファンへの裏切りだ」という言説をいくつか目にしたが、メンバーに対する裏切りかどうかはメンバー自身で決めることだし、裏切られたと感じるファンはこれまで書いてきた通り、信じていたものが間違っているだけだ。

このようなことが起こるといつも、明石家さんまさんが道重さゆみさんに言った発言が話題に上がり、ファンがメンバーに「品行方正」を求める。

これまで書いてきたように下3行は僕の思想とは相容れないのだが、僕はこれをファンがわざわざ持ち出して諭し、説いていることに大きな違和感を覚える。

これは、演者である明石家さんまさんの発言だ。芸人とアイドルとジャンルは違えど、ファンありきの活動をしている者として、その道の後輩に教えを説いたものだ。それを、メンバーが計り知れない程の努力をしてようやく成り立ったものを享受している側のファンがこの「金言」をわざわざ持ち出して振りかざすのはあまりに横柄ではないだろうか。さすがにわがまますぎる。

とにかく、早く「恋愛禁止」という気持ち悪すぎるルールが一刻も早く撤廃されること、そしてメンバー一人一人が望む形でより充実した活動を送ることができることを心から願っている。


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