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くすぐりと僕の距離感/『笑わせんな』上演中

本を書きました、舞台『笑わせんな』絶賛上演中です。今週末、18日のお昼まで。本多劇場にて。
https://mmj-pro.co.jp/warawasenna/

「くすぐりプレイ」を題材にした本作ですが、その「界隈」にリーチすることができている。おおむね好評の声が聞けて嬉しい限り。
仮に同じ題材で、自分の劇団・匿名劇壇で上演したとしても、こうはならなかったと思う。
下北沢・本多劇場で、名立たる面々と、という条件を改めてありがたく噛みしめる。

「フェチについての解像度が高い!」とか、「ナイス取材!」といった声も聞いたので、ここはひとつ、「自分とくすぐりの距離感」を赤裸々に書いてみようかと思う。

思えば大学時代から13年も創作を続けていて、おちんちんを見せることに対してずいぶんと慣れてきたものです。抵抗も思い入れもなくなった。
ここでいう「おちんちん」とは、「我(が)」みたいなものです。実際の性器ではない。
以後、実際の性器の話はまったくしません。

創作を始めた頃は、「僕のおちんちんを見ろ!見てほしい!」という原動力が強かった。自分の考え方・哲学・価値観を、披露したくて披露したくてたまらなかった。

しばらくして、「おちんちんって、作品の邪魔なのかもしれない」と思うようになった。そしておちんちんを隠して、オシャレな服を着てみたり、気取ったポーズをするようになった。

10年を超えたあたりで、「どうやら、おちんちんのことはあんまり考えなくていいみたいだ。ことさらにアピールしたり、あえて伏せたりする必要もない。自然に出てまうし、自然に隠れる。面白い作品をつくろうとする姿勢だけが重要で、そんな、おちんちん軸で考えること自体がおかしかったっぽい。……今思えば、おちんちんがなんなんだ。それがどうしたんだ。粛々と劇を書きなさい」と考えられるようになった。

という変遷を経た私にとって、この『笑わせんな』と「福谷圭祐」の関係は、密接も隔絶もしていないものです。ことさらに自分を露出してもいないし、ことさらに距離を取って隠してもいない。ただただ面白い作品を、誰かに刺さる台本をめざしました。

と、前置きをしたのは、以下が単に「福谷圭祐」の話であって、極めてどうでもいい個人的な趣味嗜好の話だから、ですね。作品解説ではありません。

***

僕はくすぐりプレイをしたことはないんですねぇ。興味はありました。
29歳くらいの頃に、「ドチャクソに性をオモチャにして遊んだろ。いろんなことしてみよ」というメンタルになって。いろいろしたり、しなかったりしてたわけですが。
いかんせん、人見知りで。なかなかこう、特定のコミュニティに飛び込んだりすることができなかったんですよね。
自分のアナルだけが広がりました。ここでいうアナルとは、「許容範囲」のことです。本当です。
実際の性器の話はしないと言いましたね。

えっ、アナルは性器じゃないだろって?
……まぁな?
…………せやで?
……………知ってるけど?

SMバーとかで、「くすぐりフェチが集まる夜」みたいなものが企画されてたりするんです。
その概要とかを眺めながら、「(SMバーか…行ったことないんだよなぁ。くすぐりはめっちゃ興味あるけど、人と喋ったりするの苦手だからなぁ…。行きたいけど、行きたくないなぁ)」とモンモンと過ごしたりしていました。

したことがないものの、自分は「くすぐられたい側」です。
ただ、「くすぐられたいです!」と飛び込むことにどうも違和感を覚えるというか、その「受動的な欲望の成就」を「主体的にめざす」ことが、気持ち悪くて仕方ないんですよね。
「くすぐられたいです」と主張する時点で、なにかが不成立な感じがするというか。
この辺は登場人物のセリフににじみ出ていると思う。

で、夜な夜なセクシー動画を見るわけですが。
僕にとって、くすぐりは「CFNM」というカテゴリの一部で。くすぐりが好きというよりかは、「CFNM」が自分には刺さるんですよね。
全然わかんない人多いでしょ。「CFNM」。結構ニッチなんで。

「Clothed Female(s) and Naked Male(s)」の略です。
「着衣の女性と、裸の男性」って意味ですね。

……おい、これ妻も読むんか?
ちょっと待って俺、気づいたらCFNMの説明とかしてるけど?
これ俺いま、俺いま何のためにこれ書いてる?
損しかないんちゃうんか、これ。

例えばマッサージとか、ブラジリアン脱毛とか、ハリツケとかで、男性だけが裸になっているシチュエーションで。女性は衣装なり何なり、特定の衣服をまとっていて。そこで何をするかよりも、その状況設定そのものに、個人的にはおちんちんがおいこれ妻読むんか!?

……僕、もともとくすぐりに強くて。
強いというか、「くすぐったい」という感覚が、「快楽」に直結するタイプなんですよね。
「こちょばい」っていう感覚が、すぐに「気持ちいい!」に変換されるんです。

だからこそ、僕はやっぱり「くすぐりプレイ」には向いてなくて。それはつまり、「単なる性感帯への刺激」と大差がないから、というわけで。
つまりはその構造・関係性、「優位と劣位」「着衣と脱衣」みたいな要素こそが、自分にとっては「フェチシズム」にあたるんだろうな、と思うわけです。

みたいなことを、僕はけっこう考えて、向き合う方なんですよね。
いちいち理屈で。ごちゃごちゃごちゃごちゃ、グチグチと。
取材をしたわけじゃないし、飛び込んだ経験もないけど、ひたすら空想してきたわけですね。

それが、僕とくすぐりの距離感ですね。

***

自分のことをさほど特殊だとはまったく思ってなくて、劇中の「凡庸な欲をささやかに満たせ」みたいなセリフは、自分のことを言葉で殺そうと思って書きましたねぇ。

松原由希子が柿喰う客『露出狂』に出演していたときの福井夏さんをよく覚えていて。あれ2016年ですって。めちゃくちゃ昔やな。でも覚えている。福井さんのことは相当印象に残っていたので、今回嬉しかった。
上記みたいな「セリフセリフしたセリフ」を言ってもらえてよかった。

そういえば、僕は高校生の頃にKKP(小林賢太郎プロデュース)をガツンと喰らったクチなので、久ヶ沢さんと辻本さんへの思い入れをたっぷりnoteの下書きに書いてたな…。
あまりにもファン目線過ぎて、一緒に仕事をするような距離感の記事じゃないと思ったから、投稿するのをやめている。
だいぶグロイ熱量で書いてしまった。

また今度、こんな性癖の話ではなく、その辺の嬉しさの話もしよう。

(了)

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